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第154話:「サンドクレストへの旅」

ヘブンズ・セプトの水晶の回廊から戻る道すがら、タクミ一行は黄金の草を踏みながら祭壇へ向かう。バルドが風嵐の双剣を肩に担ぎ、タクミに目を向けて静かに言う。

「タクミ、先程の戦い見てたが、お前まだまだだな。あの動きじゃ相手が貴族なら秒で死んでるぞ。」


タクミが木の棒を手に持ったまま、苦笑いしながら首を掻く。

「まだいくらも訓練してないし。あの守護者の速さに追いつけないよ…。」

バルドが少し苛立った顔で、タクミの肩を軽く叩く。

「棒を振り回してるだけじゃねえか。俺が教えた足さばきと剣の軌道をちゃんと頭に入れろ。これから毎日訓練は続けるから、覚悟しておけよ。」


タクミが棒を握り直し、笑みを浮かべる。

「分かった。バルドに鍛えてもらえば、生身でも戦えるようになるよな。よろしく頼むぜ、師匠。」

バルドが口の端を上げて、軽く頷く。

「まあ、気合いだけは認めるよ。頑張れ、タクミ。」


祭壇近くに戻ると、熔鉄団の職人たちがピットの土台を作り始めている。熔鉄団の現リーダー、ゴルドがタクミたちを見つけ、大きな剣を手に持って近づく。ゴルドがニヤッと笑いながら言う。

「おう、タクミ!お前、剣の修行してるんだってな?カザンから聞いてさ、熔鉄団の技術でこれ作っといてやったぜ!」


タクミが目を丸くして剣を受け取る。刃は超魔脈結晶が織り込まれ、紫と青の光が微かに脈打つ。柄は黒鉄で頑丈に作られ、鋭い切っ先は空気を切り裂くような輝きを放つ。重さは手に馴染み、最高級の硬さと鋭さが感じられる。タクミが剣を軽く振って、驚く。

「すげえ…!軽いのに力強いな。この結晶の光、回廊で見たやつだろ?」

ゴルドが胸を張って、ハンマーを肩に担ぐ。

「当たり前だ!この前お前らが持ってきた魔脈結晶を熔かして織り込んだ。硬さも鋭さも熔鉄団の最高傑作だぜ。とりあえずこれでも持ってな、タクミ!」

カザンが熔雷槌を地面にドンと立てて、豪快に笑う。

「ゴルド、いい仕事だぜ!タクミ、それで貴族どもをぶっ潰せよ。マグナがなくても戦える剣だ!」

タクミが剣を手に持ったまま、笑う。

「ありがとう、ゴルド、カザン。これならバルドの訓練も気合い入るよ。熔鉄団のおかげで拠点が形になってきたな。」

ゴルドが笑いながら手を振る。

「次の仲間集めに行くんだろ?ピットと小屋は俺らに任せとけ。棟梁の頼みだ、しっかり作るぜ!」



一行が祭壇に集まり、エリナが木材を手に持ったまま、首をかしげる。

「鍛冶場と住む場所が揃うのは嬉しいけど、食料と水源もまだ足りないよね。サンドクレストなら商人がいそうだって話だったけど、どうかな?」

タクミが鍵を見つめ、頷く。

「そうだな。サンドリア大陸のサンドクレストは交易都市だ。商人を連れてくれば、物資の流れが作れる。よし、そこにしよう。」

セリカが鋭く目を細めて言う。

「サンドクレストなら情報も集まるよ。貴族の動きも探れるかもしれない。行く価値はあるね。」

タクミが鍵をそっと近づけ、軽く息を吐く。

「サンドリア大陸、サンドクレストだ。ガイスト、座標を頼む。」

ガイストが冷静に言う。

「魔脈ライン確認。サンドクレスト近くのエアリス文明の祠、座標設定完了。移動可能だ。」

タクミが鍵を高く掲げると、六色の魔脈が水晶に波紋を広げ、四色の光が一瞬乱れる。空中に星図のようなホログラムが浮かび、サンドクレストの座標が黄金の光点として点滅する。タクミが目を閉じ、交易都市を思い浮かべる。

「みんな、準備しろ。行くぞ。」


光の奔流が一行を包み、黄金の草が波打ち、雲海が渦を巻く。視界が虹色に染まり、低い詠唱音が響く。次の瞬間、タクミ一行はサンドクレスト近くの祠に立つ。熱い砂漠の風が頬を叩き、遠くに交易都市の喧騒が聞こえる。

祠は砂岩に囲まれ、古代エアリス文明の紋様が風に削られた石柱に刻まれている。リアが七色の光球を手に持って、周りを見回す。

「わあ、砂がいっぱいだね!あそこに街が見えるよ、タクミ!」

バルドが風嵐の双剣を肩に担ぎ、目を細める。

「暑いな。風の民の俺には慣れねえ気候だ。貴族の気配はまだねえみたいだな。」

タクミが鍵を握り直し、言う。

「よし、サンドクレストに向かおう。商人をスカウトして、拠点に連れてくのが目標だ。」


一行が祠を出て砂漠を進むと、サンドクレストの城壁が見えてくる。砂色の石造りの街並みに、商人たちのテントが立ち並び、ラクダの鳴き声や交易の声が響く。セリカが街を見渡し、鋭く言う。

「賑やかだね。この規模なら有力な商人がいるはずだ。情報屋の勘だけど、市場の奥に何かありそう。」

タクミが頷く。

「頼りにしてるよ、セリカ。商人を説得するには、ヘブンズ・セプトの価値を伝えないとな。」

市場の奥に進むと、大きなテントの前に屈強な男が立つ。商人のリーダーらしき人物で、豪華なローブをまとい、鋭い目で一行を見据える。男が低く言う。

「お前ら、よそ者だな。何の用だ?」


市場の奥に進むと、大きなテントの前に屈強な男が立つ。商人のリーダーらしき人物で、豪華なローブをまとい、鋭い目で一行を見据える。男が低く言う。

「お前ら、よそ者だな。何の用だ?」

タクミが一歩進み、穏やかに言う。

「俺はタクミだ。この仲間たちと一緒にヘブンズ・セプトって拠点を築いてる。交易で協力してくれる商人を捜してるんだ。」

男が顎を擦り、興味深そうに言う。

「ヘブンズ・セプト?聞いたことねえな。俺はザハド、サンドクレストの商人だ。交易に値する場所なら話は聞くぜ。何があるんだ?」

カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、熱く言う。

「すげえ場所だぜ!水晶がキラキラしてて、魔脈結晶の鉱脈もある。熔鉄団がピット作ってんだ。物資を流せば儲かるぜ!」

ザハドが目を細めて笑う。

「魔脈結晶か…確かに価値はあるな。だが、貴族がうるせえこの頃だ。リスクも考えねえとな。」

セリカが冷静に言う。

「貴族の動きはこっちでも探れるよ。サンドクレストに圧力がかかってるなら、ヘブンズ・セプトで交易拠点を作れば逃げ道になる。」

ザハドが少し考え込み、タクミを見る。

「面白い提案だな。お前ら、ただの旅人じゃねえみたいだ。見に行くだけ見に行くのも悪くない。よし、俺のラクダ団を連れてく。だが、街を出る前に貴族の斥候がうろついてるって話だ。どうする?」

タクミが剣を手に持つ。

「斥候なら片付ける。ザハド、協力してくれるなら一緒に戦ってくれ。」

ザハドが豪快に笑う。

「いいぜ、タクミ。俺のラクダ団も戦える。貴族の犬どもをぶっ潰そう!」


その頃、王都大陸の鉄都ガルザードでは、貴族の拠点である黒鉄の城で新たな動きが始まっていた。ドルザーグが剣を手に持つ。

「ヴェールウッドの祠を封じた。ガレンは次元獣に押されてる。サンドクレストにも斥候を送ったぞ。」

貴族の一人が水晶球を手に持つ。映像に映るのは、サンドクレストの市場でタクミ一行とザハドが話す姿だ。貴族が震える声で言う。

「タクミがサンドクレストに現れました…商人と接触してるようです!」

クロノスが黒いローブを揺らし、冷たく言う。

「奴らが仲間を集めるのは予想通りだ。だが、魔脈ラインを乱す準備は整った。祠をさらに封じ、タクミの移動を制限しろ。」

ドルザーグが目を光らせて言う。

「サンドクレストの斥候に増援を送る。商人ごと潰して、タクミを足止めだ。クロノス、魔脈ラインの乱し方は?」

クロノスが水晶球に手を翳し、低く笑う。

「次元獣の核を祠に埋め込めば、魔脈が不安定になる。タクミが鍵を使っても、移動が困難になるだろう。」

ドルザーグが剣を握り直し、命令を下す。

「よし、サンドクレストの祠に核を送れ。タクミが次の土地に行く前に封じるぞ。」

黒鉄の城から貴族の兵が動き出し、タクミたちの知らぬところで、策謀が静かに迫る。



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