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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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魔剣士の誕生

ブックマークや評価、感想大歓迎……!

おお、総合評価200pt越え、ありがとうございます。


これからも応援よろしくお願いします。

 翌朝になると旅団員が鍛冶場に集合した。狭い店内に十一人もの団員が集まると、それだけで室温が上がってしまう。

「今日は三つの班に分かれて、それぞれの探索場所へ向かってもらう。レーチェ班、ユナ班、カムイ班に分かれてもらう」


 それぞれの団員を振り分けると、レーチェ班にカーリアを組み込んで、ユナとかの班は先に探索に向かわせた。

「カーリア」と少女を呼ぶと、昨日作っておいた魔法の剣をカーリアに手渡す。


「今日からこの剣を使って中衛ちゅうえいに立て。今まで後方から見ていた事を思い出し、どうやって仲間に協力すればいいかを見極めて戦う事に注意しろ。この剣は、今までの武器とは違った使い方を意識して使うんだ。その使い方は──」

 俺は少女に魔法の剣の扱い方を教え、後は実戦で学ぶよう言う。彼女の事はレーチェに任せ、団員を送り出す──。レーチェも何か言いたそうにしていたが、俺の決断を信用したのか、特に何も口にせず「行って参りますわ」と応えて、鍛冶場を出て行く。


 そして午後になると、一番早く帰って来たのがレーチェ達の班であった。何故かレーチェが怒った顔をして詰め寄って来る。

「ちょっと、ちょっと! 何なんですの⁉ あなたの作ったあの剣は⁉ お陰で髪が#$%&──!」

 後半はよく聞き取れなかったが、リーファが言うには、カーリアが剣に火を(見た目には赤熱する熱波の刃を)まとわせた状態で振るうと、炎の刃が飛んで行き、敵を遠距離から攻撃できる。だが、中衛でいきなり剣に火を纏わせた時に、剣の先にあったレーチェの髪に火が付いて、戦闘どころでは無くなってしまったらしい。


「危うく丸焦げですわ‼」

 そう激昂げきこうするお嬢様の後方で項垂うなだれ、反省しているカーリアを呼ぶ。

「魔法剣を使う時は、周りに注意しろとあらかじめ言っておいただろう。……レーチェの頭が禿上がったらどうするつもりだ」

 めっ、という感じでカーリアを叱っていると、レーチェが「禿てなんかいませんわ!」と長い金髪を優雅に手でなびかせる。その際、げてちぢれた毛先が見えて「わたくしの髪があぁぁ!」と大袈裟おおげさに喚く。


「長すぎるんだよ、冒険には不向きな波形髪ウェーブヘアも止めた方がいいんじゃないか」

「か、髪の優雅ゆうがさは淑女しゅくじょたしなみでしてよ⁉」

「え、淑女? どこどこ、どこですかぁ──?」

「あなた、私を怒らせたい様ですわね……!」

 物騒な気配を漂わせたお嬢様の前にカーリアが立ちはだかり、「ごめんなさい!」と大きく頭を下げた。少女の真剣な謝罪に毒気を抜かれたのか、レーチェは一歩後退すると狼狽うろたえた様子で。

「ま、まあ、誰にでも間違いはあるものですから、あまり人のあやまちを責めるのも、よくありませんわね」

 と矛を収めてくれた。


「それにしても、あなたいったい何を作って彼女に与えたんですの」

 旅団の宿舎で食事をする前に、皆に食堂で話しをする事にした。

 椅子に座りリーファにくしを持たせ、髪をかせながら言うレーチェ。ふんぞり返る格好をしているが、胸を強調している様にしか見えない。


「カーリアには『魔剣士』として戦ってもらう。魔剣士とは、剣に魔法の効果を宿して、その属性の刃を()()()()()()()()()剣士の事だ」

 俺は魔法の剣に四属性の力を纏わせて、斬撃として放つ仕組みを組み込んだと説明し、新しい魔法と剣を組み合わせた「()()()」をカーリアに使ってもらうと宣言する。


「その剣、私にも使えますの? 是非試してみたいですわ」

「カーリアの剣は四つの属性に対応する、錬成に苦労する物だったが、レーチェが使うのなら、風と土属性に対応した魔法の剣を作ればいいんだが。……でも何で、お前の使える攻撃魔法は対立属性なんだよ。お陰で魔法の剣を錬成するにしても、霊晶石が必要になるじゃないか……」


 俺が思わず専門的な愚痴ぐちこぼすと、お嬢様は言った。

「そんなの私が知りたいですわ!」

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