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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第三章 秩序と断罪

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夕食後の会議の一幕

「今日、管理局の人間が来て『若者から搾取する旅団』について聞かれた。カムイ達も以前言っていたな? そいつらについて聞きたいんだ。何か知っているなら教えてくれ」

 夕食後に皆が集まっている時に、その話を持ち出した。エウラは知らないし聞いた事も無いと言い、エアとレンは、自分達が所属していた旅団の事かと言った(双子が所属していた旅団はかなり前からある旅団だ)。


「いえ、俺らも噂を耳にしただけですから。……なんか旨い話があるから乗らないか、みたいな話を真に受けて行くと、とんでもない目にう。みたいな噂話です」

 な? とヴィナーとウリスに同意を求める。

「そうですね、噂くらいしか聞いた事は無いです」


 ここミスランのみの話なのかと、ユナとメイを見る。彼女達の居たフレイマでは、そういった話は耳にしていない、と二人は言う。

「そんな連中はぶっ潰せばいい」

 そう言ったのはメイだった。正義感というよりは、フォロスハートで子供の内から聞かされている教養にある。「盗みを働く者は共存すべき存在では無く敵」や「共に生きようと行動する者は家族」、などという教育の賜物だろうか。


 しかしそれでも、ユナが以前の旅団で受けたように、他者を傷つける者は必ず居るものだ。そういった連中が集団になって、若い者を食い物にしているのだろうか。

 フォロスハートでは、()()()()()()()()()()()()とは違い、少々手荒で過激な思想が通念として成り立っている。

 要するに「秩序を乱そうとする罪人は消してしまえ」、とでも言うかのような考えがあるのだ。


 資源も無く、人材も無く、土地も限られている。そんな混沌の中を浮遊する大地で、争い合ってなんになる、共存しよう。そう呼び掛けている訳だ。

 人とはままならないものである。結局人間の視野の狭さゆえに、大きな事柄が分からない連中が現れるのだ。


 この狭い街で隣人を裏切る行為をやれば、その裏切りを受けた者がそいつを許さないばかりか、あるいは裏切りを受けた者が誰かを裏切る、といった連鎖を生み出すかもしれないのだ。

 それを戒める為に、この世界ではそう言った「裏切り者」に対して容赦が無い。


 今回の様な若者(若者は感化され易い)を食い物にするといった真似をすれば、ほぼ死罪が言い渡されるらしい。進んで秩序を乱そうとすれば、それは情け容赦の無いしっぺ返しとなって自らに跳ね返って来るのである。

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