表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

557/585

レーチェと夜の予定を

 宿舎に戻ると早めに風呂場で汗を流した。

 金鎚を振り続けた事で腕にかすかな疲労が残っていたが、問題はない。訓練で腕を鍛える代わりだと考える事にした。

 風呂場から出て部屋に戻ろうとすると、多くの仲間が冒険から戻って来たところだった。


 メイはレンネルらと冒険に出ていたようで、玄関前で子猫達とたわむれている。

「あ、戻りました」

 レンネルが俺の顔を見て頭を下げてくる。

「うん。どこに行っていたんだ?」

「『巨大な塔のある山間』に行っていました。蜥蜴族の王(ムルト・レザーク)を狙って行ったんです。──遭遇できませんでしたけど」

「そうか、残念だったな。だがそう悪い事ばかりじゃないさ。ちょっと待ってろ」


 俺は自室に戻ると、魔法の剣を手にして玄関前まで戻った。

 玄関前にはレンネルとメイだけが残っていて、その足下で子猫がじゃれついていた。母猫は離れた場所から見守っているかと思ったら、床にごろんと寝転がって欠伸あくびをしていた。

 俺はついでに持って来た新しい猫の餌をメイに手渡し、子猫に与えるように言う。


「ほら、これ」

 そう言ってレンネルに剣を手渡す。

「え? これはなんですか?」

「魔法の剣だよ。風と水の属性に相性のいい」

「ええっ、くれるんですか?」

「タダとは言っていない。これからはその剣分の素材を入手してきてもらうぞ」

「うへぇ……」


 などと力ない溜め息を漏らしているが、新たな武器を手にして高揚しているようだった。口元はにこにこと笑いをこらえられずにいる。


「ぉお……スゴそう」

「かっこいいね」

 メイも一匹の子猫のお腹を撫でながら、剣を見上げて感想を口にした。

 少女は子猫に餌をあげようと瓶の蓋を開け、スプーンを手にした。


 レンネルは剣を抜いて上に持ち上げながら、その刃を光に当てているような仕草をしている。

「不思議な青い光を反射してます」

「その金属はパールラクーンで見つかった『魔法銀ディルミール』だよ。魔法との相性が良く、錬成強化するにも都合がいい」

「へえ! 新しい金属ですか!」

「貴重な金属だからな。無くすなよ」

「無くしませんよ。大事にします」


 レンネルが剣を鞘に納めると、子猫に餌をあげていたメイが声を上げる。

「わっ、わっ!」

「なんだ、どうした」

 一匹だけに与えていた餌に、二匹の子猫も駆け寄って来て餌の取り合いになったのだ。

 そこへ匂いに釣られたライムも加わり、小瓶に入れた餌を匙ですくってくれと、四匹の猫がメイの周りに群がっていた。

「すごい集まってきた~!」

 メイは嬉しそうだ。

 一匹一匹に匙ですくった餌を与えようとするが、皆が一斉に匙に頭を寄せて、収拾がつかない。


「大人気だな。さすが俺」

「え、団長が作った餌なの?」

「そうだよ。猫獣人フェリエスもまっしぐらな食いつきの良さ」

 餌を載せる皿に四ヶ所に分けて置いてやると、それぞれが顔を寄せ合って食べ始めた。


「あらあら、なんだか賑やかですわね」

 玄関からレーチェが現れ、子猫達の様子を見て言った。

「おう、お疲れさん」

「なんて事はありませんわ」

 そう言いながら紙を一枚差し出してきた。管理局に売った素材などの一覧だ。──どうやら「金銀鉱山と濃霧の湿地」に行っていたらしく、かなりの金鉱石を売ったようだ。

「多少は金鉱石を持ち帰った方が良かったでしょうか?」

「ああ……まあ、少しずつでいいけどな」

 分かりましたわ、とでも言うような表情を見せ、武器や防具を置きに二階へ上がろうとするレーチェ。


「ああ待て待て、今日の夜、時間を空けておいてくれるか」

「夜に?」

「ちょっと見せたいものがあってな、出かけよう」

 レンネルやメイは猫を相手にしながら、こちらの言葉に耳を傾けているようだったが、特に何かを言ってくる事はなかった。


「……そうですか。分かりましたわ」

 彼女は無表情で返すと、そそくさと二階へ上がって行ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ