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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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エルニスの主張

『方舟大地フォロスハートの物語』から《外伝》と登場人物などの設定を読む事が出来るので、そちらも読んでもらえると感激です。

どうぞこれからもお付き合い下さい。

 後日の朝になり、鍛冶場で仲間達と今日の冒険の振り分けについて改めて(多くの場合は数日前から話し合って前日には決めておく)話し合い、目的や作戦などを決めていると、そこへ三人のエルニスがやって来た。


「お邪魔させてもらってもよろしいかな?」

 メイが指を()()()()させて抱きつこうとする気配を出すと、稲穂色のロネアが銀色の陰に隠れる。俺はメイに手刀チョップを喰らわせてめるよう言い、彼女らに狭い鍛冶場に入るよううながす。


 まずは長い黒髪のミリスリアが前に出る。

「初めまして、我はミリスリア。そこにおられるレーチェ殿と、装飾品や私達の伝統的な衣服『伸縮肌着ネクタート』の取り引きを行っている者です」


 次に銀色の髪をした──こちらもミリスリアの長い耳に似た、獣の耳を頭部に生やしたエルニス──が、ぺこりと頭を下げた。

「私はエスクア、ミリスリア様の護衛です」

 彼女の腰には短剣──彼女らの体の大きさには長剣──が下げられ、細やかな装飾が加えられた見事な鞘に納まっている。


 最後は少しおどおどした、稲穂色の毛をした侍女のロネアが名乗って、すぐに後ろに下がる。

 彼女は見た目も温厚そうなエルニスであり、銀色のエスクアが少しとがった印象をしているのとは対照的に、優しげで愛らしい見た目をしていた。


 朝の会議を終え、仲間に冒険に行くよう言ったが、多くの者が見た事の無い小さな獣人達を囲んで盛り上がっている。──そんな中レーチェとミリスリアだけは、落ち着いた雰囲気で話し合っているが、そろそろロネアが限界だろうと考え、メイやエウラの背中を押して表へ追い出すと、早く冒険に向かうよう再度(うなが)す。

 こうしてレーチェらもミリスリアと再会を約束して別れ、冒険に向かって行ったのである。


 すっかり静かになった鍛冶場に残されたミリスリアは、昨日の礼を口にした。

「オーディスワイア殿に助けられたお陰で、迷う事無く管理局に行けました。感謝します」

 彼女からはやはり、あまい香りが漂ってくる。それの効果だけでは無かろうが、目の前の三人がとても愛らしい美少女に見えてきた(実際に可愛らしいのだが)。


「いやいや、別に礼を言われる様な事は……、それよりもレーチェのその──体にぴったりと合う肌着を作ってやったとか、刃でも切れないらしいですね」

 伸縮肌着はエルニス達が全員、身に着けている物だと言う。刃で切りつけられても簡単に裂く事はできない、丈夫な素材を束ねているので、冒険にもおすすめだと彼女は言う。


「ほぅら、こんなに伸びるのです」

 彼女はそう言うと、自分の腰の辺りの黒い肌着を引っ張って伸ばして見せる。彼女の小さな体に似合わぬ腰の()()()と、肉付きの良い太股に目が行き、ムラムラとした気持ちが沸き上がってくる。──いかんいかん、俺は頭を振って雑念を追い払う。


「管理局の方に、オーディスワイア殿の所属する旅団の事を尋ねたら、魔法の剣を作ってらっしゃるそうですな。ぜひ我にも作って頂きたいものです。何しろ我らエルニスは背が低く、素早さと魔力の高さには秀でておりますが、それ以外は平均といったところですので」

 そう言いながら彼女は、俺に近寄りそっと手を握る──なんだか、暖かい手の平にどきどきする。

「お願いできませんか? 費用もあなたの満足する額を用意させますので」


 椅子に座って向き合った状態だったので、彼女の見た目よりも大きな胸に視線が吸い寄せられた。胸元の開いた黒い肌着の間に、柔らかそうな白い谷間が見え、こちらの体温も上がりそうになる。


「そっ、そうですね、構いませんよ。時間は掛かりますが──あと、失敗分も何割か支払ってもらう事になりますが」

 何しろ未完成の錬成技法なので、確実性が低いのですと付け足す。

「そうでしたか。いえ、構いません。魔法の剣を作って頂けると言うのなら、失敗した材料費も支払う事をお約束致します」


 気づいた事があるが、どうも彼女は昨日会った時よりも、女らしい振る舞いをして見せている様子で、言葉(づか)いもナンティルと対峙していた時よりも、女性らしさを感じる言葉遣いだ。

 まさか俺を伴侶はんりょに選んだとか──一瞬そう思ったが、そう言う事では無く。おそらく彼女らは異性に対しては、この様に「女らしさ」を訴え(アピール)る癖が身に付いているのではないだろうか。他の二人も女性達に対する時とは、態度が違っている様に感じる。


 天然の()()()()()()()なのかもしれない。……ナンティルの言い分も分かる気がしてきた。

 そんな事を考えているとミリスリアは、はっと手を離した。


「いけません、つい。違うんですよ? 我は昨日の猫娘が言う様な事は何も……、ですが我らは、ご存知とは思いますが、男が生まれないので、外部から男性を呼ぶしか方法が無いのです。それをあんな風に言われてしまうのです……。彼女達も我々の境遇きょうぐうを知れば、とてもあのようなののしりは致しますまい」


 まあ確かにそうだ。彼女らが種として居なくなれば伸縮肌着も、それ以外の彼女ら独自の文化も失われてしまう。──それは悲しく、勿体もったいない事だ。

 自分も彼女らに協力したいのだが、さすがにこの問題となると──()()()()()()()()()()()()だな。

 俺はミリスリアに「分かっていますよ」と言って頷き掛け、魔法の剣の大きさを決める為に、彼女に短剣を持たせて、どういった形の物がいいか決める事にした。

最後の方の短剣のくだり──別に、変な意味は無いですからね? 深読みしながら読んでも、ろくなことはありませんよ!

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