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第119話「サンドリアへの疾走と迫る影」

焔嵐大陸火口の縁で、タクミ一行が熔岩湖を見下ろす。熱風が髪を揺らし、石碑の残骸が赤くくすぶる。マグナの装甲に刻まれた傷が鈍く光り、荷車が再び繋がれて軋む。タクミが手に持つ赤い結晶の鍵を眺め、ガイストが肩の周りを漂う。仲間たちが荷車に乗り込み、戦いの余韻に息を整える。タクミが鍵を握り締め、鋭く言う。

「最初の鍵は手に入れた。次はサンドリア砂嵐遺跡だ。貴族に先を越される前に急ぐぜ。」


セリカが地図を広げ、サンドリア大陸を指す。

「焔嵐からサンドリアまで約800km。マグナの平均時速50km/hなら、16時間はかかる。王都の状況も気になるけど、サンドリアの座標がバレてる以上、先に鍵を奪わないと。」

タクミがガイストに目を向ける。

「ガイスト、鉄都ガルザードの現状はどうだ?猶予はまだあるか?」

ガイストが漂いながら解析する。

「これは鉄都偵察時点の状況からの推測だが、鉄都の魔脈装置、出力3万ニュートンで安定稼働中。次元の裂け目拡大速度1日0.8m、現時点で急を要さず。ただし、貴族の動きが加速した場合、状況変動の可能性あり。」

タクミが眉を寄せ、地図の王都を叩く。

「王都が安定してるなら、サンドリア優先だ。だが、貴族がサンドリアで鍵を奪えば、次元の裂け目に繋がる可能性もある。時間との勝負だな。」


カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、豪快に笑う。

「イグニスが燃えてるぜ!サンドリアだろうが王都だろうが、貴族をぶっ潰して鍵をいただくだけだ!」

リアがエーテル・ノヴァを手に、目を輝かせる。

「サンドリアの鍵も星が教えてくれたんだ!早く行こうよ!」

バルドが双剣を手に、静かに言う。

「貴族が動いてるなら、王都への対応も急ぐ必要がある。誰かに伝令を頼め。」


タクミが頷き、荷車から手のひらサイズの魔脈結晶装置を取り出す。結晶が青く光り、細かな紋様が刻まれている。タクミが装置を手に持つと、視線が遠くに漂い、熔鉄団アジトでの記憶が蘇る。


熔鉄団アジトの作業台に、タクミが熔嵐合金の欠片と魔脈結晶を並べる。熔鉄炉の火が赤く揺れ、ガイストが漂いながら設計図を投影する。タクミが鉄ペンで結晶の配置を書き込み、汗を拭う。

「ガイスト、これで世界に張り巡らされた魔脈を使って通信できるか?」

「魔脈ラインの波動を利用し、結晶間通信を実現。距離無制限、遅延0.3秒以下。成功確率94%。」

タクミが熔鉄団の工具で結晶を削り、細い配線を溶接。完成した装置を手に持ち、満足げに笑う。

「これならどこにいても連絡が取れるぜ?まぁ現代で言うスマホみたいなもんだな。」


作業所を出てタクミが影脈会のガレンに装置を渡す。熔鉄団アジトの広間、ガレンが剣を手に持つ中、タクミが使い方を説明する。

「結晶に魔脈を流して、相手の名前を念じる。それで通じる。今まで馬で伝令してたのが馬鹿らしくなるぜ。」

ガレンが装置を手に持つと、結晶が青く光り、タクミの声が小さく響く。ガレンが目を丸くし、驚きの声を上げる。

「何!?これだけで…世界中の魔脈を使って通信できるのか!?」

タクミが肩をすくめ、笑う。

「そうだ。ガイストと熔鉄団の技術の結晶だ。お前が王都に潜入するなら、これで連絡しろ。」

ガレンが装置を握り締め、感嘆する。

「驚くべき発明だ…今度エリナにも渡しとかねえとな。こいつがあれば、どこにいても連携できる。」

タクミが頷き、ガレンの肩を叩く。

「頼んだぜ、ガレン。」

回想が終わり、火口の現実に戻る。


タクミが魔脈通信機を手に、結晶に魔脈を流す。

「ガイスト、ガレンに伝令を送れ。」

ガイストが青く点滅し、装置に魔脈を注ぐ。

「伝令内容:『ガレンへ。俺たちはサンドリア砂嵐遺跡の鍵を奪う。その後、王都へ向かう。お前たちは先に王都の地下に潜入し、次元の裂け目の状況を調べてくれ。貴族の動きに警戒しろ。タクミより。』送信完了。」

タクミが装置を荷車に戻し、仲間を見回す。

「ガレンたちに王都を任せりゃ、俺たちはサンドリアに集中できる。行くぜ!」


マグナの風切りブレードが唸り、荷車を引いて動き出す。焔嵐大陸の熔岩岩を踏み砕き、サンドリア大陸へと疾走する。熱波が背後に遠ざかり、星の導きが次の試練へと一行を導く。


16時間後、マグナがサンドリア大陸の砂漠に到達する。夕陽が砂丘を赤く染め、風が砂を巻き上げて視界を霞ませる。平均時速50km/hで進むマグナの装甲に砂がガリガリと当たり、荷車が軋んで揺れる。タクミがコックピットでジョイスティックを握り、ガイストが肩の周りを漂う。

「ガイスト、遺跡まであとどれくらいだ?」

「残り距離10km、到着まで約12分。砂嵐強度上昇、魔脈濃度9%増。異常波動検出、警戒を推奨。」

セリカが荷車から身を乗り出し、砂嵐に目を細める。

「風が強すぎる…貴族が先に着いてる可能性もあるよ。」


その瞬間、砂嵐の向こうから馬の蹄の音と魔獣の唸りが響く。貴族の斥候隊が砂丘の影から現れ、黒いローブが風に翻る。斥候隊長が魔脈弓を構え、叫ぶ。

「異邦人ども!鍵は貴様らに渡さん!」

12名の弓兵が一斉に矢を放ち、赤黒い魔脈エネルギーが砂を切り裂く。矢がマグナの装甲にガツガツと連続で当たり、火花が散る。3体の魔獣――砂にまみれた巨躯が唸りながら突進し、鋭い爪が荷車をガリッと削る。タクミが歯を食いしばり、コンソールを叩く。

「くそっ、貴族だ!ガイスト、敵の規模は?」

「斥候隊12名、魔脈弓装備。魔獣3体を確認。攻撃力中規模、戦力増強兆候あり。」


タクミがマグナの魔脈ガンランチャーを起動し、右肩の砲口が展開する。

「まとめてぶっ飛ばすぜ!」

ドゥンッ、ドゥンッ、ドゥンッと連続で青白いエネルギー弾が発射され、砂嵐を貫いて貴族側に炸裂。爆発が砂丘を抉り、弓兵2名が馬ごと吹き飛び、土煙が舞う。魔獣1体が弾丸に直撃し、咆哮を上げて砂に沈む。だが、斥候隊長が馬を駆り、魔脈弓で反撃。矢がマグナの脚部を貫き、装甲がガリッとひび割れる。タクミが叫ぶ。

「脚がやられた!だが、まだ連射は止まらねえ!」

ガンランチャーが再び唸り、エネルギー弾が砂嵐を切り裂く。爆発が魔獣2体目を巻き込み、砂と火花が飛び散る。


カザンが熔雷槌を手に、荷車から飛び降りる。

「イグニスで焼き尽くすぜ!」

赤い炎が砂嵐に飛び込むが、風に煽られて拡散。残る魔獣がカザンに突進し、爪が槌に火花を散らす。カザンが押し返し、叫ぶ。

「タクミ、貴族を叩け!こいつは俺が仕留める!」

リアがエーテル・ノヴァを掲げ、トーラスの雷を撃つ。

「サンダー・ウェーブ!」

雷が弓兵3名を貫き、ローブが焦げて馬から転がる。だが、斥候隊が矢を連射し、荷車の側面に刺さる。


マグナが遺跡の入口に近づくと、砂嵐が一層強まり、古代の石柱が姿を現す。石柱の間から魔脈トラップが起動し、赤い光線がマグナの脚部を焼き切る。装甲が溶け、タクミが叫ぶ。

「罠か!ガイスト、解析しろ!」

「魔脈トラップ確認。出力5000ニュートン、回避困難。遺跡内部に鍵の波動検出。」

セリカが風影の爪を構え、光線を切り払うが、別のトラップが砂から飛び出し、刃が荷車を切り裂く。

「鍵に近づくほど罠が増える…貴族が元のトラップに加えてさらに仕掛けたのかも!」


貴族斥候隊長が砂嵐の向こうで笑う。

「鍵は我が手中に落ちる!貴様らに渡すものか!」

残る魔獣が突進し、マグナの腕を噛み砕く。装甲が軋み、火花が飛び散る。タクミがガンランチャーを再び構え、連射をぶち込む。

「邪魔だ!消えな!」

ドゥンッ、ドゥンッとエネルギー弾が魔獣と斥候隊長を直撃。魔獣が咆哮を上げて砂に沈み、隊長の馬が崩れ落ちる。だが、残る弓兵が矢を放ち、マグナの胸部に命中。装甲がひび割れ、タクミが拳を叩く。

「王都の猶予があっても、サンドリアで手こずってる場合じゃねえ!突破するぜ!」

マグナが風切りブレードを全開にし、砂嵐を切り裂いて遺跡へ突進する。だが、トラップの光線がさらに増え、貴族の矢が背後から迫る。秒を争う展開の中、一行は鍵へと手を伸ばす。



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