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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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回復魔法を習得する

魔法の設定曖昧なままだった──; 個人差(才能)で左右されるのですが、一応お金を払えば魔法を習得する機会は貰えますー──書かなかったけど、習得できなかった分の代金は何割かは戻って来るはず──たぶん。

 本日は朝から旅団宿舎で建物内や敷地内の掃除をし、それから訓練を(カーリアも呼んで)行う事にした。

 俺は午前は鍛冶場での仕事をこなして、午後から参加したのだ。宿舎の素材置場には結構物が貯まってきていた。鉄鉱石やその他金属の鉱石類は、中の金属を取り出して延べ棒にした方が置き場所が減らせるだろうと指示を出し、鉱石などは鍛冶場へと運ばせる。


 訓練は各自が魔物などの動きを想定して、どうやって攻撃するかなどを話し合ったり、連携について考えたりする「思考訓練イメージトレーニング」も取り入れるよう言っておいたのだ。身体を動かすだけでは冒険は行えない、彼らはすでに陸地を歩き回る鉄歯鮫マルヴァス(鮫の頭を持つわにの様な生き物)や、巨大なかにとも戦っている。人型の敵だけでは無い。思考訓練ではそういった異形の敵との戦いを想定して戦い方を研究する。


「しかし、問題は回復魔法を使えるのがユナしか居ない点だな、ウリスかレーチェには、今日にでも魔法屋へ行って貰うとしよう」

 一定の訓練が終わると、善は急げだとばかりに二人を魔法屋へ連行し、回復魔法を習得させてみる。──結果、ウリスが回復魔法を習得する事ができたのだった。


 レーチェは「この際ですから」と自腹で最低位階の魔法を手当たり次第、(金の力で)習得する事にしたようだが、風と土属性の攻撃魔法と、解毒の魔法を習得するという結果に終わった。

「何故回復魔法は駄目で、解毒魔法は使えるようになるのですか!」

 お嬢様は店員の魔法使いに食って掛かったが、そういった事は稀にある事なのだと説明して、荒ぶる客から逃れる。


 魔法には属性があり、個人によって得意な(習得し易い)属性というのは確かにあるようだが、それでもその得意な属性の魔法の全てを扱えるようになるとは限らないのである。

 魔法にはまだまだ未知の部分が多いのだ。


「とにかくウリスが回復魔法を習得出来たのは良かった。これからは魔法の効果も上げるような錬成品も作らないとな」

 ウリスにそう声を掛けると彼女は少し困った様子を見せる。

「うぅ……回復魔法が使えるようになっても、私の魔力量じゃ二、三回が限度ですよぉ」


 ぁあ、そうだった。彼女はカムイやメイと同じくらい魔力保有量が少ないのだった──

「大丈夫。暗生草を食べ続ければ少しずつだが魔力量が増える事は、カーリアで実証済みだ!」

「いやぁああぁああぁ……!」

 彼女の反応はごもっともだが、我々もカーリアを見習って週に三回程は、暗生草入りの生野菜料理サラダを食べている(まるで雑草を食べているかの様な味だ!)のだ。それが毎日に増えるだけだと言うと、彼女は暗生草が育ちそうなほど暗い表情になる──もちろん冗談だが。


「頑張ろう。俺も色々考えてみる」

 しばらくは生野菜用の調味酢ドレッシングの調合について研究する事になりそうだ。

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