表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第一章 錬金鍛冶の旅団

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/585

四大精霊の加護

お読み頂き感謝です。


やっぱり決めるところは決める主人公が良いですよね(ね⁉)。

 四大精霊の加護──四つの異なる属性全てを一つの錬成具に調和させる、高位錬成の中でも特別に難しい特殊強化錬成だ。特殊強化とは固有名で呼び交わされる錬成の事で、これを行えるのは熟練の上に、精緻せいちを極める業を持つ者だけだとされている。


「それを()()()……何故だ?」


 俺の問いに少女は震えながらうつむき、顔を見せない様にして言葉をつむいだ。


「旅団の……小隊の先輩が、魔晶石と精霊結晶をやるから、これでその銀の腕輪に『四大精霊の加護』を錬成して貰えと……それくらいの覚悟をして、強さを求めないとダメだからって……」


 そうか、これは少女に対する嫌がらせだったのだ。随分と金の掛かったいじめだなと、心の中でその相手に盛大に罵声を浴びせる──と同時に俺の中に沸々(ふつふつ)と沸き上がる想いが、どんどんと大きく形を成していく。

 それは四つの力が俺に「やれ」と呼び掛けている様に感じた。

 この様に言うとそれは幻聴だとか、思い違いだとか言う輩が居るだろう。


 だがそれは違うのだ、ここフォロスハートでは。

 俺は確かに四大精霊の神──すなわちこの浮遊する大地に存在する四(はしら)の神の意志を感じた。俺が初めて四大精霊の加護を成功した時も、この「呼び掛け」を聴いたのだ。

 俺は少女に言った。


「大丈夫だ、必ず成功させてみせる」


 俺は素材保管庫に足を運ぶと、一つの物を掴んで錬成方陣台(様々な図形が描かれた円形の台)に少女が渡した銀の腕輪と魔晶石、それぞれの精霊結晶を意味ある形に配列し、保管庫から持って来た物もそれらに組み込む──さて。

 俺は台の前に立つと深呼吸をして、自らの内なる者に呼び掛けるつもりで言葉を発する。


「偉大なる四柱の神に申し上げる、我々を導き賜え。我々はあなたの忠実なるしもべ、あなたの剣、あなたの盾であり、あなたの子である。我々に力と、そのお恵みをお与え下さい」


『古き石の言葉を聴け、大地を覆い、地の底で眠る水の如く穏やかに、大気の中にあなたは居る。空を暗黒が覆うとも、我等を照らし導き賜え。大いなる力は全てあなた方の御名の下に、我土に帰りし時には、あなたの胸に抱かれて、それを思い出す者なり』


 そう唱えると、錬成台の中に置かれた魔晶石や精霊結晶が光を放った。淡い、優しげな光だ。

 それらは台の上をくるくると旋回すると、中央に置かれた銀の腕輪に飛び込んで、辺りは静かになった。


「成功だ」


 振り返ると少女はぱあっと花を咲かせる様に微笑んで、涙をぽろぽろと流したのである……

「精霊石」を「精霊結晶」に変更しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ