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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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城塞都市からの帰還と洗濯機

 午後になっても俺は、ずっと洗濯機を組み立てるのに集中していた。金属の板を円形に組み合わせたりするのに多少の注意と変更を余儀なくされ、少し完成が遅れてしまった。試しに俺の上着や下着を洗っている所へ旅団の皆が帰って来た。


 皆、無事そうで安心する──特に新入りの二人はどうだったのかと思ったが、他の団員とも打ち解けた感じで話している。

 だが無傷で帰還した訳では無い。カムイやレーチェは前衛に立つ事が多く、敵の攻撃を喰らう事も一度や二度ではないだろう。


 回復はユナが回復魔法を使えるが、危険な冒険へ向かうには数人が使える方が安心できるのではないだろうか。

 新しい団員加入者に期待するか、今居る団員に回復魔法を覚えさせるか……。ヴィナーは回復系との相性は良くないらしい──魔力量は少ないがウリスも魔法の適性はあるらしいので、彼女に魔法を覚えさせる事も考えた方が良さそうだ。


 お嬢様やその侍女は、補助系の魔法なら扱えると言う。レーチェは攻撃力強化と防御力強化の魔法を使え、リーファは敵の動きを遅くする状態負荷魔法と、麻痺まひを負荷する魔法を扱える。


 俺が悩んでいるとレーチェが話し掛けて来た。

「あら、その機械……もしかして洗濯用の機械ですの?」

「ああ、今俺の衣類で試しているところだ」

 レーチェは原理について詳しく聞きたがるので、ここでは簡略化して説明すると……


 水流を起こす力で衣類を揉み洗いし、逆回転も加えて汚れを落とす。下からぶくぶくと小さな空気の泡が発生し、それが不規則な形で衣類に当たり、水流の力だけでは落とせない汚れも落とす仕組み──大体こんな感じである。


「いいですわね。これで洗濯が出来るなら楽になりますわ」

「お前は洗濯せんだろうが」

 俺の言葉に彼女は肩をすくめながら、旅団の宿舎に居る時くらいは自分の物は自分で洗濯しますわ、と言い切った。

 彼女が洗濯板を使ってごしごしと衣服や下着を洗っている姿など、まったく想像できないが。この洗濯機なら自動でやってくれるので、物臭ものぐさなお嬢様でも楽チンだろう(ちなみに洗剤は洗濯機用に液体の物を造った)。


 残念ながら脱水や乾燥は行ってはくれないが──、そのうち水分を蒸発させる魔法などが作り出されたら、それを洗濯機に応用する事は可能かもしれないので、それに期待しよう。

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