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第104話「熔鉄の足跡と次元の罠」

ヴェルディアの森を抜け、タクミと仲間たちは焔嵐大陸へと続く道を進んでいた。太陽が空高く昇り、地面が熱を帯び始めると、マグナ・ストライダーのブースターが微かに焦げる音を立てる。タクミはコックピットで魔脈投影結晶を見ながら、次の魔脈ラインの反応を確認する。


「ガイスト、次のポイントは?」

ガイストが冷静に応じる。

「焔嵐大陸の入口、距離5キロで魔脈反応だ。PDAが熱と魔脈エネルギーの集中を示している。熔鉄系の遺跡の可能性が高い」

タクミが風神の眼で遠くを見やると、赤茶けた大地の先に熔けた鉄のような光が揺らめく。

「熔脈の工廠か…盗賊が次に狙う可能性もあるな。急ぐぞ」


一行が熔脈の工廠に近づくと、空気が熱を帯び、地面が微かに震え始めた。セリカが耳をピクリと動かし、短剣を構える。

「猫の勘が騒ぐよ。何かでかいのが来る!」

ガイストが即座に反応する。

「下方左20度、南南東から1800N・mの衝撃を確認。距離300メートル、サイズは全高12メートル級だ」


地面が割れ、次元獣「熔鉄の巨牛」が姿を現す。全身が熔けた鉄のように赤熱し、火属性の角が魔脈の光を帯びて輝く。巨体が地面を踏みしめるたび、熱波が周囲を炙り、木々が焦げる。タクミがドリルアームを構える。

「1万4000ニュートンでフル稼働だ。みんな、サポート頼む!」


リアが上級魔導書を開き、エーテル・ノヴァを掲げる。深呼吸し、詠唱を始める。

「水の精霊よ、我が声に応え、炎の猛威を鎮めよ——アクア・テンペスタ!」

魔法陣が青く輝き、水の渦が巨牛を包む。火属性の弱点である水が熔けた装甲を冷やし、蒸気を上げて動きを鈍らせるが、巨牛は咆哮を上げ、角を振り回して水を弾く。


バルドが風嵐の双剣を手に突進する。

「タクミ、俺が隙を作る!」

双剣が巨牛の側面を切り裂くが、熔鉄の装甲は硬く、浅い傷しか刻めない。巨牛が振り向いて角を振り下ろし、バルドが避けきれず肩を擦って地面に転がる。血が滴り、彼が歯を食いしばる。


カザンが熔雷槌を振り上げる。

「お前の足、止めてやるぜ!」

槌が巨牛の前脚に叩き込まれ、地面が震えるが、巨牛は力任せに脚を振り払い、カザンに熱波を浴びせる。カザンが後退し、腕に軽い火傷を負う。ガイストが補足する。

「正面から1200N・mの反動だ、タクミ。装甲が予想以上に硬い。弱点を露出させる必要がある」


タクミがドリルアームを振り下ろすが、巨牛の装甲に弾かれ、マグナ・ストライダーが後退する。投影結晶に赤い警告が点滅し、ガイストが言う。

「装甲応力が80%を超えた、タクミ。このままではドリルアームが耐えきれない」

タクミが歯を食いしばる。「くそっ、やっぱ今のマグナの力じゃ足りねえのか!」


セシルがエアリスウィスパーを掲げ、詠唱を始める。

「風の精霊よ、我が呼び声に応え、熱を切り裂き敵を縛れ——エアリス・ガーディアン召喚!」

風の精霊エアリス・ガーディアンが現れ、鋭い風の刃で巨牛の装甲を削ぎ、熱気を分散させる。巨牛が動きを止め、タクミに攻撃の隙を作るが、エアリス・ガーディアンが巨牛の角に弾かれ、セシルが膝をつく。


巨牛が再び咆哮し、角から熔けた鉄の飛沫を撒き散らす。リアが水の魔法で防ごうとするが、飛沫が彼女の腕を掠め、軽い火傷を負う。セリカが短剣を手に跳び、「タクミ、頭だよ!」と叫ぶが、巨牛の尾の一撃で吹き飛ばされ、木に叩きつけられる。


タクミが吼える。「みんな、持ちこたえろ!」

ブースターを噴射し、ドリルアームで巨牛の頭を狙うが、装甲に阻まれ、再び弾かれる。マグナ・ストライダーの脚部が熱で歪み始め、ガイストが警告する。

「脚部の耐久が70%を切った、タクミ。このままでは機動力が落ちる」


ジンが竪琴を手に立ち上がり、冷静に詠唱を始める。

「水の精霊よ、我が旋律に応え、仲間を癒し力を与えよ——アクエリア召喚!」

水の精霊アクエリアが現れ、柔らかな水流が仲間たちを包む。バルドの肩、カザンの腕、リアの火傷、セリカの打撲が癒され、セシルの疲労も回復する。仲間たちが立ち上がり、タクミに目を向ける。


リアが再び魔導書を開く。「もう一度行くよ、タクミ!」

「水の精霊よ、我が声に応え、炎の猛威を鎮めよ——アクア・テンペスタ!」

強力な水の渦が巨牛を包み、装甲がさらに冷えてひび割れる。セシルがエアリス・ガーディアンを再召喚し、風の刃でひびを広げる。バルドとカザンが同時に突進し、双剣と熔雷槌で巨牛の脚を攻撃。巨牛が膝をつき、タクミが叫ぶ。

「今だ!」

ブースターを全開にし、ドリルアームが巨牛の頭部を貫く。熔けた装甲が砕け、魔脈の奔流が工廠を照らす。次元獣が崩れ落ちる。


戦闘の後、一行は息を整える。熔脈の工廠の入口が現れ、熔けた鉄の匂いが漂う。セリカが立ち上がり、耳を澄ませる。

「盗賊の気配だよ。天脈結晶を持って逃げた連中がここにいる!」

タクミが機体を入口に寄せ、言う。

「よし、中に入るぞ。熔魔鋼が手に入るかもしれねえ」


工廠内部は熱気がこもり、壁に熔けた鉄が固まった跡が残る。中央に「熔魔鋼」の塊が光り、その横に盗賊団「疾風の爪」のリーダーが立つ。風を操る短剣を手に、天脈結晶を握り潰そうとする。

「貴様ら、しつこいな!結晶は渡さん!工廠ごと吹き飛ばしてやる!」

ガイストが即座に感知する。

「右前方10度から500N・mの風圧だ、タクミ。風属性の仕掛けと判断される」


リアが詠唱を始める。

「水の精霊よ、我が声に応え、風の刃を鎮めよ——アクア・テンペスタ!」

水の渦が盗賊を包み、風属性の道具を弱らせ、リーダーの動きを止める。バルドが双剣で短剣を弾き、カザンが熔雷槌で足を叩き、セシルがエアリス・ガーディアンの風で盗賊を押さえ込む。タクミが天脈結晶を奪還し、熔魔鋼を手に取る。


盗賊のリーダーが地面に膝をついたまま、タクミを睨み上げる。

「ちくしょう…貴様ら、何が目的だ?」

タクミが結晶を手に持ったまま、冷静に答える。

「次元獣を倒して、この世界を守ることだ。お前らが結晶を奪ったせいで、面倒が増えてるだけだ」


リーダーが苦笑し、低く呟く。

「次元獣か…俺たちはただ、影脈会に売るつもりだっただけだ。あいつらが次元獣を増やしてるって噂、知ってるか?」

セシルの目が鋭くなり、エアリスウィスパーを握り締める。

「影脈会だと?何を企んでる?」

リーダーがセシルを見て、目を細める。

「お前…まさか、影脈会のセシルか?レオンの後を継いだ元リーダーじゃねえか!」


セシルが冷たく答える。

「その通りだ。影脈会は貴族を倒すためと言いながら、禁忌魔法で仲間を蝕んだ。レオンが死に、私はタクミとリアに説得されて抜けた。今はお前たちとは違う道を歩んでる」

リーダーが咳き込みながら笑う。

「へっ、裏切り者かよ。なら知ってるだろ?影脈会が禁忌魔法で何かでかい計画を進めてるって噂だ。次元獣が絡んでるって話もあるぜ」


タクミが眉を寄せる。

「禁忌魔法で次元獣を増やしてる?本当なら放っておけねえな」

リアが上級魔導書を手に、セシルに近づく。

「セシル…私の兄、レオンが犠牲になった禁忌魔法だよ。私たちで止めなきゃ」

セシルが小さく頷き、タクミに目を向ける。

「影脈会が絡むなら、私の過去も役に立つかもしれない。調べる価値はあるよ」


セリカが短剣を手に近づき、首をかしげる。

「情報屋として気になるね。その噂、どこで聞いたの?」

リーダーが肩をすくめる。

「焔嵐の交易路で耳にしただけだ。それ以上は知らねえよ」


タクミが仲間たちを見回し、言う。

「影脈会が次元獣を増やしてるなら、こっちも動くしかない。結晶と素材を集めつつ、そっちも追うぞ」

カザンが熔雷槌を肩に担ぎ、笑う。

「盗賊だろうが禁忌魔法だろうが、ぶっ潰すだけだぜ!」


工廠の外で仲間たちが集まる。タクミが熔魔鋼を見ながら言う。

「これで一歩前進だ。次元獣が強くなってる以上、急がないとな」

ガイストが冷静に言う。

「タクミ、お前も今回の戦いでわかったはずだ。今のマグナの出力では対応が厳しい状況だ。次の魔脈ラインを追うべきか?それともマグナ・ストライダーを強化してから動くべきか。」



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