表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

525/585

リーティスが決闘を見に?

 夕食を食べ終えると、後ろから誰かが頭を小突いてきた。

「少しよろしいですかしら」

「ああ」

 それはレーチェだった。

 何故か手には木剣と革の盾を持っている

「どうした」

「少し訓練をしません?」

「明日は決闘だというのに、わざわざ手の内を見せるような真似を?」

「そんなに本格的なものではありませんわ。簡単な食後の運動程度のものですわ」

「分かったよ」




 庭に出ると外は暗くなっていて、倉庫から木剣と盾を取ってくると、レーチェは地面に角灯ランタンを置いているところだった。

「明かりがあった方がよろしいでしょう」

「ん。で──急に訓練だなんてどうした。何かあったのか」

「その──明日、妹が来るかもしれませんの」

「へぇ? そうなのか。しかしなんでまた……」

 俺達はそんな会話を交わしながら木剣を振り、それを革の盾で受け止めた。

 あくまで剣の振る形を確認するだけの動きで、力はそれほど入れていない。

「決闘を見届けたい、という事でしたが……」


 あの妹がそれだけのつもりで、わざわざ姉の今後を決めるような闘いを見に来るだろうか。たぶん()()()()()()()()つもりなのだろう。──そしてそれは、俺にとって有利になるような圧力の掛け方をするように思われた。


「まあ、それはそれとして。時間は昼前くらいでいいか?」

「リーティスはその前には来るつもりのようでした」

「了解」

 俺は返事をすると、少し強めに木剣を打ち込む。すると彼女も盾でしっかりと受け止め、反撃の鋭い連撃を繰り出してきた。

「それじゃ、俺は風呂に入るよ」

「そうですわね。……風邪など引かないように」

「分かってる」



 木剣などを倉庫に戻し宿舎に戻ると、玄関先で白猫のライムが俺達を出迎えた。

 廊下の真ん中に座り、置物みたいに背筋を伸ばして待ち構えているようだった。

「ウニャァ~」

 何か言いたげに鳴きながら近づいて来て、俺とレーチェを交互に見て、また鳴いた。

 靴を脱いで義足を拭いていると、ライムは俺の膝に前足を乗せ、それからレーチェの方に寄って行った。


「あら、なんですの? ライム」

 そう言ってライムのあごを触り、頭を撫でてやると、白い猫は「ウナウナ」と甘えた声を出す。

 俺は白猫とたわむれているレーチェを見て、思い出した事があった。


「そういえば、地の神ウル=オギトが言っていた」

「え? ウル=オギト様が?」

「自分の想いと副団長レーチェの想いは同じだ、みたいな事を言っていたんだ。いったいどういう意味だと思う?」

 そう伝えると、レーチェは白い猫の頭を撫でながら俺の顔を見つめ、一瞬眉を上げると、俺から猫に視線を落とす。


「それは明日、あなたが勝利すれば教えるつもりですわ」

 彼女はライムの頭から手を放し「それでは明日に」とだけ残して、二階へと上がって行った。

 俺とライムはそんな彼女の後ろ姿を目で追いながら、自室へと戻って行った。




 風呂に入って出て来ると、廊下にはライムが待っていた。壁際に品良く座り、俺の顔を見るなり鳴き声を上げて近づいて来る。

「なんだ、今日は一緒に寝るか?」

「ニャア」彼女はそう返事をする。

 ここ最近は寒い日が続いている。というか冬になったので、毎日の気温はほぼほぼ一定の寒さで固定されているのだ。


 自室に戻って体が乾くまで椅子に座って作業していると、ライムが膝に乗ってきた。やはり寒いみたいだ。

 猫の保存用餌について考えたり、管理局から依頼されたあれこれについて考えたりしていると、膝の上で丸まっていたライムが眠ってしまった。

「あらら」

 俺の体が乾いたのを確認し、寝台ベッドに横になる事にした。


 そっとライムを抱き上げ、布団の上に乗せてやり、その布団を俺の体の上に被せる。

 ライムは丸まったまま寝息を立てていた。

 俺はそれほど眠気を感じていなかったのに、その寝息を聞いていたら──段々と、眠気がやってきて、俺はお腹の上に乗った小さな体温を感じながら眠りにいた。

次話は二日後の日曜日を予定してます。

たくさんのブックマークありがとうございます。評価してくださった読者に感謝です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ