第134話:火神の覚醒 - ストームブリンガーの誕生
王都大陸、鉄都ガルザードへの道中。夜が明け、朝陽が砂漠を赤く染める。一行はガルザークとの戦闘後の休息を終え、焚き火の残り火が薄く煙を上げる中、マグナの損傷を前に話し合う。タクミが灰をかき混ぜ、焚き火の残りを見つめる。
「ガルザークの力、マグナでも押されちまった。鉄都で再戦する前に強化が必要だ。」
ガイストが浮遊しながら淡々と報告。
「機体損傷50%、装甲応力低下。戦闘継続は危険。」
リアがエーテル・ノヴァを膝に置き、少し不安げに呟く。
「あの目が赤いやつ、次はもっと強くなるよね…どうしよう。」
セリカが爪を鳴らし、鋭く目を細める。
「ガルザークの胸の結晶、見たことない魔脈の反応だった。鉄都で何が待ってるか分からないね。」
バルドが双剣を握り、砂を蹴る。
「あんな奴に負けるわけにいかねえ。強化するしかねえだろ。」
カザンが立ち上がり、熔雷槌を肩に担ぐ。汗と煤で汚れた顔に笑みを浮かべる。
「おい、タクミ。火神の炉があるだろ。あれならこの場でアジトの工房より強力に直せるぜ。俺が世界一の鍛冶屋、カザンだ。熔鉄団のリーダーとして、貴族に奪われた家族の仇を討つためにも、最高の武器を作ってやる。」
タクミがカザンを見上げ、確認する。
「火神の炉?焔嵐大陸で手に入れた、マグナに搭載してる出力装置だろ?」
カザンが頷き、熔雷槌を砂に突き立てる。
「そうだ。焔嵐大陸で俺が手に入れた秘宝だ。あれを使えば、どんな炉でも桁違いの火力になる。遺跡や祠で集めた強化素材なら山ほどある。ガルザークをぶちのめす武器も作ってやるぜ。」
一行が近くの魔脈ラインに沿った祠へ向かう。鉄都ガルザードまであと数十キロの地点。砂に半ば埋もれた祠は、古代の石柱が魔脈紋様で微かに光る。中央に巨大な古い炉があり、冷たい灰が積もっている。風が砂を運び、石柱に擦れる音が響く。
タクミが炉に近づき、手で灰を払う。
「この祠の炉か…魔脈の残響は感じるけど、火力は弱そうだな。」
ガイストが炉をスキャンし、報告。
「魔脈エネルギー濃度、低レベル。単体では不足。」
カザンが熔雷槌を地面に置き、炉を指差す。
「だから火神の炉を使うんだ。マグナから外してここに設置しろ。俺が世界一の鍛冶屋、カザンだ。この古い炉に火神の炉をぶち込めば、世界中のどの炉より強力な炎が上がるぜ。」
タクミが頷き、指示を出す。
「ガイスト、火神の炉を外せ。」
マグナの背部がガコンと開き、赤黒い金属製の炉が現れる。手のひらサイズだが、触れるだけで熱が滾り、魔脈の脈動が感じられる。カザンが炉を手に取り、笑う。
「よし、俺がやるぜ!」
火神の炉を古い炉に設置すると、轟音と共に凄まじい勢いの炎が立ち上る。青白い光が祠を照らし、熱風が一行の髪を揺らす。
「これだ!火神の炉を入れるだけで、こんな火力になる。作った物に魔脈を大量に込められるぜ!」
リアが目を丸くし、手を叩く。
「うわっ!すごい炎だよ!」
ガイストが冷静に報告。
「火力出力、世界最高レベル。魔脈込率300%増。」
タクミが炉の熱を感じながら指示。
「ガイスト、ガルザーク戦のデータを全部出せ。」
ガイストが投影画面を展開し、データを映す。
「ガルザーク戦データ:推力換算2万ニュートン、耐久力マグナ同等、魔脈結晶による増幅。剣の衝撃で装甲損傷40%、魔鋼剣の出力不足確認。」
タクミが炉のそばの石に座り、設計図を描き始める。
「魔鋼剣じゃあの重さに耐えきれなかった。新武器が必要だ。」
石に線を引きながら呟く。
「ガルザークの剣は質量と速度の極端な両立だった。ならこっちは軽量化と瞬間火力を極める。刃は流線型にして空気抵抗を最小に、風嵐の欠片で加速性能を上げ、雷結晶で衝撃力を増幅する。」
設計図に「ストームブリンガー(Stormbringer)」と記す。
「『嵐を運ぶ者』だ。古い西方の言葉で、嵐の力を宿した剣を意味する。刃の曲線は風を切り裂く形状で、結晶の配置は魔脈の流れを最大化する。」
カザンが設計図を覗き、笑う。
「お前、技術者としてやるな。このストームブリンガー、俺が世界一の鍛冶屋、カザンとして鍛えてやる。熔鉄団の魂を込めるぜ!」
タクミがカザンを見上げ、追加する。
「マグナの装甲も強化しろ。鉄竜の鱗で耐久力を上げてくれ。」
ガイストがデータを調整し、補佐。
「設計図最適化完了。素材使用率95%、成功率90%。」
カザンが熔雷槌を手に、炉に近づく。
「よし、素材をぶち込むぜ!」
魔脈結晶を炉に投入すると、炎がさらに勢いを増し、青白い光が祠を包む。
「この火力、世界一の鍛冶屋、カザンにしか扱えねえ!」
タクミが指示を飛ばす。
「風嵐の欠片で刃を軽く、雷結晶で威力を上げろ。」
カザンが頷き、素材を炉に投じる。
「分かってる!鉄竜の鱗も行くぜ!」
熔雷槌で叩き始め、汗が飛び散る。雷撃が混じる金属音が轟き、祠全体が震える。
「火神の炉なら、どんな素材も極上に仕上がる!」
リアが炎を見つめ、興奮気味に言う。
「すごいよ!炎が踊ってるみたい!」
セリカが魔脈の流れを感じ、感心する。
「完璧な流れだね。カザン、さすがだよ。」
ジンが竪琴を奏で、祈るように呟く。
「アクエリア、炉の力を整えてくれ!」
炎が調和し、素材が溶け合う。バルドが双剣を手に、目を輝かせる。
「カザン、お前すげえな。見てるだけで震えるぜ。」
カザンが炉から赤熱した刃を取り出す。
「ストームブリンガー、形になってきたぜ!これが俺、カザンの技だ!」
流線型の刃は風嵐の欠片で青く輝き、雷結晶が紫の電流を放つ。叩くたび、魔脈の力が込められ、風を切り裂く鋭い音が響く。タクミがマグナの損傷部に鉄竜の鱗を貼り付け、カザンに渡す。
「装甲も仕上げろ。」
カザンが熔雷槌で叩き、固定する。
「任せとけ!この装甲、世界一の鍛冶屋、カザンが鍛えた証だ!」
鱗が黒光りし、魔脈の輝きが宿る。ガイストが報告。
「装甲耐久力150%向上。ストームブリンガーの攻撃出力、魔鋼剣の2倍。魔脈込率300%。」
タクミが補足。
「ストームブリンガーは魔鋼剣の2倍の衝撃力を叩き出す。魔脈の込率が300%だから、一撃の威力はマグナの従来の攻撃を大きく超える。」
夕陽が砂漠を染める頃、ストームブリンガーが完成。流線型の刃は風のように軽く、雷が走るような鋭い輝きを放つ。マグナの装甲も黒光りし、新たな力が漲る。タクミがストームブリンガーを手に持つ。刃を軽く振ると、風が唸り、電流が砂を焦がす。
「これならガルザークの重さに負けねえ。技術者として計算した通りの仕上がりだ。魔脈の流れが刃先まで完璧に伝わり、一撃で2倍の破壊力を発揮する。鉄都で決着だ。」
カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、笑う。
「火神の炉と世界一の鍛冶屋、カザンの魂がこもった剣だ。熔鉄団の誇りにかけて、ガルザークをぶった斬れ!」
リアが拳を握り、目を輝かせる。
「ストームブリンガー、かっこいいね!これで勝てるよ!」
セリカが爪を鳴らし、頷く。
「鉄都で何が待ってるか分からないけど、これなら準備万端だね。」
バルドが双剣を構え、気合いを入れる。
「カザンの技、すげえぜ。俺も風の民として負けねえ!」
ジンが竪琴を握り、微笑む。
「アクエリアが剣の音を喜んでる。僕も全力でいくよ!」
タクミが仲間を見回し、決意を固める。
「ガルザーク、次はお前を仕留める。鉄都ガルザードでクロノスの正体を暴き、ドルザードの企みもぶち壊す。」
一行が火神の炉をマグナに再搭載し、鉄都へ向けて進む。夕陽がストームブリンガーの刃に反射し、砂漠に鋭い光を刻む。




