第156話:「砂漠の戦いと帰還」
サンドクレストの市場、砂色のテントが立ち並ぶ中、タクミ一行は商人ザハドと話している。突然、砂塵を巻き上げて貴族の斥候――黒装甲兵5人が現れる。リーダーが剣を構え、低く叫ぶ。
「異邦人、貴様が天空の鍵の持ち主か!鍵を渡せ!」
タクミが超魔脈結晶の剣を手に持つ。紫と青の光が刃に脈打ち、鋭い輝きを放つ。
「渡すわけないだろ。お前らを返り討ちにしてやる。」
バルドが風嵐の双剣を抜き、静かに言う。
「タクミ、訓練の成果を見せろ。貴族の犬のこいつらくらいなら片付けられるだろ?」
戦闘が始まり、斥候がタクミに突進。タクミがバルドの教えた足さばきで動き、剣を振る。超魔脈結晶の刃が空気を切り裂き、黒装甲を斬る。光が砂塵に散り、タクミが息を吐く。
「これならいける!」
バルドが双剣で別の斥候を斬り、口の端を上げる。
「その調子だ、タクミ!腰を落として次だ!」
カザンが熔雷槌を振り上げ、衝撃波で斥候を吹き飛ばす。
「熔鉄団の力、見せてやるぜ!」
ザハドがラクダ団に号令をかけ、槍を持った商人が援護。ラクダが砂を蹴り、斥候を蹴散らす。ザハドが豪快に笑う。
「タクミ、お前らやるな!こちとら世界をまたにかけて商売してんだ!そんじょそこらの手練にだって負けねぇぜ?俺のラクダ団も負けねえよ!」
リアが光球を手に持つと、戦闘の魔脈に反応して微かに光る。彼女が驚く。
「えっ、また光ったよ!何か感じてるみたい!」
セリカが風影の爪で斥候の背後を突き、冷静に言う。
「リア、集中して。斥候はあと2人だよ。」
タクミが最後の斥候に剣を振り下ろし、黒装甲が砕ける。砂塵が収まり、彼が剣を下ろす。
「終わったな。バルド、師匠のおかげだよ。」
バルドが双剣を肩に担ぎ、軽く笑う。
「まあまあだな。だが、こいつらはまだ貴族の本隊じゃねえぞ。」
戦闘が終わり、ザハドがタクミに近づき、豪快に肩を叩く。
「お前らの実力、見たぜ。ヘブンズ・セプトって場所、確かに価値がありそうだ。俺のラクダ団で交易を広げてやるよ。」
タクミが剣を手に持ったまま、少し警戒した目で言う。
「ありがとう、ザハド。物資の流れが作れれば助かる。でも、サンドクレストはどうするんだ?商売の拠点があるだろ?」
ザハドが顎を擦り、豪快に笑う。
「サンドクレストは俺の本拠地だ。客も商路も捨てる気はねえよ。ヘブンズ・セプトに何か売れるもんがあれば、俺がサンドクレストで捌いてやるぜ。それで儲けが出りゃ、お前らと組む価値があるって分かるだろ?」
タクミが鍵を手に持つが、すぐには見せず、ガイストに小声で言う。
「ガイスト、こいつの反応を解析してくれ。心拍とか声のうわずりとか、嘘ついてないか分かるだろ?」
ガイストが冷静に解析し、タクミの耳元で囁く。
「心拍安定、声に緊張なし。現在の発言に嘘はないよ。だが、商売で王都とも取り引きをしている以上、貴族との繋がりの可能性はゼロじゃない。慎重に進め。」
タクミが頷き、ザハドに穏やかに言う。
「今は俺が鍵で移動してる。でも、貴族に狙われてるから、誰でも拠点に呼ぶわけにはいかない。ザハド、お前が信用できるなら協力したい。ヘブンズ・セプトには価値あるものが眠ってる。それをサンドクレストで売ってくれないか?」
ザハドが目を細めて言う。
「価値あるもの?どんなもんだ?」
カザンが熱く割り込む。
「すげえ場所だぜ!水晶がキラキラしてて、何か美味そうなもんとかあるに決まってる!サンドクレストで売れりゃ、でかい儲けになるぜ!」
タクミが苦笑いしながら補足する。
「カザン、まだ全部見てないだろ。拠点に戻って確認するけど、貴族の手が届かない場所だ。超魔脈結晶もあるけど、流出すると厄介だから拠点で使うだけだ。どうだ?」
ザハドが豪快に笑う。
「そりゃ面白いな!俺は商人だ、言葉より金で見せるぜ。ヘブンズ・セプトから何か送ってくれりゃ、サンドクレストで売って儲けを分ける。それで上手くいきゃ、お前らと本格的に組むよ。どうやって送るんだ?」
タクミが鍵を軽く見せながら言う。
「今は鍵で運ぶけど、毎回は効率悪い。魔脈転移装置を作れば、自由に行き来できるよ。」
ザハドが目を輝かせて言う。
「そりゃいいな!なら俺のラクダ団で市場を準備するぜ。装置ができたら教えてくれ、タクミ!」
セリカが市場を見回し、鋭く呟く。
「貴族の斥候がここまで来るってことは、動きが活発だね。魔脈ラインの状況を確認した方がいいかも。」
タクミが鍵を手に持つ。
「そうだな。サンドクレストの祠から戻るぞ。みんな、準備しろ。」
一行が祠に戻り、タクミが鍵をかざす。だが、六色の魔脈が乱れ、星図が不安定に揺れる。タクミが眉を寄せる。
「何だ?鍵が反応しない…!」
ガイストが冷静に解析し、言う。
「魔脈ラインが不安定だ。どこかで流れが乱れてる可能性があるよ。」
セリカが目を細めて呟く。
「私の勘だけど、もしかして魔脈ラインのどこかで魔脈の流れが滞ってる?貴族が何かしてるのかもね。」
タクミが鍵を握り直し、再びかざす。
「もう一度だ。ヘブンズ・セプト、戻るぞ!」
光の奔流がやっと安定し、一行を包む。視界が虹色に染まり、次の瞬間、ヘブンズ・セプトの祭壇前に立つ。黄金の草が揺れ、水路から透明な水が流れ、小屋前に輝晶果が山積みになっている。エリナが駆け寄り、笑顔で言う。
「タクミ、みんな!見てくれ!拠点が賑やかになったよ!」
タクミが水路と果実を見て、目を丸くする。
「エリナ、すげえな!水と食料、どうしたんだ?」
エリナが輝晶果を手に持って説明する。
「丘の裏で『輝晶果』って実を見つけて、水晶の泉から水路を引いたんだ!熔鉄団とヴェールウッドの村人たちが協力してくれたんだよ!」
カザンが果実をかじり、目を輝かせる。
「甘ええ!こりゃすげえぞ、エリナ!熔鉄団の腹が満たされるな!」
タクミが剣を手に持つ。
「サンドクレストで商人ザハドと会ったよ。交易で協力するつもりだ。次はヴェルディアで農夫を探したい。でも、鍵の反応が乱れたのが気になるな。ガイスト、魔脈転移装置の進捗はどうだ?」
ガイストが冷静に言う。
「解析は進めてるよ。魔脈結晶を使えば、1週間で試作できる。鍵の不安定さも調べる。」
タクミが鍵を見つめ、決意を込めて言う。
「分かった。拠点が育ってきたけど、魔脈ラインの乱れが読めない。ヴェルディアに行く前に、状況を確認しよう。」
エリナが笑いながら言う。
「タクミ、まずは輝晶果食べて休んでくれ!これからもっと賑やかになるよ!」
黄金の草が揺れる中、タクミ一行が拠点で一息つき、次の冒険への準備を始める。




