表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/585

楽園創造計画

また小難しい会話をぶち込んでしまいました……笑って許してくださいね。


上部の『方舟大地フォロスハートの物語』から別に書いた『外伝』や登場人物のまとめなどを書いた物を読む事ができます、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

 そんな話をしていた所へ、ぞろぞろと旅団の面々が集まって来た。今日は全員で休みを取り、昼は宿舎で慰労を兼ねて昼食を取りながら、ちょっとした宴会をしようというのである。


「あら、こちらの方が技術班のメリッサさんですか、お話しは聞いてましてよ。うちの団長が作る物を()()買い取っていらっしゃるとか」

「え、ええ。()()()ですが──。オーディスワイアさんには、いつもお世話になっております」

 何やら急に険悪な感じになる二人。俺はそんな事より、魔法剣と魔剣士の現在の所の報告書と、魔法の剣の開発費用をまとめた物をメリッサに渡し、魔法剣と魔剣士についての報告書は、いずれ管理局の方に持って行き、公開するつもりでいた事を話す。


「魔法剣という新しい戦い方の報告書は、旅団員の不断の努力から成り立っているが、これと魔剣士についての報告書で金を取るつもりはない。特にこの新しい技術は結局のところ、『魔法の剣』を作るという前提から成り立っている。──この武器を安定的に作れるようになるかは分からないが、こちらの方の製造に関わる金額を払ってもらえるなら、報告書は無料ただで構わない」


 俺がそう話すとメリッサは首を横に振った。彼女は規定額を受け取って欲しいと言い、それらのお金を使って旅団の基礎を固め、錬金鍛冶師として新しい錬成品を作ったり、錬成指南書を書いて欲しいと依頼してくる。

「あぁ──それな。俺も誰かが書いてくれるだろうと思っていたが、誰も新しい物を書いてくれなくて、俺が書かなきゃならないかと思い始めていたところだ」

「……! そうでしたか。──でしたらすぐにでも指南書の執筆しっぴつに入って欲しいのですが。フォロスハート全体の、錬金技術の発展の為に」


 *****


「それにしてもさっき言っていた、『異界の大地をこちらの大地とつなげる』──とは、随分ずいぶん思い切った発案だな。俺もまったく考えなかった訳ではないが──可能なのか? 混沌に包まれた状態では、互いの位置関係など分からないはずだろう」

 そう尋ねるとメリッサは真剣な面持ちで頷く。


「それは四大神の力を借りる事で、フォロスハートの周辺を混沌の侵食から守っているのと同じ様に、他の大地も何らかの神や精霊が、混沌から大地を守る役目を成しているので、その力を四大神の力で探る事で、フォロスハートと他の大地との距離や、位置関係が分かる事が判明したのです」

「ぉお、凄い事じゃないか。何故それを公表しない?」

「まだ不確定な部分も多いですから──それに、大地の連結計画以外にも『楽園創造計画』には、別の方法も考えられていますので」


「『楽園創造計画』とは大きく出たな」

「その計画自体は随分昔からあるみたいですが、具体的な計画や部署がある訳ではありません。一部の『このままフォロスハートが維持されるだけでは、いずれ限界が来るのでは?』と考えるに至った有志の集まりで語られ出した、()()()()()としてあるだけです」


 俺と彼女は宿舎の庭にもうけられたテーブル席で、向かい合いながら話し合った。旅団の仲間は気を利かせて離れた場所で食事を作ったり、時折こちらへやって来て、新しい料理の乗った皿を運んでくれたりする。

 庭に新設した野外調理用の炉(鍛冶の炉としても使える仕様)の周りに食卓を囲んで、俺達は肉や野菜を焼いて、お茶や葡萄酒などを飲み食いしながら話し合う。


「仮想の計画ね。それで二つというのは──『接合』と『移住』の二つか?」

「ええ、幸いというか『鉱山と荒野の大地』には外敵となる生物は、狼や熊と言ったものくらいですので、すでに採掘の為に寝泊まりできる建物は建造済みですが、小さな町を作る計画もあります」

「だが痩せた土地では植物は育たない──移住には向かない場所だ」

「そこで私達技術班は痩せた土地でも生きていける、生命力の強い植物や苔を植える事にしました。成果はそれなりに出て、数年後には他の植物も育てる事が出来るようになると、期待されています」


「二つの大地を繋げる『接合』の方はどうなんだ?」

 俺が問うと彼女は首を横に振る。

「こちらはなんとも……神の協力もあって、混沌の中でも互いの位置が把握できるようになっただけで、どうやって二つの大地を接近させるかとかはまだ……、それに、この計画には管理局の中にも反対する者が多いので」

「外部に人が()()したら困る連中が居る訳だな」

「はい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ