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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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ナンティルの故郷の商品

十万文字突破! いや──長かった。途中で錬金術とか鍛冶の工程とか読んでて「これ面白いか?」とか思いつつ読み続けてくれた人にも感謝します(笑)

あ──、本当は二章が終わる予定の話数なのですが予定に無い物が入って長くなっちゃいましたね。

そろそろあの人の登場で締めないと──引き続きよろしくお願いします。

 鍛冶場に戻ると扉の閉まった鍛冶場の前で、白猫とじゃれ合っている猫獣人の姿が……。今日は動物感謝祭でも開くようにと、神のお告げでも受けているのだろうか?

 相変わらず大きな背嚢はいのう──どちらかというと、背負ったかばん()()ではないかと疑う程度レベルの大きさがある──を、背負いながら猫の背中を撫でてやっている。


 俺が近づいて来たのを目にした野良猫が、こちらに駆け寄って来た。──珍しい反応だ、エウラやユナになら喜んで駆け寄って行くのは分かるが。……やっと俺も、餌をくれる人間だと記憶してくれたのだろうか。


「にゃっ⁉ オーディス──にゃんか、()()()()()()()()にゃ……」

 と猫亜人の行商人ナンティルが言う。

「へっ、変な匂いとか言うな! ちょっと汗を掻いただけだ!」

 管理局で、大勢の男達に囲まれた状態で剣を打ったものだから、余計に汗臭くなったのかもしれない。──か、加齢臭でも仕方ないじゃない、おっさんだもの。


「汗じゃ(にゃ)いにゃ、もっとこう……もしかして、エルニスと接触したのかにゃ?」

 俺の側に来ると顔を近づけて、くんくんと匂いを嗅ぐナンティル。足下では野良が、俺の脚に前足で抱きついて、にゃあにゃあと鳴き声を上げている。


「エルニスならさっき大通りの方で会ったが。……それがどうかしたのか?」

「それにゃ。あいつら、いっつも香料をぷんぷんさせている奴が居るのにゃ。貴族の連中が、その匂いを使って男共を誘惑すると言われているにゃ、気をつけ(にゃ)いとオーディスもふらふらとあの幼児体型の餌食に……()()()()()()()()()ですにゃ──!」

「ばっ、俺はそんな事──」

 と言い掛けて、さっきエルニスに感じた妙な色気の正体は、ナンティルの言う「香料」のせいだったのかと思い直した。まさかそんな物があるとは──


「まあ、媚薬びやくの効果と言っても、動物や(にゃ)にかに効果があるくらいで、すぐにメロメロに(にゃ)る訳じゃ(にゃ)いから、たぶん大丈夫にゃ」

 そう言われた俺の足下では、野良猫がしきりにじゃれついている。


 釈然しゃくぜんとしない気持ちを抱いて、鍛冶場の中に入ると、ナンティルとの交渉に入る。今日は珍しく彼女の故郷、パールラクーンから持ち込んだ品物を持って来ていた。


 パールラクーンは転移門先の異界で、獣人族が多い世界だと聞く。猫獣人フェリエスの国「シャラムシャロン」とフォロスハートは、交易を結んで友好関係にあるが、パールラクーンに居る犬亜人とは猫獣人と共に、フォロスハートと敵対関係にある(ちなみにエルニスもパールラクーンに居る種族だ)。


 ただ、交易を結んでいるからと言っても、自由に行き来出来る訳では無い。一度に送れる人の数や、その選定にもシャラムシャロン側の許可を得なければならないし、逆もまたしかりである。

「なのに何故、この業突ごうつりの商人が許されているのか。──理解に苦しむ」

(にゃ)にか言ったかにゃ?」

 すっとぼけた表情でナンティルは言い、大きな背嚢から商品を取り出して、机の上に並べる。


「さあお立ち会いにゃ。パールラクーンの神『アヴロラ』様の加護が付いた、白銀の腕輪と指輪にゃ! どちらも琥珀こはくを乗せた、美しい装飾が魅力(にゃ)一品(にゃ)のにゃ」

 俺は指輪と腕輪を「鑑定」して、その効果を探る──。アヴロラの加護とは、獣(嗅覚や視覚)に探知され難くなる効果や、傷を早く治癒する効果が付いた、フォロスハートでは稀少な物である。

 腕輪が二万ルキ、指輪が七千ルキだと言う。


「たっかいな!」

(にゃ)に言ってるにゃ、めちゃくちゃお買い得にゃ。こっちの神様だって、きっとお買い得だって言うにゃ」

「おまえ、調子に乗るなよ」

 俺はちょっといらついて、指輪と腕輪の効果を見比べる。──腕輪の効果の方が指輪よりも高いが、指輪の効果だけでもかなり有効だろう。


 腕輪は一つ、指輪を三つ買う事にする。

「毎度あり──にゃ! おまけで四万ルキに負けとくにゃ」

 そう言いながら「けどずいぶん気前良く購入を決めたにゃ? 景気がいいにゃ?」と問う。


「まあな。管理局に発明品を登録したり、魔法の剣を錬成したりしたから。鍛冶場の方も右肩上がりだし、多少はな」

 そう言うとナンティルは頷き「さすが私が認めた錬金鍛冶師にゃ!」と誉めながら「次の商品にゃ……」と商売を続けようとする。


「おい、後から後から出すんじゃない。何があるか先に言え」

 そんな(いつもの)やり取りをしつつ、彼女から白銀の延べ棒──一本七万ルキ‼──を購入した(この延べ棒から、腕輪が十個以上も作れると考えれば安い──()()()()の話だが)。

ナンティルが「おまわりさん」を知っているのはオーディスワイアの口から出た言葉をそのまま使っているからだと思われます(外伝で書くとなるとずいぶん昔の話になりますね、『錬金鍛冶師の冒険のその後 0(ゼロ)』みたいなの書いちゃいますか(笑)(そんな予定はありません))。

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