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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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冒険で入手した武具の扱いとアラストラの来訪

冒険で入手した装備品などは冒険者の物か、旅団の物か。

場合によっては管理局が押さえる物もあります(多くは素材)。

 翌朝目覚めると、猫の様子を確認したりした後で食堂へ向かった。

 席に座った俺に挨拶をしてきたエウラが「なんだか機嫌がよさそうですね」などと言ってくる。

「そうか? いつもと変わらないと思うが」

 皆が食堂に集まると、昨日の冒険について話を聞かせてきたり、手に入れた武器の扱いについて話しをしたり。何故だかいつもよりも忙しい朝となった。



 基本的に冒険で手に入れた装備品などは旅団の物になる事が多い。もちろん多くは装備品を手に入れた冒険者の物となるのだが、旅団の団員それぞれの能力などと推し量って、最終的にどの団員に装備品を持たせるかどうかを団長や、あるいは旅団の中にある部隊長などの統率者リーダーが決定する事も多い。

 ──ちなみにうちの旅団では、冒険に出ていた者に所有権が与えられる場合がほとんどだ。ただし、旅団から持ち帰ってくるよう指示されている物は旅団に持ち帰ってもらう決まりだ。


 在庫として倉庫にしまわれている装備品や素材が欲しい場合は、団長と副団長の許可の下、なんらかの仕事をこなしたり(冒険で○○を手に入れてこい、といったような依頼内容)、旅団に対する資金の支払いで交換される仕組みだ。



「それで、昨日はどうでした?」

「あん?」

「だから、副団長の実家にお呼ばれしたんですよね?」

「ああ、まあな」

 ちらりとレーチェを見ると、じろりと仲間を見て、こちらに視線を流す。その目は「余計な事を言うな」という視線の圧(プレッシャー)を感じさせた。


「食料の配給に感謝を伝えてきたよ。あと花茶や蜂蜜酒ミードをいただいたから、そのうち飲んでみよう」

 そう答えると仲間達は一斉に興味をなくしたようだった。

「なんなんだ」

 どうやら俺とレーチェの間柄について、今までと違ったものがあると噂している者が居るようだ。

 だがそれは、全員が揃っていない(数名が遠征に出ている)状態で話す事じゃない。


「ともかく冒険に出るなら、玄関の黒板に書いた『入手目標物品一覧』に目を通しておいてくれ」

 そう言って俺は立ち上がった。

 今日はなんだか魔法の武具を打ちたい気分なのだ。

 凄く上手くいきそうな予感がある。

 俺は玄関の黒板に新たな物品を付け足すと、鍛冶場へと向かった。



 鍛冶場の炉の前に素材などを用意していると、ケベルとサリエがやって来て俺に挨拶をする。

「急ぎの仕事がないなら、少し見ていくといい。魔法の剣を鍛造たんぞうするから」

 二人に声を掛けるとケベルはすぐに「はい!」と返事をし、サリエは「わかりました」と、あまり前向きでない様子で声を出す。



 俺は炉に火を入れ、精霊石や燃結晶を投入した。

 金属は黒銀鉄鋼グラズアルドを使った。

 魔法の金鎚を手にして金床で軟らかくなった金属を打つ。


「カァン、カァン、カァンッ」


 焼けた鋼は打たれる度に火花を散らすが、すぐに火花の勢いは弱まり、打ち出される不純物はほとんど無くなって、段々と剣の形を取っていく。

 炉の中に入れ、出しては金床で打ち。また炉の中に入れる……


 ある程度の形が整うと、ここからが本番だ。


 魔法の剣を造る基本となる結晶などを金属の中に打ち込みながら、

ささやく祈りの言霊ことだまよ。魔法と秩序の祝詞のりとを鋼に刻み付けたまえ……」

 などと、この錬成が上手くいくようにと念じ、言葉にしながら金鎚を振り下ろす。


 魔力結晶が砕かれて金属に混じると、その魔力の経路パスを全体に伸ばしていく。一つ一つの作業に集中し、ずれなく完全な形となるように。


「クァーンッ、クァーンッ」と音にも変化が出てきた。

 微妙な違いだが少し甲高い音が消え、金属の中で反響したような、こもった音が響き出す。

 金属の中に魔力が浸透し、そんな具合に聴こえているのだ。──ただしそれは錬金鍛冶師の中でも、かなり経験を積んだ者にしか感じ取れないような感覚であるらしい。



 俺は対立属性である風と地の精霊力を封入した魔法の剣を造った。

 刃に厚みを持たせ、叩き斬るようにして使う幅広の剣(ブロードソード)だ。

 扱うにはそれなりの腕力が必要だが、かなり強力な武器を造れた。


「うん、悪くない出来だ」

 そう言ってケベルに手渡そうとすると、少年の腕よりも太い腕が伸びてきて、それを取り上げた。


「おぉ……これはなかなかの業物だな」

 魔法の剣をしげしげと見ている男は、私服姿のアラストラであった。

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