表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

578/585

混沌の調査

 管理局におもむいてメリッサを訪ねたが、彼女は技術(とう)から出掛けていた。

 そこで神騎兵シュルトヴァーレンの地下格納庫に直接向かう事にし、昇降機エレベーターを使って地下施設に入って行った。

 そこには多くの研究員が集まっていて、神騎兵が混沌こんとんに潜行する為の穴の周囲や、大きなテーブルが置かれた壁際でなんらかの話し合いが続けられている。


 テーブルの方に近づいて行くと、研究員の中の数人が俺に気づき、頭を下げて俺に近づいて来た。そこにはメリッサの姿もあった。

「いいところへ来てくださいました」

「オーディスワイアさんが提案した『混沌還元砲』の前段階の試験テストおこなったところです」

「へえ」

 彼女メリッサは何枚かの紙を見せ、今まで得られた知見データを示し、混沌還元砲の最初の実験は成功だと言った。


「映像や音声も記録できる装置を作りました」

 と、そばに居た研究員が説明する。

「それはいいね」俺は素直に感心した。

 映像鏡面スクリーンに映し出されたのは、細長い金属の組み合わさった物。どうやらそれが射出装置らしい。

「これがその実験の様子です」


 混沌の中でも物の形を確認できる「視野」に関する技術も開発したらしい。技術班の面々はかなり頑張って、混沌の中で使える物を開発したようだ。

 画面に映る試験機が、混沌の中から活動力エネルギーを集めているのが映し出された。

 言わば銃身の後方にある吸引部分から混沌の中の力を吸収し、銃身を通って破壊の力へと変換し、それを撃ち出す。俺が設計した物を実体化したそれは、先端から光を撃ち出した。


「ブドゥゥウゥゥ──ン」とでもいった振動音がして、混沌の闇を貫く明るい金色や銀色の光が放たれた。

 その光が、かなり離れた所を浮遊する黒い結晶体をとらえた。

 大きな結晶体を貫いた光。

 黒いかたまりは粉々に砕かれ、赤熱して飛び散った。


「ご覧のとおり試験は成功です」

「あとは威力を高める改良に、兵器本体の安定性、耐久性を向上させていく所存です」

 研究員は実験の成功に甘んじる事なく、混沌の力を利用する危険性についても注意を払っていた。

「管理局技術班の研究員の人達が、俺の構想した物に近い兵器をこんな短時間で仕上げるとは思いませんでした。脱帽です」

 その言葉に若い研究員達も喜びをあらわにした。



「次に巨大混沌蟲アルバーディアロスの討伐について、意見をお聞きしたいのですが……」

 研究員達は巨大芋虫アルバデロウスの名称を新たにしたらしい。最近撮影した物らしい巨大芋虫の映像を彼らは見せてくれた。

 確かにその映像を見ると、それがただの巨大なだけの芋虫でない事は明らかで、なんとも醜悪で怪物じみた混沌の化け物であると感じた。


「こんなにでかいのか……!」

 画面から見る姿だけでは判りにくいが、偵察機はかなり遠くから撮影しているようだった。

 のろのろとうごめく芋虫に似た怪物の体を拡大していくと、その体のあちこちで「混沌甲蟲アディギル・スコルティス」が動き回っていた。

 それらの虫が小さく見えるほど、巨大混沌蟲は巨体なのだ。


 蟷螂かまきりの鎌を持ち、さそり蜘蛛くもにも似た特徴を持った虫が、芋虫の上を移動している。

 その一体一体が人間よりも大きな図体をしているのだと思うと、改めて混沌の怪物の巨大さに肝が冷える。


 俺と研究員達はこの巨大な怪物を撃退する方法について発想アイデアを出し合った。


 そこで俺と研究員が出した発想の中で、効果が高そうなものは、巨大な蟲の口が開いた時に、その口内に向かって攻撃を加える、というものだった。

「内部で爆発するような物を」

「あれだけの巨体を破壊するとなると、膨大な力が必要になる」

 などと研究員達が話している時に、俺はぼそっと口を挟んだ。

「偵察機のような自動制御する機体に、混沌の活動力に反応して爆発させるのはどうだろう」

 混沌の力を機体の内部に仕込んだ混沌結晶などに集め、その力を暴走させて爆発させる……

 そう説明すると、研究員達は「それだ!」と声を合わせて反応する。


 火が付いたようにテーブルの上で文字が書かれ、線が引かれ始めた。

 彼らは発案を次々に出し合って、神騎兵の予備武器を運ばせる運搬機に、この自爆型殲滅(せんめつ)機を搭載する事を思いついた。

 運搬機から切り離された殲滅機が自動で敵の内部に突撃し、そこで混沌の力を暴走させて自爆する。この着想に彼らは満足し、すぐに製作に取り掛かると息巻きだした。


「新兵器の開発を急ぎます」

 研究員の若者はそう断言し「きっとうまくいきます」と笑顔を見せた。

「やはりあなたに参加してもらって良かった」

 メリッサはそう言って、今日のところは彼らに任せるとしましょう、と格納庫を去ろうと歩き出した。


 俺も彼女と並んで退去しようと神騎兵の前を通っていた時、『協力に感謝する』といった言葉を神騎兵からもらった。

「うん。後は任せます」

 俺は金属の足を軽く叩いて答えると、その場を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ