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第151話:「街づくりの第一歩」

ヘブンズ・セプトの天脈の祭壇近くで、タクミ一行は黄金の草に囲まれた簡素な木の小屋を見つめる。オラクルの許可を得て、ここが拠点となった今、新たな一歩を踏み出す時だ。風が湿気を帯び、遠くで水晶が微かに鳴る音が響く。


タクミが一行を見回し、片手で首の後ろを軽く叩きながら、少し笑みを浮かべる。

「オラクルから拠点の許可もらったし、これから本格的に街づくり始めようぜ。何が必要か、みんなでアイデア出してくれよ。」

エリナが木材を両手で抱えたまま、少し腰を曲げて顔を上げ、明るく言う。

「小屋は増やしてるけどさ、まだ全然足りないんだよね。みんなで寝るなんて狭すぎて無理だし、ぎゅうぎゅうで寝返りも打てないよ。他に何がいるかなって思うんだけど、どう思う?」

カザンが熔雷槌を肩にガツンと乗せて、胸を張りながら熱く声を上げる。

「おいおい、マグナを強化するピットがなきゃ始まらないだろ!熔鉄団の仲間呼んでくれば、俺がババっと作ってやるぜ!ほら、鍛冶の音が響く街って燃えるだろ!」


タクミがマグナの方に目をやって、顎に手を当てながら頷く。

「そうだな。超魔脈結晶と炎の炉が入って、なんか低く唸って力が増してる感じするよ。カザン、お前がアルテリア一の鍛冶屋なんだからさ、ピット作ってマグナをフル強化してくれよ。頼りにしてるぜ。」

カザンが右拳を左胸にドンと叩いて、豪快に笑う。

「任せとけって!焔嵐大陸に連絡して、熔鉄団の職人連れてくるからよ。炎の炉をマグナから外してピットに据えりゃ、なんでも作れるぜ!最高の鍛冶場、見せてやるからな!」

バルドが風嵐の双剣を手に持って、黄金の草を軽く踏みながら、静かにタクミに視線を向ける。

「これから街を作るなら、防御も必要になってくるよ。タクミ、お前はマグナに乗ってる時は俺たちを凌ぐ強さを持ってる。だけど、マグナから降りたら貴族に簡単にやられちまうかもしれない。この先の戦いを考えるとさ、マグナがなくても戦える力をつけた方がいいと思う。」

タクミが少し頭を掻いて、肩をすくめながら苦笑いする。

「確かにその通りだな。俺、研究ばっかりしてきてさ、体を動かすのって正直苦手なんだよ。…でもバルド、お前の剣術ってほんとすごいよな。見てて惚れ惚れするくらいだ。よし、お前から剣術習いたいよ。俺みたいな素人でも強くなれるかな?生身でも戦えるようになりたいんだ。」

バルドが静かに目を細めて、剣を軽く握り直しながら穏やかに返す。

「素質や才能も大事だけどな…いいだろう。教えるだけは教えるよ。風の民の技でよければ、基本から全部丁寧に伝えるから、しっかりついてきてくれ。」


二人が小屋の脇に移動して、バルドが双剣をスッと構える。タクミが近くの木の棒を拾って両手で握り、ちょっと緊張した顔で言う。

「えっと、こうかな?」

バルドが落ち着いた声で、少し首をかしげながら言う。

「構えてみろ。隙を見せないように気をつけろよ。」

タクミが棒を両手でしっかり持って、膝を軽く曲げて姿勢を低くする。

「よし、こうか?」

バルドが一瞬で間合いを詰めて、剣を鋭く振り下ろす。タクミが慌てて棒を上げて受け止めると、木がキィッと軋む音が響き、タクミが目を丸くして驚く。

「うわっ、速いな…!びっくりしたよ!」

バルドが淡々と言いながら、剣をゆっくり戻す。

「反応は悪くないな。だけど、まだ遅い。もっと体を動かす癖をつけろよ。」


その様子を少し離れたところから見てたリアが、七色の光球を両手で持って、ぴょんぴょん跳ねながら元気に叫ぶ。

「タクミ、頑張ってねー!この子も応援してるよ〜!」

タクミが棒を構えたまま、顔を少し上げて苦笑いを浮かべる。

「お、おう、ありがとうな、リア!応援されるとちょっと緊張するけど…嬉しいよ!」

セリカがその声を聞いて、小屋の影からスッと歩いて近づいてきて、光球をじっと見つめて鋭く呟く。

「リア、その光球さ、魔脈反応が落ち着いてるみたいだね。何か感じる?」

リアが光球を顔の近くまで持ち上げて、首をかしげながら目をキラキラさせる。

「うーん、何か分からないけどさ、すごい力持ってる気がするんだよね!セリカ、どう思う?」

ジンが竪琴を手に持って、ゆっくり近づきながら穏やかに笑う。

「不思議なものだね。こうやって脈打ってるの見てるとさ、なんか面白いよ。じっと見てると目が離せなくなってくる。」


エリナが木材を地面にそっと置いて、両手を腰に当てながらみんなに目を向ける。

「住む場所と鍛冶場が決まった感じだね。でもさ、食料とか水ってどうするの?ずっとこの小屋にこもってられないよ。喉乾いてカラカラになっちゃうし、お腹空いてグーって鳴っちゃうよ。」

ガイストが冷静に言う。

「解析した。黄金の草は食用には向かない。水源は祭壇近くに魔脈泉があるけど、飲める量はほんの微量だ。みんなが生活するには全然足りてない。」

セシルがウィンドティアーズ・ローブの裾を軽く摘んで揺らしながら、首をかしげて少し困った顔で提案する。

「ヴェールウッドはガレンたちに任せてるよね。うーん、別の土地で農夫とか水脈を探せる人を見つけた方がいいんじゃないかな?だってこのままじゃさ、水がなくて喉カラカラで声も出なくなっちゃうし、食料なくてお腹ペコペコで力も出なくなっちゃうよ。」

タクミがバルドとの訓練を一時止めて、額の汗を袖で拭きながら皆に言う。

「そうだな。熔鉄団の職人を呼んでピットを作るとして、街を育てる仲間を他の土地で探そう。サンドクレストなら商人がいるだろうし、ヴェルディアの別の集落なら農夫がいるかもしれないな。」

カザンが熱く叫びながら、熔雷槌を地面にドンと立てる。

「よし!焔嵐大陸に連絡だ!熔鉄の街から仲間連れてきて、ピットを作ってやるぜ!鍛冶の炎が上がるの見せてやるからな!」

エリナが笑いながら、両手を軽く叩いて言う。

「ここが賑やかになりそうだね。まずは小屋を増やしてさ、みんながちゃんと住めるようにしないとだよ。寝るところないと疲れちゃうしね。」

タクミが天空の鍵を手に持って、息を整えながら言う。

「拠点ができたし、次は街を育てる準備だ。カザン、熔鉄団を頼む。俺はバルドと訓練を続けるよ。」

バルドが剣を構え直して、タクミに目を向ける。

「次はお前から攻めてみろ。受け身だけじゃ覚えられないぞ。」

タクミが棒を握り直して、笑みを浮かべる。

「分かった。やってみるよ!」


黄金の草が揺れる中、街づくりの第一歩と仲間との絆が、少しずつ形を成していく。



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