レーチェとの二度目の決闘①
俺とレーチェの決闘(訓練試合)を見守る団員達に囲まれて、闘いが始まった。
俺がだらりと下げた木剣と革の盾を見たレーチェは、いきなり仕掛けてきた。
鋭い突きを打ってきたので、それを振り上げた盾で弾く。
もし相手がこれで体勢を崩したなら追撃するところだが、レーチェは木剣を引き戻すと同時に横へと回り込み、盾を前に突き出す構えを見せて、こちらの反撃を牽制する。
(さすがに簡単には隙を見せないか)
こちらも盾を構え、木剣をくるくると回して相手の動きを誘う。
するとレーチェはその誘いに乗ってきた。
ざっ、ざっ、と音を立てる勢いで左右に跳躍しながら間合いを詰めてきて、低い姿勢から木剣を薙ぎ払ってくる。
その攻撃を斜め後ろに回避しながら木剣を振り下ろすと、彼女は革の盾でしっかりと攻撃を受け止め、そこから前に踏み込んできて、革鎧を貫けとばかりに鋭い突きを打ち込んできた。
こちらも僅かに横へと跳躍し、突きを脇腹の横を掠める形で躱すと、盾を突き出して反撃する。
どんっ、と重い音がして盾と盾がぶつかり、レーチェはよろけながら後退した。
こちらも足を引いて踏ん張った為に追撃まではゆけず、開いた間合いを詰めようと回り込みながら、じっくりと近づいて行く。
レーチェは慎重に盾を前に構え、こちらの動きに合わせてくる。
「ガツッ!」
一瞬の動き出しだった。
俺とレーチェは同時に踏み込み、二本の木剣が激突した。
同時に斬り掛かった攻撃がぶつかり合い、今度は互いが後ろに跳んで間合いを取る。
そこから互いの動きが加速した。
攻撃に対し反撃し、回避した後に反撃。さらに追撃を加える……
そんな攻防が続いた。どちらも譲らずに、互いの攻撃と反撃が繰り返される。
激しい攻防に、周囲で見ていた仲間達も驚いているようで、鬼気迫る団長と副団長の試合に、声も出さずに見守っている。
「さすがですわね」
レーチェは息も切らさずに言った。流石は現役の冒険者だ。──と言っても、こちらも息が上がっている訳じゃない。
「まあまあかな。──しかし正直な話、もっと予想外の攻撃をしてくるかと思ったが、そんなでもなかったな」
「これからですわよ」
彼女はそう言って盾を構えた。
格闘技を習っていたというのは聞いている。それも打撃だと。
剣と盾を持っている上での打撃──つまり足技か。
だがそれを待つ気もない。
今度はこちらから打って出た。
突きを盾で防御させ、横に回り込んで回転斬りを横からお見舞いする。
ところがその剣も盾で受け流された。読まれていたようだ。
「おぅっ……と」
盾で攻撃を上に逸らしたレーチェが反撃してくる。
盾の陰に隠れた視認し難い攻撃で。
それを回避して一歩離れると、彼女はすぐさま接近してきて素早い三連撃を繰り出してくる。
その連続攻撃を剣で捌く。突きを横へ逸らし、胴体を狙って反撃する。
レーチェの攻撃を最小限の動きで受け流し、回避した。
するとレーチェは身を引いて盾を構える。
「なぜ攻撃が分かるんですの」
「言っただろう。戦闘感覚を取り戻したと。つまりこういう事さ」
斬り掛かる振りをして、俺は間合いを詰めると、盾で相手の盾を打ち上げ、防御の構えを崩した。
彼女は盾を引き下げながら一歩後退したが、俺の姿が見えなくなっただろう。
俺は地面を這うような格好で、そこから突きを彼女の腹部めがけて打ち込んだ。
次話は日曜日に投稿します。




