冒険から帰って来たレンネルたち
「ただいま戻りました」
宿舎に帰ってから猫に夕飯を用意していると、冒険から帰って来たカムイやレンネルたちと玄関で顔を合わせた。
二つの班に分かれて上級と中級に挑んでいた者達が冒険の館で出会ったので、そのまま公衆浴場で汗を流して来たようだ。
「おう、お疲れ」
「魔法の剣、最高でした」
中級難度の「暗黒の鉱山」に行ったレンネルは、キャスティと同じくらい活躍したらしい。
「この剣があれば、上級難度にも行けると思います」
レンネルは自信をつけたようだ。
キャスティはキャスティで、群れ為す敵を魔法で一網打尽にして見せたと、自慢げに話す。
「まあ、キャスティの実力は知っているよ。これからも頼むぞ」
「あ──ぃ」
キャスティは餌を食べている子猫の頭を撫で、にこにこしている。
アウシェーヴィアからレンネルについて聞くと、魔法の剣にも驚いたが、少年の剣技についても高く評価していた。
「あの年齢であれだけ戦えるなら、上級でも何も問題ない。今度から上級に行かせるべき」
「そうか、分かった──そうしよう。けど、お前やリゼミラといった、すでに上級を多く経験している連中と一緒に行かせるのが条件だが」
「やっぱりそのへんは慎重なんだ」
キャスティが立ち上がりながら言う。
「当然だ。俺の旅団では誰も死なせるつもりはない」
うんうん、とキャスティは笑いながら頷く。
「あんたって、昔から自分は無茶するクセに、人には無茶するなって言う類型だもんね」
「旅団長はそれくらいの慎重さがあったほうがいい」
今度はアウシェーヴィアが言って、二階へと上がって行った。
その階段の途中でこちらに振り向く。
「そうだ。リゼミラさんは今日はこっちに来ないって。家で子供達と食事を取るって言ってたよ」
「そうか」
俺は食堂に向かうと、食堂の前にある掲示板にその事を書き込んでおいた。
食事の前にフレジアにユナとメイの三人がテーブルを囲むように端っこに座った。彼女らは何か真剣な様子で話しながら、どういう訳かこちらをちらちらと窺っている。
そこへレーチェがやって来て、俺の前の席に座ると、ユナが俺達に話し掛けてきた。
「あの、お二人に相談したい事が」
「なんでしょう?」とレーチェがすぐに反応する。
「私達、火竜の素材が欲しくてフレイマに行きたいんですが、あちらに拠点を購入する予定があると聞いたので」
「ああ、それなら『朱き陽炎の旅団』長のアブサウドから持ち掛けられた物件があるが」
「フレイマの遠征拠点ですか。よろしいのでは?」
「そうだな。金なら入る予定があるし……いいだろう。ならアブサウドに手紙を書くから、今度ユナとメイが交渉に行ってくれないか」
そう言うとユナは少し困った顔をする。
「わ、私達がですか」
「古巣の団長に顔を見せておいてもいいだろう。あんな形で出て行く事になりはしたが、アブサウドも二人の様子が気になるはずだ」
メイは「いいよ」と気楽に引き受け、ユナは渋々といった感じで「分かりました……」と返事をするのだった。




