不味い物を美味しくする魔法の調味料
タイトル上部にある『方舟大地フォロスハートの物語』から、《外伝》と登場人物の設定を読める物を読む事が出来ます。そちらも是非読んでもらいたいです。
それは油、酢、塩、胡椒を基礎にした調味料だ。さらにこれに魚醤と、ただの酢ではなく柑橘類の絞り汁を加え、さっぱりとした後味に変える調味料「オーディス印の調味酢」を完成させた。
これを作るのに数々の失敗作を作ってしまい、皆でそれを使った焼肉などを食べたら結構旨くなってびっくりしたり、失敗した物に別の物を加える事で、思わぬ新しい調味料が出来たりした。
こうした料理に関する取り組みのお陰で、我々は調味料だけでなく保存食の改良や、冒険先で手軽に食べられる、鉄鍋で薄く焼いたパンで具材を包んだ料理などを作ったりもした。──この料理に調味酢に浸して置いた暗生草を刻んだ物を入れたら、逆に料理が美味しくなったほどだ。
「我々の勝利だ──我々は暗生草の不味さに打ち勝ったのだ……!」
いや、さすがに大袈裟過ぎか。
とにかく瓶詰めにした調味酢と液体調味料を作り、我々の食生活は豊かになり、さらに「暗黒の大地」にある森に生える、「白樹老」から生る果物「白樹玉」から魔力量を増加する「魔力増加薬」を錬成し(薬屋などで買えるが凄く高価)。これをウリスに飲ませ、彼女はそれなりに魔力量が増加して回復魔法を五、六回は使えるようになったのだ。
白樹老自体が少ない上に、白樹玉もそう簡単に実る物でも無いので、早々作り出せる訳でも無いが、皆は危険を押して採取に向かい、何本かの魔力増加薬を錬成する事が出来たのであった。
暗生草から魔力増加薬も作れるが、効果は白樹玉を使用して作り出された魔力増加薬よりかなり落ちる。
それでも旅団員全員の取り組みで大量の魔力回復薬と、魔力増加薬を錬成する事が出来たのだった。
カーリアにもこの調味酢を作ってやり、暗生草を漬け込んで置く事で、色々な料理に使える事を教えた。
少女は大分魔力量が増えてきたらしく、日頃から魔法の実践訓練に取り組み続けた事もあり、すっかり魔法使いとして成長し。普段から重しを入れた革鎧を着用するのを止めて、今では以前の魔女風の衣装の下で、腕や脚に重りを巻き付けた物を装着して剣を振るったりしている。
「やっぱりこの格好の方がやる気が出る」
とカーリアは言い、レーチェやメイと相変わらず(たまに双子やカムイとも)戦闘訓練を行っているのだ。




