第111話:雷鳴の絆と地の刃
風脈の祠を後にしたタクミ一行は、アルテリアのサンドリア大陸から焔嵐大陸へ向かう。朝の荒野を抜け、遠くに熔岩が赤く輝く火山が姿を現す。マグナ・ストライダーの暗銀色装甲が朝陽に映え、幅広い肩と厚い胸部が力強さを放つ。風の翼が青白い魔脈エネルギーを纏い、タクミはコックピットの革張りシートに座り、ジョイスティックを握る。
「火の神殿まであと50キロ。ガイスト、魔脈濃度をチェックしてくれ!」
ガイストが天井スピーカーから冷静に応じる。
「了解した。魔脈濃度上昇中。焔嵐大陸特有の火属性エネルギーを検出。半径10キロ内に異常なし。進行を推奨する、タクミ。」
モニターに魔脈スキャンが映り、タクミが目を細める。
「よし、貴族の魔獣軍が動いてる可能性が高い。みんな!一緒に気を引き締めていくぞ。」
荷車の中で、リアがエーテル・ノヴァを手に持つ。
「火の神殿って熱そうだね。でも、私たちの絆ならどんな試練も乗り越えられるよね、タクミ?」
タクミが頷き、笑みを浮かべる。
「ああ、お前とトーラスの雷が頼りだぜ。マグナも準備万端だ。」
バルドが嵐の双剣を手に、無表情で呟く。
「敵が来るなら斬る。それだけだ。」
昼過ぎ、一行は熔岩流の近くの岩場で休息を取る。マグナを岩陰に停め、タクミが装甲パネルを開ける。肩の排気口から魔脈蒸気が噴射し、彼は汗を拭う。
「マグナの推力2万1000ニュートン、異常なし。ガイスト、よくやってくれたな。」
ガイストが静かに応じる。
「タクミ、俺の機能は君を支えるためだ。風脈結晶の統合は成功と評価する。」
リアがトーラスの力を感じながら、エーテル・ノヴァを握り締める。
「タクミ、私、もっと強くなりたい。トーラスともっと深い絆を築けたら…。」
セシルが風鳴の指輪を光らせ、優しく微笑む。
「リア、私も魔法を磨いてるよ。一緒に頑張ろう。」
ジンが竪琴を奏で、穏やかな声で言う。
「その気持ちが君を強くするさ。」
タクミがリアを促す。
「試してみなよ。」
リアが立ち上がり、目を閉じて詠唱する。
「雷の守護者よ、絆の雷鳴で我が元へ!トーラス!」
雷鳴と共に全高10mの巨人が現れ、雷神の槍を手に雷光を纏う。リアが叫ぶ。
「サンダー・ウェーブ!」
雷撃波が岩を砕き、鋭く速い光が大地を焦がす。ガイストが分析を伝える。
「威力30%増、詠唱時間短縮を確認。成長の兆しを示している。」
タクミが笑い、拳を握る。
「すげえな、リア!トーラスがマグナに負けない迫力だぜ!」
休息を終え、再び旅を始めると、地面が揺れ、次元獣「熔岩の蠍」が現れる。全長8m、熔岩を纏った鋏と尾が炎を噴き、熱気が一行を襲う。タクミが叫び、マグナに乗り込む。
「貴族の魔獣軍だ!みんな、戦闘準備!」
モニターに蠍の弱点が映り、風神の眼が魔脈の流れを捉える。肩の排気口が唸り、風の翼が風切り音を立てる。
カザンが熔雷槌を振り、豪快に突進する。
「熔鉄団の力でぶっ潰すぜ!」
雷撃を放つが、蠍の熔岩装甲に弾かれる。セリカが風影の爪で高速移動し、鋭い目を光らせる。
「背後が弱点っぽいよ!熔岩が薄い!」
リアが魔導書を掲げ、力強く詠唱する。
「雷の守護者よ、絆の雷鳴で我が元へ!トーラス!」
雷神の槍を持った巨人が蠍に突進し、雷が鋏を麻痺させる。
バルドが前に出て、低く呟く。
「地の守護者よ、絆の大地で我が元へ!テラノス!」
全高12mの岩石巨人が現れ、地面を隆起させて蠍を押さえつける。バルドが双剣を振り上げる。
「ストームサンダー・スラッシュ!」
雷と風を纏った斬撃が唸り、さらに叫ぶ。
「テラノス・ストーム!」
地面が割れ、雷と風が融合した一撃が蠍の装甲を粉砕する。タクミがマグナを動かし、叫ぶ。
「マグナ、仕上げだ!」
ガンランチャーが魔脈弾を連射し、蠍の核を撃ち抜いて仕留める。
蠍が倒れ、一行は一息つく。タクミがコックピットから降り、バルドに近づく。
「バルド、すげえ技だったな。テラノスと双剣の連携、完璧だ。マグナも助かったぜ。」
バルドが静かに目を伏せる。
「仲間を守るためだ。復讐じゃなく、未来のために斬る。」
ガイストが分析を伝える。
「敵装甲の応力限界を超えた攻撃を確認。バルドの成長を記録する。」
リアが笑顔でバルドに駆け寄る。
「バルド、私ももっと頑張るよ!トーラスと一緒にね!」
セシルが風鳴の指輪を握り、呟く。
「リア、私も回復魔法を覚えたら役に立てるかな?」
タクミが全員を見回し、頷く。
「みんなが強くなってる。それが俺たちの力だ。」
セリカが軽快に提案する。
「ねえ、タクミ。火の神殿で何かアクセサリー見つけたら、私みたいに戦える子が増えるかもね!」
タクミが笑い、肩を叩く。
「いいアイデアだ。火の神殿で何か見つけたら、俺がその素材を元になにか作ってもいいしな。ガイスト、お前もマグナを頼むぜ。」
ガイストが静かに応じる。
「了解した。タクミ、俺は君と共に進化する。火の神殿での成果を期待する。」
夜、岩場で焚き火を囲む。カザンが肉を焼きながら豪語する。
「火の神殿でもしイグニスを手に入れたら、熔鉄団の誇りを見せるぜ!」
ジンが竪琴を奏で、穏やかに言う。
「火の力が加われば、俺たちの歌も熱くなるさ。」
セリカが情報屋らしい目で呟く。
「貴族の動きが怪しいよ。火の神殿に何か隠してるかも。」
タクミがマグナを見上げ、力強いシルエットが星明かりに映える。
「ガイスト、貴族やゼノスの裏に何かある。この旅で答えを見つけなきゃな。マグナを強化して乗り越えるぜ。」
ガイストが冷静に応じる。
「同意を示す。魔脈データの異常が継続中。火の神殿で新たな手がかりを得ることを推奨、タクミ。」
タクミが笑い、拳を握る。
「そうだな。仲間と一緒なら、どんな敵でも倒せる。さすが相棒だな。」
星空の下、一行は火の神殿への決意を新たにし、次の戦いへと進む。




