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第105話「焔嵐の街と影の噂」

焔嵐大陸の荒々しい大地を進む一行は、熔脈の工廠から半日歩き続け、夕暮れ時に交易都市「熔鉄の街」にたどり着いた。赤茶けた石造りの建物が立ち並び、熔鉄の煙と交易の喧騒が混じり合う。街の入口にマグナ・ストライダーが立つと、住民たちが驚いた視線を向ける。タクミはコックピットから球体のAIコア――ガイスト――を取り外し、手に持つ。ハッチが開き、彼が機体を降りると、仲間たちが広場に集まった。


熔鉄の街の広場は、熱を帯びた石畳に商人たちの露店が並び、鉄を叩く音が遠くから響く。タクミが熔魔鋼と天脈結晶を手に持つと、仲間たちが自然と輪を作り、昨日の盗賊との会話を振り返り始めた。タクミが口を開く。

「影脈会が禁忌魔法で次元獣を増やしてるって、あの盗賊の言葉、どう思う?」


リアが上級魔導書を手に、少し考え込む。

「もし本当なら、次元獣が増えてる理由が分かるよ。私の兄、レオンは禁忌魔法で命を落とした。あんな過ちを繰り返させたくない」

セシルがエアリスウィスパーを握り、静かに言う。

「影脈会にいた私には、その噂が噂だけとは思えない。レオンの後を継いだ時、禁忌魔法の研究が進んでたのは確かだ。次元獣を操るなんて無茶な計画も、彼らならやりかねないよ」


バルドが双剣を肩に担ぎ、低く呟く。

「貴族を倒すためなら何でもする連中か。だが、次元獣が増えたら俺たちの敵も増えるだけだ」

カザンが熔雷槌を地面に叩きつけ、豪快に笑う。

「敵が増えようが関係ねえ。ぶっ潰すだけだぜ!でも、確かに妙だな。次元獣が立て続けに出てくる理由がそれなら納得だ」


ジンが竪琴を軽く鳴らし、穏やかに言う。

「禁忌魔法か…詩にもならねえ暗い話だね。でも、この街なら何か情報が手に入るかもしれないよ」

セリカが短剣をくるりと回し、目を輝かせる。

「情報屋の出番だね!盗賊が言ってた『焔嵐の交易路で聞いた』ってのが気になるよ。私、街の人に話を聞いてくる!」

タクミが頷く。

「いい考えだ、セリカ。単独で動いて情報集めてくれ。俺たちはここで休んで、次の魔脈ラインの準備をする」


セリカが軽やかに跳ねて広場を出ていく。タクミが手に持つガイストに目を向ける。球体のAIコアは微かに青い光を放ち、彼の手の中で小さく振動する。

「ガイスト、次の魔脈ラインの反応は?」

ガイストが冷静に答える。

「街の東、距離10キロで反応だ、タクミ。PDAが微弱な魔脈エネルギーを拾っている。明日には到達可能だ」


リアが魔導書を膝に置き、疲れた顔で微笑む。

「少し休めるのは嬉しいね。次元獣との戦い続きで疲れてたよ」

セシルが小さく笑う。

「私もだよ。でも、影脈会の噂が本当なら、休んでる暇はそう長くないかもしれないね」

タクミが熔魔鋼を手に持ったまま、言う。

「そうだな。熔魔鋼で装甲を強化して、次に備える。セリカの情報次第で、影脈会の動きも追うぞ」


夕陽が熔鉄の街を赤く染め、仲間たちの会話が広場の喧騒に溶け込む。少し離れた市場では、セリカが商人や旅人に声をかけ、盗賊の噂の真実を探り始めていた。露店の影で、彼女は熔鉄を運ぶ商人に近づく。

「ねえ、この街で変な噂聞いてない?影脈会とか、次元獣とかさ」

商人が目を細め、低い声で答える。

「影脈会か…最近、交易路で妙な連中を見たって話はあるよ。黒いローブで、魔脈の結晶を運んでたってさ。次元獣が増えたのも、あいつらの仕業だなんて噂もあるが、真偽は知らねえ」

セリカが耳をピクリと動かし、笑う。

「黒いローブね…面白い情報、ありがとう!」


広場に戻ったタクミたちは、露店のスープとパンを手に休息を取る。カザンがスープを豪快に飲み干し、「次元獣より美味いぜ!」と笑う。バルドが無言でパンをかじり、ジンが竪琴を爪弾きながら穏やかな旋律を奏でる。リアが魔導書を閉じ、セシルの隣で呟く。

「レオンのこと、思い出すと今でも辛いよ。でも、タクミたちと一緒なら止められる気がする」

セシルが優しく頷く。

「私もそう思うよ。過去は変えられないけど、未来は守れるよね」


その時、セリカが広場に戻ってくる。彼女が短剣を手に軽く跳ねながら言う。

「タクミ、情報ゲットだよ!交易路で黒いローブの連中が魔脈の結晶を運んでるって。影脈会の仕業っぽいね。次元獣が増えたのも関係あるかもってさ!」

タクミが目を細め、ガイストを手に持つ。

「黒いローブか…ガイスト、その反応と結びつくか?」

ガイストが冷静に答える。

「可能性はある、タクミ。東10キロの魔脈反応が微弱なのは、結晶の移動によるものかもしれない。追跡が必要だ」


タクミが立ち上がり、仲間たちを見回す。

「セリカの情報と次元獣の動きが繋がってきたな。熔魔鋼でマグナを強化しつつ、影脈会の動きを追う。東へ向かうぞ」

カザンが熔雷槌を担ぎ、笑う。

「強化だろうが追跡だろうが、やることは一緒だ。ぶっ潰すだけだぜ!」

バルドが双剣を手に、低く言う。

「敵が次元獣だろうが影脈会だろうが、俺の剣は変わらん」


夕陽が沈み、熔鉄の街に夜の帳が下りる。広場の火が仲間たちを照らし、次の戦いへの決意が静かに燃え上がる。だが、その時、街の外から微かな地響きが響き、ガイストが即座に言う。

「タクミ、街の南西から異常な魔脈反応を検知した。微弱だが、不規則だ。何かが近づいている可能性がある」

タクミが熔魔鋼を握り、目を細める。

「この街で充分に体を休めたら、各自準備しておいてくれ!みんな!」



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