管理局技術班の再来
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カーリアが参加しての初めての冒険は、カムイ、ユナ、メイの四人で「塩の山と泥の沼地」へ行って、岩塩などを持って帰るよう指示を出した。あそこには危険な生き物も多数出るが、この四人なら大丈夫だろう。
俺はそう考えながら依頼された強化錬成を片づけようと武器などを準備する──
「ごめんください」
そこへ現れたのは管理局技術班のメリッサとロンバーニであった。また男の方は重そうに皮袋を持ち運んでいる。
「……またお会いしましたね」
「そうだな、もう近所付き合いの様なものだな」
俺の言葉を皮肉とでも受け取ったのか、彼女は重そうにしている男の事などすっかり忘れた様子でこう言った。
「……実際のところ驚かされましたよ。この短期間で二つもの新しい発明をなさるなんて。錬金鍛冶師と言うよりも発明家ですね──我々も新しい技術を生み出そうと、取り組んではいるのですが」
最後は少し悔しさを滲ませる様な表情をしていた。彼女は思っていたよりも顔に出やすい性格をしているらしい。
「恥を忍んで申しますが、我々技術班も洗濯を行う機械については研究を進めておりました。──しかし、ここまでの物は作る事が出来ませんでした。どうやってこの発想を……?」
発想は──元々知識として持っていた物を錬金術で応用しただけだからなぁ……、まあその事を説明するつもりは無い。
「それは──まぁ。実際に風呂や洗濯を何度も自分でやってみて、その中でどうやったら簡略化できるかとか、どういうのを作ればいいかを考えて、実際に作って失敗を重ねる事じゃないかな」
適当にそう話したのだが、彼女は真剣に頷いている。それよりも後ろの男が死にそうだから彼を何とかしろと言うと、「忘れていました」と言ってロンバーニに皮袋を差し出させる。
「今後五年間、毎月一万二千ルキを──いえ、来月から二万四千ルキをお持ち致します」
俺は小声で、そうなったらロンバーニは死んでしまうな。と言うと彼女はくすりと笑って「大丈夫です、来月からは二万ルキ分を金貨でお持ち致しますから」と言った。




