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第163話:試練の模擬戦

ヘブンズ・セプトの拠点に朝陽が差し込み、黄金の草が風に揺れる。ピットの工房では、2日目の夜が明けた。炉の炎が静かに唸り、熔鉄団のゴルドと職人たちが汗だくで熔魔鋼を叩いている。マグナ・ヴェスト Mk-IIが完成し、工房の中央に置かれたそのスーツは、ナノカーボンチューブの回路が青白く光り、結晶スケイルが朝陽に輝く。タクミはスーツの前に立ち、掌で背中の魔脈回路を撫でた。冷たい金属の感触と微かな振動が伝わり、彼の胸を高鳴らせる。


ゴルドが熔雷槌を肩に担ぎ、笑い声を上げた。

「タクミ、ヴェストが仕上がったぜ!結晶の力がバッチリ入ってる。熔鉄団の魂だ!」

タクミが頷き、設計図を手に持つ。

「完璧だ、ゴルド。セレスティア・ドライブとルミナス・ネクサスは今日中に頼む。俺はこいつを試す。」

カザンが工房の隅から飛び出し、熔雷槌を振り回して叫んだ。

「おお、タクミ!そのスーツなら俺と勝負できるな!さあ、試しにぶつかってみようぜ!」

バルドが双剣を手に持って静かに近づき、低く言った。

「俺も加わる。お前の設計がどれだけの実力か、剣で確かめたい。」


タクミが笑みを浮かべ、スーツを手に持った。

「よし、カザン、バルド、3人で模擬戦だ。ゴルド、鍛冶は任せたぞ。」

ゴルドが豪快に笑い、炉に結晶を投入する。

「おう、タクミ!残りは熔鉄団に任せとけ!楽しんでこい!」


拠点の広場に移動すると、仲間たちが集まり始めた。リアがルミナを肩に乗せ、光球の欠片をかじらせながら跳ねてくる。ルミナが「ピュイ!」と鳴き、9本のふわふわした尻尾が揺れる。

「タクミ、模擬戦するの!?ルミナと一緒に見るよ!ねえ、ルミナ!」

ルミナが「ピュイ!」と返事し、リアの頬にすり寄る。ジンが竪琴を手に持って穏やかに言った。

「僕も見物だよ。タクミのスーツ、楽しみだね。」

そこへ、エリナが現れた。落ち着いた佇まいで広場の端に立つ。彼女の鋭い目がキョロキョロと周囲を見回して呟く。

「ん?タクミ達が集まって賑やかだな?」

リアがエリナに気づき、駆け寄って説明した。

「エリナ!タクミが新しいスーツでカザンとバルドと戦うんだよ!すごいんだから!見ててね!」

エリナが小さく笑い、リアの頭を軽く撫でて言った。

「へえ、そういうことか。タクミの技術、見ものだね。何が始まるのかと思ったよ。」


タクミはマグナ・ヴェスト Mk-IIを着込み、ネクサス・サイトを装着する。スーツの回路が青白く光り、背中のナノカーボンチューブが魔脈エネルギーを伝える。神経接続が0.01秒で反応し、全身が軽く感じる。右目に未来的なARパネルが投影され、カザンとバルドの動きがデータとして映し出された。青いホログラムが視界を彩り、タクミの心を昂ぶらせる。

「よし、準備できた。カザン、バルド、行くぞ!」


カザンが熔雷槌を振り上げ、地面を叩いた。ドスンという衝撃波が広場を震わせ、土煙が舞う。

「タクミ、受けてみろ!」

タクミのスーツが反応し、自動回避が発動。体が瞬時に横に滑り、衝撃波をかわす。リアが手を叩いて叫んだ。

「タクミ、すごい!速いよ!」

バルドが双剣を構え、風をまとって突進してきた。双剣がタクミの肩を狙い、鋭い風切り音が響く。ネクサス・サイトがバルドの速度を解析し、スーツが腕を動かす。タクミが身を翻し、剣を弾く。

「バルド、速いな!でも、見えるぞ!」


バルドが静かに笑い、双剣を回転させて連続攻撃を繰り出す。刃が空を切り、風圧がタクミの髪を乱す。スーツのアクチュエーターが10トンの衝撃を跳ね返し、タクミが拳を振り上げる。カザンが熔雷槌を横に振り、衝撃波が再び襲う。タクミが跳び上がり、両者を同時にかわす。着地と同時に地面が震え、仲間たちの歓声が上がった。

エリナが腕を組んで呟いた。

「動きが人間離れしてるね。結晶の力がここまでとは…。」

ジンが竪琴を軽く弾き、穏やかに言った。

「神経接続が完璧だね。タクミ、すごいよ。」


カザンが熔雷槌を振り回し、タクミに突進してきた。

「タクミ、まだだ!本気で行くぜ!」

熔雷槌が地面を抉り、土塊が飛び散る。タクミのスーツが反応し、跳躍して槌をかわす。ネクサス・サイトがカザンの動きを予測し、タクミが横に回り込む。バルドが風を操り、タクミの背後に迫る。双剣が青白い軌跡を描き、タクミの背中を狙う。スーツが自動で体を反らし、剣先が空を切る。タクミが振り返り、笑った。

「二人とも強いな!でも、ヴェストなら対応できる!」


広場の空気が熱を帯び、仲間たちの声が響き合う。リアがルミナを抱き上げて叫んだ。

「タクミ、かっこいいよ!ルミナも見ててね!」

ルミナが「ピュイ!」と鳴き、9本の尻尾をふわふわ揺らす。エリナがリアに笑いかけ、言った。

「ルミナ、応援してるみたいだね。タクミ、負けないでよ。」

タクミがスーツの力を感じながら、カザンとバルドに目を向けた。

「よし、最後だ!全力で来い!」


カザンが熔雷槌を振り上げ、バルドが双剣を構える。二人が同時に突進し、衝撃波と風圧がタクミを挟み撃ちにする。スーツの回路が青白く輝き、タクミが跳び上がる。熔雷槌が地面を砕き、双剣が空を裂く瞬間、タクミが空中で体を捻り、二人の攻撃をかわす。着地と同時に土煙が舞い上がり、仲間たちの歓声が爆発した。

リアが跳び上がり、「タクミ、すごいー!」と叫ぶ。ジンが竪琴を弾き、エリナが拍手を送る。カザンが熔雷槌を地面に立て、笑った。

「タクミ、すげえな!そのスーツ、熔鉄団の誇りだぜ!」

バルドが双剣を収め、口元に笑みを浮かべて言った。

「お前、まさか俺の修行サボるためにこんなスーツ作ったんじゃないだろうな?」


タクミがスーツを脱ぎ、笑いながら答えた。

「バルド、サボる気はないよ。修行もちゃんと受けるさ。」

広場の仲間たちが笑い声を上げ、カザンが熔雷槌を肩に担いだ。

「次は俺と本気でやろうぜ、タクミ!熔鉄団の火が燃えてきた!」

タクミが息を整え、ゴルドの方を振り返った。

「マグナ・ヴェスト Mk-II、完璧だ。ゴルド、ドライブとネクサスも頼むぞ。」

広場の熱気が冷めやらぬ中、マグナの進化と仲間たちの絆が新たな一歩を刻んだ。



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