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第11話:守るための力

翌朝、ヴェールウッド村に静けさが戻った。燃え焦げた森の残り香が薄れ、朝焼けが木々の間を照らす。タクミは倉庫の中で、ガイストMk-Iを点検していた。肩から外したウェアラブル型の機体を机に置き、炉の焦げた部品を見つめる。黒く焼けた配線と歪んだアクチュエーターが、昨夜の戦いの激しさを物語っていた。彼が呟く。

「冷却が弱点か…改良が必要だ。」


胸部のガイストのAIコアが微かに光り、低い声で皮肉っぽく響く。

「初戦で稼働率67%、お前なら上出来だろ。よく壊れなかったな。」

タクミが工具を手に持ち、ガイストを睨んで返す。

「次は100%だ。貴族の魔導士だろうが叩き潰せる機体にする。」

ガイストが光を点滅させ、分析を始める。

「炉の冷却効率30%、過熱で出力低下が20N・m分。次戦までに冷却機構を強化しろ、タクミ。」

タクミが頷き、設計図に新たな線を引く。頭の中で冷却パイプの配置と魔脈エネルギーの安定供給を計算し始める。


そこへエリナが倉庫に現れた。剣を腰に下げ、煤と汗にまみれた顔でタクミを見据える。

「村人たちがお前に感謝してる。昨夜はお前がいたから助かった。」

タクミが工具を置き、エリナに視線を移す。

「そうか…なら、もっと頑張らねえとな。」

エリナが目を細め、静かに警告する。

「だが、貴族は諦めない。奴らは増援を連れて戻ってくる。私たちを潰すまで止まらないよ。」


タクミが拳を握り、目を燃やす。

「なら、次は俺から仕掛ける。奴らを待つだけじゃなく、こっちから叩き潰す。」

エリナが小さく笑い、頷く。

「その言葉、気に入ったよ。だが、無茶はするな。お前が死んだら村が困る。」

タクミが苦笑し、設計図を指さす。

「心配すんな。ガイストと俺で、貴族を後悔させてやる。」


その時、倉庫の入り口に小さな影が現れた。村の少女が、ボロボロの服を纏い、怯えた目でタクミに近づく。彼女が震える声で聞く。

「また来るの…?あの怖い人たち…」

タクミが工具を置き、少女の前に膝をつく。彼女の怯えた瞳を見つめ、優しく言う。

「お前を守る。それが俺の仕事だ。もう怖がらなくていい。」

少女の目が潤み、小さく頷く。

「うん…ありがとう、おじちゃん。」

彼女がタクミの手を握り、その小さな温もりが彼の胸に染みる。


エリナがその様子を見て、静かに言う。

「村人にとっちゃ、お前が希望だ。だが、その希望を守るにはもっと力が必要だな。」

タクミが立ち上がり、ガイストMk-Iを見据える。

「ああ…次は完璧にする。この機体で、貴族を終わらせてやる。」

ガイストが光り、低く応える。

「お前の意気込みなら、稼働率100%も夢じゃないな。」

倉庫に朝陽が差し込み、タクミの決意が新たな一歩を刻んだ。ヴェールウッドの未来は、彼の手にかかっていた。



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