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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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鍛冶屋の建て直しと残された仕事

総合評価300超え、ありがとうございます!

『方舟大地フォロスハートの物語』から《外伝》や登場人物の設計などを読める物も投稿しているのでそちらも読んで欲しいですね。

 幸い残された仕事は片づいていた。今日うちの鍛冶屋に持って来るつもりだった客には、申し訳ないが諦めていただこう……

 武器などを預けていった客の名前と、在宅場所は書いて残してあるので、そこに品物をお届けにあがって代金をもらうだけだ。


 今日は臨時に旅団の活動を休業にして、品物を仲間に運んでもらう事になった。二人組で客の元に向かわせて、鍛冶屋を建て直す事になったと伝えれば、客からその話が広まるだろう。

 俺は二本の魔法の剣を持って、ミリスリアとエスクアの所へ向かった。彼女らは昨日の夜にはゲーシオンから、ここミスランの宿屋へ戻って来ると言っていたからだ。


 宿屋は大きな門から入り、花壇に挟まれた庭を抜けた先にある石造りの、なかなか大きな建物であった。窓には硝子ガラスが使われていて、結構な高級感のある(「明月館」には負ける)建物であった。


 受付に立つ落ち着いた雰囲気の女に声を掛けて、ミリスリアは泊まっているかと問うと、名簿を見て「はい」と答えた。オーディスワイアが、届けるように言われていた物を、持って来た事を伝えて欲しいと言うと、女は「少々お待ちください」と言って通路を歩いて行く。

 玄関口には大きな風景画が飾られていて、それは四つの大地──火、風、土、水の特徴を表したものが描かれており、それぞれに神の姿(蛇や鳥、巨人や竜)が描かれていた。


 受付から離れた場所で待っていると、宿屋の女が三人のエルニスを引き連れて戻って来た。彼女らはやっぱり伸縮肌着ネクタートを身に着けていたが、肩から羽織っている衣服は、こちら側で買った物を身に着けているようだ。


「オーディスワイア殿。わざわざ来てもらって申し訳ない」

「その上着はこちらの──、ミスランで買った物ですか? お似合いですよ」

 護衛と侍女の方も見てそちらも、と声を掛けたが双方とも照れた様子で、ミリスリアの背後に隠れようとする。


 どうもこの間の一件以来、エスクアは態度を硬直させてしまったらしい。その事をミリスリアに尋ねると、彼女は意地悪くこう言う。

「なになに、気にする事はありません。ただ単にオーディスワイア殿を異性として強く意識している為に、恥ずかしくて顔を合わせづらいというだけです」

「ミリスリア様!」

 エスクアは顔を真っ赤にして怒る。


 俺は「ははは」と笑い。玄関の横にある、大部屋の待合室らしい部屋で話す事になり、四人で一つのテーブルを囲んで、柔らかい革張りの椅子に腰掛けて話し始める。


「これはミリスリアさんの、こっちはエスクアさんの魔法の剣です。お確かめくください」

 彼女らはさやの造りや、柄頭つかがしらの装飾をまず誉め、剣を抜くと銀色に輝く軽硬合金フラウレグムの刃を見て、感嘆かんたんの溜め息を漏らす。


「素晴らしい。鍛えられた美しい金属である事が一目で分かります。……風と水の力を感じますね、これで刀身に魔法の刃が発生する訳ですか──なるほど」

 ミリスリアは風と水の属性に適性が高く。エスクアは火属性の適性が高い剣士だ。


「すごく……力強いです……」

 彼女達の反応は良好だ。エスクアの反応を見るとつい「この魔法の剣を見てくれ、こいつをどう思う?」と尋ねなかった事を後悔する──(何の事か分からん人も居るかと思うが)。


「しかし、どうしてわざわざ届けてくれたのですか? 今日これから、お店の方に伺おうと思っていたのですが」

 ミリスリアはそう言って、侍女のロネアにお金を持って来るよう指示する。

「いや、実は急にあの鍛冶屋を潰して、新しい鍛冶屋を建て直す事になったので。錬成した品を旅団員にも手伝ってもらって、届けに回っている最中なんですよ」

 そう言うと彼女は驚いた様子で、「本当に急な話ですね」と微笑む。


 その後も彼女らと話をし、魔法の剣の代金を貰って(金貨を大量に!)彼女らと別れる事になった。

「あなたなら、私達の国『シュナフ・エディン』にいつでも歓迎いたしますよ。同胞どうほうも必ず歓迎するはずです。──もちろんエスクアも」

「み、ミリスリアさまぁ~~!」

 彼女はまだ恥ずかしがっていたが、剣を造って頂きありがとうございます、と言ってくれた。この愛らしい姿の美少女と、お別れするのは寂しいが、俺は彼女らと握手を交わし、またいつか再会する事を誓って、彼女らに背を向けた。

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