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第113話「炎の余韻と新たな影」

火の神殿を制覇したタクミ一行は、神殿の外で休息を取る。熔岩流が遠くで赤く脈打ち、熱風が収まりつつある夜だ。神殿の黒ずんだ石壁から熱気が立ち上り、周囲の岩場は熔けた跡がまだ熱を帯びてかすかに煙る。星空が広がる中、焚き火のオレンジ色の炎がパチパチと音を立て、仲間たちの顔を照らす。荷車から取り出した干し肉と水を手に、タクミは焚き火を見つめ、目を細める。

「ガイスト、5つの神殿を制覇したぜ。貴族の残党がまだ動いてるのが気になるな。」

ガイストの球体が青く点滅し、冷静に応じる。

「同意。魔脈異常が王都大陸と次元の裂け目付近で急増中。貴族の残党の活動が予測を超えている。休息後の調査を推奨。」

タクミが薪をくべ、炎が一瞬大きく揺れる。

「そうだな。少し休んで、次に備えるか。」


リアが干し肉を頬張り、焚き火の向こうで笑う。

「タクミ、私たちすごいよね。5つの神殿を制したなんて!」

セリカが風影の爪を岩に立てて磨き、鋭い目で遠くの熔岩流を見やる。

「でも、貴族の魔獣があんなに強かったのは変だよ。ゼノスを倒したはずなのに、何か裏がある気がする。」

カザンが焚き火のそばで豪快に笑い、干し肉をガブっと噛む。

「火神の炉を手に入れたし、イグニスの炎も俺の力だ。熔鉄団の誇りにかけて、次の戦いもぶっ潰すぜ!」

火神の炉の赤い結晶を手に持つと、焚き火の光を受けて小さく揺らめく炎が映り込む。

「こいつで何か作れるかな…ガイスト、どう思う?」

ガイストが即座に答える。

「火神の炉の魔脈エネルギー、鍛冶に利用可能。武器の耐久性と火属性付与を推測。試行を推奨。」

カザンが目を輝かせ、拳を握る。

「よし、熔鉄団の技術で試してみるぜ!」


セシルが水筒を手に、焚き火のそばで少し俯く。

「私、ヒール・ルミナスを覚えたけど、まだ弱いよ。もっとみんなを守れるように頑張るね。」

リアがセシルの肩に手を置き、優しく笑う。

「セシル、あの熱の中でみんなを癒したんだから十分すごいよ。私も教えるから、一緒に強くなろう。」

セシルが薪の燃える音を聞きながら微笑み、顔を上げる。

「うん、ありがとう。次の戦いに備えるよ。」


バルドが物陰で嵐の双剣を磨き、熔岩の赤い光が剣身に映る。リアが近づき、岩に腰掛けて笑う。

「バルド、いつも冷静だよね。私、戦うたびにドキドキしちゃうよ。」

バルドが剣を手に持ったまま、遠くの夜空を見やる。

「敵が強けりゃ斬る。それだけだ。お前は魔法で十分やってる。」

リアが少し考え込む。

「でも、貴族の魔獣が強すぎるよね。ゼノスを倒したのに、こんなに大変なんて…。」

バルドが静かに言う。

「何か見落としてるのかもしれねえ。次で答えが出るさ。」

リアが笑顔を取り戻す。

「そうだね。私も負けないよ!」


ジンが竪琴を奏で、穏やかな音色が夜風に溶ける。熔岩の遠くの唸りがかすかに混じる中、彼が呟く。

「5つの神殿を制したのに、アルテリアの風が落ち着かないね。何か大きな力が動いてる気がする。」

セリカが荷車から地図を取り出し、タクミに差し出す。風に地図が揺れ、焚き火の光が紙を照らす。

「ねえ、タクミ。この前の街で王都大陸と次元の裂け目で魔獣の目撃情報が増えてるって聞いたよ。鉄都ガルザードの城付近で特に貴族の動きが活発みたい。」

タクミが地図を広げ、眉を寄せる。指で鉄都ガルザードをなぞる。

「ガイスト、魔脈異常のデータと照らし合わせてくれ。」

ガイストが解析を始める。

「了解。王都大陸で魔脈濃度15%増、次元の裂け目で22%増を確認。鉄都ガルザード周辺で異常集中。貴族の残党が魔脈を利用している可能性が高い。」

タクミが地図を叩き、焚き火の火花が舞う。

「ゼノスがいなくなっても、貴族がこんなに動けるなんて…何か裏があるな。」


夜が深まり、星空の下で一行が集まる。タクミが立ち上がり、焚き火の光に照らされ、マグナのシルエットが背後に映る。

「ガイスト、王都大陸の様子を見てくる必要がありそうだ。鉄都ガルザードの城付近で何が起きてるか、マグナで偵察に行くぜ。」

ガイストが応じる。

「同意。魔脈異常の原因特定と情報収集を推奨。準備を急げ、タクミ。」

セリカが風影の爪を手に立ち上がり、夜風に髪が揺れる。

「私も行くよ。街で聞き込みすれば、貴族の動きが分かるかもしれない。」

タクミが頷き、マグナを見上げる。

「そうだな。セリカは街で情報集めてくれ。俺とガイストは上から様子をマグナに搭載してある魔脈カメラで撮ってくる。マグナに簡易カゴをつけて、セリカを運ぶか。」

カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、豪快に笑う。

「なら熔鉄団のアジトに一旦戻ろうぜ。あそこなら炉があるからなんでも作れる!カゴくらい一瞬で仕上げてやるよ!」

タクミが焚き火を踏み消し、荷車を指す。

「よし、決まりだ。同じ焔嵐大陸だし、アジトならすぐだ。準備して移動するぜ。」


一行は荷車に荷物を積み、焔嵐大陸の荒々しい大地を進む。熔岩が冷えた黒い岩場を踏みしめ、遠くの火山が赤い煙を吐く中、夜風が乾いた土埃を巻き上げる。マグナの重い足音が地面を震わせ、風切りブレードが低く唸る。リアが荷車の横を歩きながら言う。

「熔鉄団のアジト、久しぶりだね。あそこでカザンに風以外の魔法を教えてもらったんだよね!楽しみだな。」

カザンが胸を張り、熔雷槌を振り回す。

「リアは素質があったからな!あの時のリアの必死さを見て放っておけなかった。」

ジンが竪琴を手に、星空を見上げて呟く。

「焔嵐大陸の風も熱を帯びてるね。この旅、次の試練が待ってる気がするよ。」


熔鉄団のアジトに到着すると、巨大な熔鉄炉が赤く輝き、周囲に熔嵐合金の欠片が散らばる。鉄槌の音が響き、熱気が一行を包む。カザンが炉に火を入れ、熔鉄の炎が轟々と唸る。

「さあ、始めようぜ!」

熔嵐合金を炉に投じ、火花が飛び散る。カザンが熔雷槌で叩き、頑丈なカゴを一気に仕上げる。完成したカゴをマグナの背に固定し、タクミが確認する。

「いい出来だ、カザン。これでセリカを運べるぜ。」

リアがタクミを見送り、熔鉄炉の熱風に髪が揺れる。

「気をつけてね、タクミ。私たちもここで準備しておくよ。」

タクミがマグナのコックピットに乗り込み、決意を固める。

「よし、ガイストとセリカで偵察だ。貴族の残党が何を企んでるか、確かめてくるぜ。」


マグナの風切りブレードが唸りを上げ、カゴにセリカを乗せて動き出す。熔鉄団のアジトの炉の炎が背後に揺れ、星空の下で一行は次の旅路へ踏み出す。遠く王都大陸の影が、不気味に揺らめく。



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