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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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レーチェの勘

 玄関の段差に腰掛けていると、子猫達が体をこすりつけてきた。

「なんだなんだ、お前達……」

 急に甘え出す子猫達に戸惑う。まるでそれが「魚卵を食わせろ」と訴えているように思えてきた。

 子猫達の頭を撫でてやり、立ち上がって宿舎を後にしようとした。

 ドアを開けると、そこにレーチェが待ち構えていた。


「おわっ、冒険に行ったんじゃなかったのか」

「少し気になる事がありまして。先ほどの話、新しい転移門には何がありますの?」

 ちょっと険しい表情をしているレーチェ。どうやら俺の態度から違和感を覚えていたらしい。

「ああ、まあね。そこには俺が居た世界の建物があるらしくて」

「あなたが居た世界の……? それ、本当ですの」

「いや、同じ世界の物ではないという話だが、行ってみないと分からん」

「そうですの……。それにしても、その転移門の調査を何よりも優先するだなんて、きっと何か意味があるのでしょうね」

「まあなぁ……混沌こんとんの研究をしていた大地らしいから」


 うっかりその言葉を口にしてしまった。

 如何いかんせんレーチェには隠し事をしておけない俺だった。


「混沌の──それ、重大な事のように思えますわ」

「神々もだからこそ、俺に直接依頼してきたんだろう」

「やはり神様からの指示でしたか」

 転移門に関わる事なら、管理局か神からの依頼だと推測していたのだろう。レーチェでなければ管理局からの依頼だとしか考えないはずだ。

 俺と神様の繋がりがあるなど、多くの人は知らない事だ。


「新しい転移門先で何が待っているかは分かりませんが、あなたと冒険に出られるというのは嬉しい事ですわ。それに、あなたの居た世界の物とは違うかもしれませんが、あなたがどのような世界に居たのか、少しでも知る事の出来る機会だと思うと、なんだかわくわくしますわね」

 彼女の陽気な言葉に俺は笑った。

「ははは……そうか。だが危険な所かも分からんから、用心して行くようにしないとな。まずはその前に、今日の冒険をしっかりしてな」

「ええ、それでは行ってまいりますわ」


 今度こそ彼女を送り出し、俺はその背中を見送った。

 そうして空を見上げて深呼吸すると、鍛冶屋に向かって行った。

 今度の冒険に備えて、いくつか道具をこしらえておこうと考えながら……

日曜日に最終話を投稿します。



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