第140話:光の試練 - 神殿の守護者
サンドリア大陸、交易都市ダストホロウ。灼熱の砂漠を抜けたタクミ一行は、街の喧騒の中へ足を踏み入れる。市場の叫び声と砂塵が混じり合い、陽光が石畳を照らす。だが一行は賑わいを避け、街の外れへと向かう。そこには古びた祠がひっそりと佇み、普段誰も近づかない荒れた石造りの門が、全高6mのマグナが辛うじて通れるほどの大きさで風に揺れている。マグナ・ストライダーの漆黒の装甲が砂に映え、肩の風切りブレードが鋭く光る。タクミがコックピットから祠を見下ろし、風神の眼を意識する。視界に魔脈の流れが青白く映り、彼の声が響く。
「ここが座標の位置か…ガイスト、周囲の状況は?」
ガイストが淡い光を放ち、冷静に報告。
「気温42℃、湿度8%。地下から微弱な魔力波長を感知。敵性反応は未確認だが、警戒を推奨。」
タクミが操縦桿を握り直し、仲間たちに呼びかける。
「光の神殿は街の地下にあるはずだ。入口はこの祠の下だ。探すぞ!」
マグナが祠前に停まり、仲間たちが馬車から降りる。リアがエーテル・ノヴァと上級魔導書を手に持つ。「祠の石門には雷の紋様が刻まれ、封印の魔力が微かに脈打っている。」
「地下に神殿か…何かドキドキするね。」
セリカが風影の爪を手に、周囲を鋭く見回す。
「地面の下に大きな気配があるよ。隠されてる感じがするね。」
バルドが嵐の双剣を肩に担ぎ、ニヤリと笑う。
「地下だろうが何だろうが、風の民としてぶち抜くぜ。」
カザンが熔雷槌を地面に突き立て、豪快に言う。
「熔鉄団の力で地下だろうが掘り起こしてやるぜ!」
ジンが竪琴を手に、穏やかに弦を弾く。
「アクエリアが地下の歌を拾ってるよ。ここが鍵の場所だね。」
セシルがウィンドティアーズ・ローブを整え、静かに頷く。
「魔脈が深い…この街の下に何か大事なものが眠ってるよ。」
タクミがマグナから降り、祠の石門に目をやり、雷の紋様を見つめる。
「この封印…雷の力が必要だな。リア、トーラスを呼べ。」
リアがエーテル・ノヴァを掲げ、力強く詠唱。
「雷の守護者よ、絆の雷鳴で我が元へ!トーラス!」
紫の魔法陣が祠前に広がり、雷鳴が轟く。全高10メートルの雷巨人トーラスが現れ、雷神の槍を手に空を睨む。紫の電流が地面を焦がし、タクミが指示。
「トーラス、雷で入口を開けろ!」
トーラスが槍を石門に突き刺すと、紫の雷が炸裂。雷の紋様が輝きを増し、石門が砕け散る。地下への階段が現れ、熱風が吹き上がる。
一行が階段を下りると、広大なホールが広がる。天井の隙間から陽光が差し込み、砂埃が光の中で舞う。中央には砂の祭壇が鎮座し、「光の鍵」が淡い金色に輝きながら浮かんでいる。タクミが目を細める。
「これが光の鍵…やっと見つけたぜ。」
リアが目を輝かせる。
「きれいだね!これで六つ全部揃うんだ!」
だがその瞬間、祭壇の下から砂が渦を巻き、神殿が震え出す。ガイストが警告音と共に叫ぶ。
「敵性反応急上昇!複数体、接近中!距離10メートル、即時戦闘準備を!」
砂の中から3体の「光の守護者」が姿を現す。全高7メートルの人型守護者が、光と砂塵を纏い、鋭い砂の槍を手に咆哮。金色の装甲が陽光を反射し、目が白く輝く。ガイストが解析。
「敵性反応だが、クロノスの波長とは異なる。古の魔脈エネルギー検出!」
タクミが叫ぶ。
「貴族じゃねえ…神殿そのものの守護者か!リア、ストームブリンガーに魔法を!」
リアが魔導書を開き、詠唱。
「風と大地よ、刃に宿れ――テンペスト・アース!」
魔法陣が地面に広がり、エーテル・ノヴァが緑と茶色に輝く。ストームブリンガーの流線型の刃が旋風と土塵を纏い、マグナの腕が唸りを上げる。タクミが一閃。
「喰らえ!」
風と大地の刃が守護者の胴体を切り裂き、砂が爆散する。衝撃波がホールに響き、ガイストが即座に報告。
「初撃、衝撃力6000N・m、敵の装甲損傷率28%確認!」
守護者が反撃に転じ、砂の槍を振り下ろす。槍がマグナの装甲に命中し、金属が軋む音が響く。ガイストが更新。
「槍の攻撃力4500N・m、装甲損傷率6%!複数体の連携攻撃に注意!」
タクミがマグナを後退させ、歯を食いしばる。
「まだだ!みんな、援護頼む!」
バルドが嵐の双剣を手に跳び出し、砂を蹴る。
「風の民の力だ!テラノス、粉砕しろ!」
岩石巨人テラノスが召喚され、砂塵を巻き上げて現れる。巨大な拳が守護者の頭部を叩き潰し、金属片が飛び散る。バルドが叫ぶ。
「これでどうだ!」
ガイストが報告。
「頭部損傷率35%、1体目の機能低下15%!」
カザンが熔雷槌を振り上げ、豪快に吼える。
「熔鉄団の復讐だ!イグニス・バースト!」
炎の戦士イグニスが召喚され、熔火の一撃で守護者に突進。爆炎が砂を焼き尽くし、光の装甲が焦げる。ガイストが更新。
「熱ダメージ追加、2体目の装甲損傷率40%!」
ジンが竪琴を奏で、穏やかな旋律で仲間を鼓舞する。
「アクエリア、力を貸してくれ!アクア・テンペスト!」
水流の人魚アクエリアが現れ、渦巻く水流で守護者の動きを封じる。水が砂に染み込み、守護者の脚が重くなる。ガイストが補足。
「機動力低下率30%、有効打確認!」
セリカが風影の爪を手に、砂塵の中を疾走。
「隙だらけだよ!」
背後から奇襲をかけ、爪が守護者の背面を切り裂く。金色の装甲が剥がれ、火花が舞う。ガイストが報告。
「背面損傷率20%追加、3体目の機能低下10%!」
だが、光の守護者たちが一斉に咆哮し、砂を巻き上げて巨大な砂嵐を形成。ホール全体が黄色く染まり、視界が遮られる。マグナのモニターが砂で乱れ、ガイストが警告。
「稼働率62%に低下、敵の攻撃予測困難!砂嵐による視界障害、戦術再構築を推奨!」
守護者の砂の槍が連続で飛来し、マグナと馬車を襲う。槍が装甲を貫き、衝撃が仲間たちを揺らす。ガイストが叫ぶ。
「槍の連撃、総衝撃力7200N・m、装甲損傷率12%追加!馬車に被害発生!」
タクミが操縦桿を握り直し、焦る。
「まずい…リア、もっと強いの頼む!」
リアが砂嵐の中で目を閉じ、深呼吸する。彼女の声が震えながらも力強く響く。
「仕方ないね…これで行くよ!全属性よ、刃に集え――オールエレメント・ユニゾン!」
上級魔導書が七色の光を放ち、エーテル・ノヴァが輝きを増す。リアが全7属性を込めて詠唱する。
「炎の裁きよ、氷の静寂よ、風の使者よ、大地の怒りよ、雷の終焉よ、光の審判よ、闇の深淵よ――我が剣に力を与えなさい!」
魔法陣が七重に展開し、ストームブリンガーが炎、氷、風、大地、雷、光、闇を纏う。刃が虹色に輝き、回転が加速して神殿全体に魔脈の風を巻き起こす。リアが叫ぶ。
「タクミ、全部込めたよ!いって!」
タクミがマグナのブースターを全開にし、2万3000ニュートンの推力で砂嵐を突き抜ける。ストームブリンガーを高く掲げ、彼が吠える。
「ぶち抜くぞ!オールエレメント・ブレイク!!」
剣撃が神殿を揺らし、五色のエネルギーが光の守護者たちを貫く。炎が燃え上がり、氷が砕け、風が切り裂き、大地が崩し、雷が爆ぜ、光が眩み、闇が飲み込む。砂嵐が吹き飛び、守護者3体が光の粒となって消え去る。衝撃波がホールの壁を震わせ、石柱にひびが入る。ガイストが報告。
「攻撃力1万2000N・m、全敵殲滅!魔脈波動安定化中!」
リアが膝をつき、エーテル・ノヴァを握ったまま苦笑い。
「はぁ…魔力、使いすぎちゃった…でも、やったね、タクミ!」
タクミがマグナから降り、彼女に近づく。
「お前、すげえよ。よくやったぜ。」
静寂がホールに戻り、砂塵が落ち着く。タクミが祭壇に近づき、「光の鍵」を手に取る。淡い金色の結晶が微かに脈打ち、彼の手の中で温かく光る。鍵を握ると、神殿の奥から低いうなり声が聞こえ、微かな振動が足元を揺らす。セシルがウィンドティアーズ・ローブを握り、目を閉じて感知する。
「この魔力波長…鉄都の黒い結晶と同じだよ。クロノスかドルザードが近いのかも。」
ガイストが補足。
「地下50メートル地点で異常なエネルギー反応を確認。調査の必要性あり。」
タクミが「光の鍵」を掲げ、仲間を見回す。
「これで六つの鍵が揃った。貴族やクロノスが動く前に、天空の階段を開くぞ。」
バルドが双剣を構え直す。
「風の民として、最後まで戦うぜ。」
カザンが熔雷槌を肩に担ぐ。
「熔鉄団の誇りにかけて、浮遊大陸までぶち抜くぜ!」
ジンが竪琴を奏で、微笑む。
「アクエリアが喜んでるよ。次の詩が楽しみだね。」
セリカが爪を鳴らし、鋭く言う。
「神殿の試練を越えたなら、次は奴らの本拠地だよ。私が切り開く。」
リアが立ち上がり、拳を握る。
「トーラスの雷があれば、天空の階段だって開けるよ!浮遊大陸、絶対に行くんだから!」
一行が神殿の奥を見つめる。砂塵の向こうに、浮遊大陸への道が一歩近づいた気配が漂う。タクミがストームブリンガーを握り締め、決意を新たにする。




