第160話:結晶の鼓動
マグナ・ストライダーのドリルアームが雲海の深淵の岩盤に突き刺さり、毎秒220回転の唸りが響き渡る。深度3000メートルの底で、地面が激しく揺れ、黒い岩盤の亀裂から青白い光が爆発的に溢れ出す。タクミはコックピットでジョイスティックを握り締め、シートに体を押し付ける。魔脈投影結晶が映し出す視界は、光の奔流に埋め尽くされ、青い輝きが装甲を照らす。ドリルアームが岩盤を抉るたび、ガリガリという耳障りな音が機体を震わせ、熱気がコックピットに流れ込む。額の汗が目に入り、タクミは歯を食いしばった。
「マグナ、耐えろ!結晶を一気に取るぞ!」
外では、仲間たちが岩盤の揺れに耐えながら援護に回る。リアがトーラスを前に出し、雷巨人が青白い雷を放つ。バチバチという鋭い音が響き、鉱脈の光がさらに増幅される。
「タクミ、トーラスで押さえてるよ!頑張って!」
カザンが熔雷槌を振り上げ、地面に叩きつけた。衝撃波が岩盤を震わせ、揺れを一瞬抑える。
「おう、タクミ!俺が地面を固定するぜ!熔鉄団の力、見せてやる!」
ジンが竪琴を奏で、アクエリアが水流を操って岩盤のひび割れを塞ぐ。穏やかな声が響いた。
「魔脈の暴走を抑えてるよ。タクミ、急いで。」
ドリルアームが岩盤の深部に到達し、青白い結晶の塊が姿を現す。拳大から人頭ほどの大きさまで、無数の超魔脈結晶が地中から掘り起こされ、魔脈の青い血管が脈打つように輝く。タクミの目が輝き、叫んだ。
「見えた!これだ!」
マグナの左腕が動き、結晶を掴もうとする。だがその瞬間、地面がさらに激しく揺れ、岩盤が大きく裂けた。ゴゴゴという低く重い音が響き、亀裂から青白い蒸気が噴き出す。ガイストが警告を発した。
「魔脈の過剰反応がピークに達した!採掘を続けると深淵が崩壊する可能性が高い!」
タクミは一瞬迷うが、すぐに決断した。
「結晶を掴んだら即離脱する!みんな、準備しろ!」
ドリルアームが結晶の塊を抉り、マグナの左腕がそれをガッチリ掴む。冷たい結晶の表面から暖かい振動が伝わり、タクミの掌に熱が広がる。だが、岩盤の揺れが止まらず、地面が崩れ始めた。巨大な岩塊が浮き上がり、雲海の底が割れるようにひび割れる。リアが光球を握り直し、慌てて叫んだ。
「タクミ、地面が崩れてるよ!早く!」
バルドが双剣を構え、風をまとって跳び上がった。
「タクミ、上だ!乱流が来るぞ!」
セリカが風影の爪を手に持って、鋭く言った。
「魔脈の蒸気が濃すぎる。視界が塞がる前に脱出して!」
タクミは推力ブースターを全開にし、マグナが地面から跳び上がる。青い炎が岩盤を焦がし、機体が急上昇する。だが、雲海の底から魔脈乱流が爆発的に噴き出し、巨大な渦が一行を飲み込もうとする。マグナが渦に巻き込まれ、機体が激しく揺れる。コックピットが軋み、工具が棚から落ちてガチャガチャと床を転がる。タクミの体がシートベルトに食い込み、息が詰まった。
「くそっ、マグナ、持ちこたえろ!」
仲間たちも危機に動く。ジンが竪琴を強く弾き、アクエリアが水流で新たな泡を作り出した。透明な水球が仲間たちを包み、乱流から守る。リアがトーラスの雷を渦に放ち、バリバリという爆音が雲海を切り裂く。
「タクミ、トーラスで道を開けるよ!」
カザンが泡の中で熔雷槌を振り上げ、衝撃波を渦に叩きつけた。
「俺の槌でぶち抜くぜ!タクミ、上がれ!」
バルドが双剣を手に持って、風を操りながら叫んだ。
「乱流の流れが変わった!今だ、タクミ!」
タクミはジョイスティックを引いて、マグナを渦の中心から引き剥がす。推力ブースターが青い炎を噴き、風切りブレードがシュイーンと鋭く鳴る。機体が乱流を抜け、雲海の上方へと急上昇する。アクエリアの泡がマグナの後を追い、仲間たちを運ぶ。ガイストが冷静に報告した。
「深度2500メートル。乱流を脱出。結晶は確保済みだ。」
タクミは息を吐き、額の汗を拭った。
「やった…。結晶を手に入れたぞ。」
一行が雲海を上昇する中、深淵の底が遠ざかる。崩れゆく岩盤から青白い光が漏れ出し、雲海の住人たちが光の筋を残して泳ぎ去る。リアが泡の中で光球を手に持って笑った。
「タクミ、すごいよ!結晶、めっちゃキラキラしてる!」
カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、豪快に言った。
「これでマグナが最強になるな!熔鉄団の火が待ってるぜ!」
ジンが竪琴を静かに奏で、穏やかに呟いた。
「深淵の試練を乗り越えたね。次は拠点だ。」
バルドが双剣を収め、低く言った。
「お前のマグナ、頑丈だな。剣術より頼りになる。」
タクミはコックピットで結晶を見つめる。青白い輝きが掌に暖かさを伝え、魔脈の脈動が微かに響く。
「これでセレスティア・ドライブが完成する。みんな、よくやったな。」
一行は雲海を抜け、ヘブンズ・セプトの拠点へと帰還する。風切りブレードの鋭い音が霧を切り裂き、推力ブースターの青い炎が雲海を照らした。




