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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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懐かしき仲間との再会

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よろしくお願いします。


シリーズ名『方舟大地フォロスハートの物語』から《外伝》と登場人物などの設定を読む事が出来るのでそちらも合わせてどうぞよろしくお願いします。

 重い荷物(金貨の入った皮袋)を肩に負い、宿舎に戻る道すがら、壊される前に世話になった鍛冶屋に寄る事にした。

 鍛冶屋の裏手にある居住区の方から解体を始めるようだ。現場を指揮するいかつい男に話を聞くと、鍛冶屋の方は最後に取り壊す予定で、掲示板の架かった壁は最後まで残して置くので、掲示板に鍛冶屋を訪れる客への伝言を書いておくといいでしょう。と言ってくれた。

 俺は彼の心(づか)いに感謝し。掲示板に鍛冶屋の改修を行うので、数ヶ月の間は鍛冶屋を休業する旨を書き込んでおいた。


「こんなところかな」

 俺は書き込んだ物を離れた場所から見てそうつぶやく、すると通りをこちらに歩いて来る人物に気がついた。


 見覚えのある姿だと感じた。焔日ほむらびの光が目に入り、相手の顔が陰になって良く見えなかったが、この人物に見覚えがあるとすぐに分かった。

「オーディスワイアさん、お久し振りですね。少し老けたんじゃないですか?」

 その声は随分ずいぶんと久し振りに聞く声だったが、その優しげであり、からかうような口調に覚えがあった。


「──リトキスか?」

 相手の顔がはっきりと見えるようになると、その男は懐かしい、昔と変わらぬ優しげな表情でこちらを見ていた。

「リトキス! 懐かしいなぁ!」

 俺はそう言って彼に近づいた。リトキスは丁寧にお辞儀じぎして、「お久し振りです」と堅い口調で言う。俺はよせよせと相手の腕を叩き、固い握手を交わす。


「どうしてここに? 偶然ではないだろう」

「ええ、各都市でもうわさになっている錬金鍛冶師の名前は、いつも気にしていましたから。それで最近出た錬成指南書に書かれた、魔法の剣を是非ぜひ僕にも造って欲しいと思って、ミスランに帰って来てしまいましたよ」


 そう聞いて俺は若干照れてしまう。昔の仲間に錬成指南書なんぞを書く奴だとは、思われていなかっただろう。──俺自身も書く事になるとは思わなかったくらいだ。

 リトキスは鍛冶屋の前に架けられた掲示板を見て、驚いた声を上げる。


「えっ……オーディスワイアさんが旅団を──?『黒き錬金鍛冶の旅団』ってこれ、旅団長をやっているんですか?」

 掲示板を見ながら俺も頭をく。

「ああ、色々とあってな。団長兼錬金鍛冶師をやっているよ。──お前には謝らないといけないな」

 そう言う俺にリトキスは、何の事か分からないという表情で「謝られるような事がありましたか?」と口にする。


「俺が脚を失った時、俺は錬金鍛冶師を目指す為とはいえ、お前に旅団長を任せる事にして、旅団を抜けてしまったからな。あの時のお前は出来る男ではあったが、二十歳になったばかりの若造だというのにな、すまなかった。あの時、俺が、あるいは他の仲間を団長にすべきだった」

 俺が頭を下げるとリトキスは言った。

「別にあなたが悪い訳ではありません、自分の実力が足りなかっただけです。それに人望もね。確かに人望なら、三勇士の一人であるオーディスワイアさんが、旅団長になった方が良かったかもしれませんが。当時のあなたに任せていたら、別の悪い方向に突き進んでしまったかもしれませんしね」


 彼はそう言って快活に笑う。まあ俺も旅団をまとめる事が出来るなんて、これっぽっちも思わなかったからな、と彼の発言を認めて顔を上げる。

「そうですね、昔の事です。今の旅団はどうですか? うまくいってますか?」

「ああ、()()()()()()も副団長として、うまくやってくれてるからな」

 そう言う俺の言葉に首をかしげるリトキス。


「レーチェ・ウィンデリアだよ。彼女がこの旅団の副団長兼運営管理担当なんだ」

 すると彼は「彼女が」と一言だけ言い、「意外な巡り合わせですね」と続けて微笑む。


「そうだ、魔法の剣の話だが。この建物はもうすぐ壊されてしまうが、良ければ一振り作ってやろう」

「本当ですか」

「しかも破格な値段で作ってやる」

「……なんか、嫌な予感がしますね」

 リトキスはうたぐる様な視線を向けて後退あとずさる。


「そんな難しい要求はしないさ。お前もうちの旅団に加わってくれるなら、格安で作ってやるよ」

 俺の言葉に意外そうな表情をしてから、少し考える仕草を見せる。

「……そう──ですね。せっかくですから、僕も各都市の転移門を渡り歩いて来て、強くなった所を見てもらいたいですし。お言葉に甘えて、旅団員に加えて頂こうかと思います」

 そう言うとリトキスは頭を下げて「また、よろしくお願いします」と口にする。


 懐かしくも頼もしい仲間の肩に手を乗せると、これから宿舎に行って魔法の剣を作る為の素材を取りに行こうと声を掛ける。──まだまだ俺の忙しい日々が続くのは、間違いなかった。



          ー錬金鍛冶師の冒険のその後 第二章 完 ー

ここまで読んでくれた人に感謝を! ずいぶん長い道のりになってしまいました。


RPGで言うところの「強キャラの加入」で第二章終了です。

第三章は短い物にしようか、それともシリアスな展開にしようか迷っています。

評価、感想をしていただけるとありがたいですし、励みになります。

続きを早く読みたい! などというありがたいお言葉がもらえると涙が出るほど嬉しいですね。

皆様の暖かい感想を心待ちにしながら(願望)、また次の(あるいは別の)物語でお目にかかりましょう~~

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