第164話:核の鼓動
ヘブンズ・セプトの拠点に朝陽が差し込み、広場の熱気がまだ冷めやらぬ中、タクミがマグナ・ヴェスト Mk-IIを脱ぎ、息を整える。カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、豪快に笑いながら近づいてきた。
「タクミ、すげえな!あのスーツ、俺の槌を軽々かわすなんて!」
バルドが双剣を腰に差しながら、口元に笑みを浮かべた。
「動きが速すぎて剣が追いつかん。お前、ほんと修行サボる気満々だろ?」
タクミが笑いながら肩をすくめる。
「サボる気はないって。ヴェストのおかげで動きが読めただけだよ。」
リアがルミナを肩に乗せ、目を輝かせて跳ねてきた。ルミナが「ピュイ!」と鳴き、9本のふわふわした尻尾を揺らす。
「タクミ、すごかったよ!スーツ着てるときのタクミ、めっちゃ速くてカッコいい!ねえ、ルミナ!」
ルミナが「ピュイ!」と返事し、リアの頬にすり寄る。ジンが竪琴を手に持って穏やかに言った。
「神経接続が0.01秒で反応するなんて、まるで魔法みたいだね。タクミの技術、恐ろしいよ。」
エリナが広場の端から歩み寄り、仲間たちに混じって笑顔で言った。
「タクミ、あの動きはびっくりしたよ。次は何作るんだ?」
リアがエリナに笑いかけ、言った。
「ドライブだよ、エリナ!マグナの心臓がすごくなるんだから!」
タクミが仲間たちの言葉に笑みを浮かべ、スーツを手に持った。
「みんな、感想ありがとう。マグナ・ヴェスト Mk-IIは完璧だ。次はセレスティア・ドライブだ。ゴルドが待ってるし、鍛冶場に戻るぞ。」
カザンが熔雷槌を地面にドンと立て、熱く言った。
「ドライブか!マグナの心臓が最強になるんだな!熔鉄団の火が燃えてきたぜ!」
一行がピットの工房に戻ると、炉の炎が轟々と立ち上がり、熔鉄団の職人たちが忙しく動き回っている。ゴルドが熔魔鋼を叩き、火花が飛び散る中、タクミに目を向けた。
「タクミ、ヴェストの試運転はどうだった?熔鉄団の魂、入ってたか?」
タクミがスーツを置いて頷く。
「完璧だよ、ゴルド。カザンの槌もバルドの剣もかわしてくれた。次はセレスティア・ドライブだ。核融合炉だから慎重にやるぞ。」
ゴルドが熔雷槌を手に持って笑った。
「おう、核融合だな!結晶と熔魔鋼で仕上げるぜ。任せとけ!」
タクミは設計図を広げ、超魔脈結晶を手に持つ。青白い輝きが工房を照らし、暖かい振動が掌に伝わる。炉の横に置かれたチタンセラミックの炉が低く唸り、核融合の準備が進められている。タクミが職人たちに指示を出した。
「セレスティア・ドライブは15MWの核融合炉に、結晶で30MWを上乗せするハイブリッドだ。反応効率が命だから、結晶の配置と熔魔鋼の精度を慎重に調整する。失敗したら炉が暴走するぞ。」
ゴルドが熔魔鋼を叩きながら言った。
「暴走なんてさせねえよ、タクミ。熔鉄団の火は繊細さも最強だ!」
タクミが炉に近づき、結晶を2個慎重に投入する。結晶が熔け始め、青白い光が炉内に広がる。職人たちがリング状の魔脈共鳴モジュールを組み上げ、結晶の欠片を配置する。炉の温度が上がり、熱気が工房を包む。タクミが額の汗を拭い、呟いた。
「核融合炉は温度と魔脈のバランスが鍵だ。ガイスト、監視頼む。」
ガイストがタクミの横に浮かび、青い光を点滅させた。
「炉内温度、摂氏5000度。魔脈共鳴、安定中。過負荷の兆候なし。続行可能だ。」
リアがルミナを肩に乗せ、工房の隅で見守る。
「タクミ、ドライブってすごいんだね!ルミナ、じっと見ててね!」
ルミナが「ピュイ!」と鳴き、結晶の光に目をキラキラさせる。ジンが竪琴を手に持って言った。
「核融合と魔脈の融合か…。タクミの頭の中、想像を超えてるよ。」
エリナが工房の入り口に立ち、仲間たちに混じって言った。
「タクミ、すごいもの作ってるね。失敗しないでよ、頼むから。」
タクミが笑みを浮かべ、エリナを振り返る。
「失敗しないよ、エリナ。熔鉄団と俺の技術を信じてくれ。」
カザンが熔雷槌を手に持って炉に近づき、熱く叫んだ。
「タクミ、俺も手伝うぜ!この火力、マグナにぶち込んでやる!」
タクミがカザンに熔魔鋼の調整を頼み、二人で炉のリングを固定する。熔魔鋼が結晶と共鳴し、低い唸り音が工房に響く。タクミが設計図を確認しながら呟いた。
「反応効率50%アップ…。ここでミスると炉が熔ける。慎重に、慎重に…。」
ゴルドが熔雷槌を振り下ろし、熔魔鋼を叩き込む。火花が飛び散り、炉の光が一瞬強まった。ガイストが報告する。
「出力15MW達成。魔脈共鳴、30MWに近づく。安定まであと少しだ。」
工房の空気が緊張感に包まれ、仲間たちの視線がタクミに集まる。セレスティア・ドライブの核融合炉が完成に近づき、マグナの新たな心臓が鼓動を始めようとしていた。




