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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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リゼミラとアウシェーヴィアの対決

 翌朝、朝食後に宿舎にやって来たリゼミラに、アウシェーヴィアが訓練を申し出た。

 食事を終えたばかりだというのに、この二人の対決が見られるというので、冒険に出る前にそれを見届けようと、仲間達全員が庭に集まった。

 双方が双剣という特殊な戦闘形式(スタイル)だが、熟練の剣士達の戦いを間近で見たいという期待があるのだ。


「よろしくお願いします」

 アウシェーヴィアが向かい合ったリゼミラに礼をする。

「きな」

 二人とも二本の木剣を構えて戦闘姿勢を取る。

 ざっ、という地面を蹴る音と共に二人が前に出て、戦闘が始まった。


 互いの攻撃と回避が交錯する。

 時々相手の攻撃を剣で弾き、その隙を狙う形で追撃する二人。

 どちらも鋭い攻撃に素早さを持っていたが、リゼミラの経験が上回った形で早々に決着した。


 アウシェーヴィアの連続斬りに対し、二撃目を弾いて踏み込み、三撃目を流れで打ち込もうとしていた相手アウシェの腹部を薙ぎ払ったのだ。


「ま、まいりました……」

「ま──だまだだね。強くなってはいると思うけど」

 と、リゼミラは容赦がない。

 この二人の対決を見て、仲間の多くは奮い立った様子だ。

 彼女らの師弟関係が、自分達にも訪れるのではという期待もあるのかもしれない。旅団に加わって訓練を受けるという事は、先達ぜんだつから技術を学ぶのに最高の手段だからだ。

 ここにはリトキスやレオシェルド、ダリアやエウラなども居る為、多くの才能と触れ合う可能性がある。


 次世代のアウシェーヴィアのような後進を育成する為にも、優れた冒険者である先達の働きに期待しつつ、俺は鍛冶屋に向かった。




 すでに炉の前でケベルが作業をしていた。

 サリエは錬成台での作業に取り組み、装飾品に強化錬成をしているようだった。

 俺は武器庫にある未錬成の剣に強化錬成をしようと、別室の錬成台に向かって作業を始めた。



 それほど時間は経っていないがサリエが部屋にやって来て、魔法の剣を受け取りに客が来たので、渡してもいいかと言ってきた。

「ああ、俺が直接渡すよ、ありがとう」

 強化錬成を施した剣を武装測定器に掛けておく。

 そうしておきながら保管していた魔法の剣を取り出し、鑑定書と共にミーシアに手渡す。

 彼女はわくわくしながら剣と紙を受け取り、その紙を見て声を上げた。


「──すごいですね。予定していた物よりもずっと強力な武器になっているじゃないですか」

「そうだな。我ながらいい出来だと自負しているよ」

 そう言うと彼女は満足げに頷いて、残りの代金の入った皮袋を差し出してきた。


「ん……、確かに。

 魔法の剣の使い方については、各旅団に配布されている資料に基本が書かれているから、それを参考に自分なりの戦い方を身につけてくれ。──慎重にな」

「はい。ありがとうございました」

 ミーシアは嬉しそうな顔で帰って行った。


 新たな魔法剣の使い手が誕生すれば、技術もさらに進化する可能性が増える。それは冒険者個人のものから、次第に他の冒険者にも波及し、そして魔法の剣を造る錬金鍛冶師の増加にも繋がるはずだ。


「うちの徒弟も魔法の武器を造れるようになるだろうし、これからだな」

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