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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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アリスシアの戦闘感覚

「しかし、魔法についてはどういう事だ? アウシェーヴィアは強化魔法くらいしか使えないはず。剣での攻撃に攻撃魔法を組み込むなんて出来ないはずだ」

 アリスシアは剣での攻撃に攻撃魔法を組み込む連携を「教わった」と言っていた。


「私に武器での戦闘に魔法を組み込んだり、呪文の区切り方などを教えてくれたのは、アウシェーヴィアさんを訪ねて来た魔法使いの女性から教わりました」

「……という事は、その女は()()()()()か」

「──名前は伺っていませんが……」

 ある日、アウシェーヴィアの元を訪れて来た女。その女はしきりにアウシェーヴィアを冒険に行こうと誘っていたらしい。

 その期間のわずかな間だけの魔法の講師を得て、複雑な呪文と魔法の知識を得たのだという。

 アリスシアは勉強熱心で努力家な子供だったようだ。

 キャスティがする魔法の話は大抵難解で、高度な呪文と魔法の解釈があり、俺には理解できないものだった。


「アリスシアはアウシェーヴィアとキャスティの掛け合わせ(ハイブリッド)みたいなものか」

「なんかそう言われると……キャスティさんかどうか私にはわかりませんし、それにたった数日間の講師役だったので」

「それもそうか。──けどキャスティに違いないと思うぞ。あいつの難しい呪文と魔法の行使について理解しそれを実戦に組み込むなんて、アリスシアはなかなか魔法の才能があると思う」

「そうでしょうか……」

「もしかするとキャスティみたいに、単純な構成の魔法なら即座(無詠唱)に使えるようになるかもしれないな。そうなれば剣での攻撃後の隙を、魔法を放つ事で打ち消せるかもしれない」


 その戦い方を出来る者は少ない。

 魔法使いであっても、反射的に魔法を撃ち出せる者は少ないのだ。

 まあ多くの戦士は魔法よりも剣気の技を使い、気の力を使った攻撃や防御を織り込んだ戦い方をするのが一般的だ。

 仮に呪文の詠唱をはぶいて魔法を即座に使えるなら、やはり攻撃後の隙を減らす為に使うだろうか。

 こちらの攻撃に対して反撃しようとする敵の行動を止める手段になるかもしれない。

 そう考えるとアリスシアのような剣と魔法を連携させられる技術は、かなり有効な戦闘形式(スタイル)になり得るだろう。


「呪文詠唱を簡略化した魔法。──いいじゃないか、伸ばしてみろ」

「はい。──けど今は、剣と盾を使った戦い方を学びたいのですが……」

「分かった、分かった」

 俺は木剣と革の盾を構えた。

 そうして今度はこちらから前に出て、アリスシアが防御と反撃を繰り出せるか見ようとした。

 ……残念ながら彼女は攻撃に対する防御や回避が苦手なようで、俺は逐一説明をしなければならなかった。


「横へ避ける、盾を構えながら。──盾で相手の攻撃を受け流しつつ──、そうだ!」

 間合いが近い時は後ろに下がるな、前に出て振り上げた相手の肘を盾で跳ね上げろ。そんな説明をしながら実際に動きを説明していると、俺達の周りに人が集まりだした。


「……なんだなんだ、お前ら」

「いえ、ためになるなと思って」

「いつもリトキスやレオシェルドに教わっているだろ。それと同じだ」

「盾を使った戦い方は教わっていません」

 みたいな事を言う仲間達。

 確かに二人(リトキスら)は武器しか持たない冒険者だ。……リトキスは盾の扱いも詳しいはずだが。


「見るよりも慣れろ、だ。見て覚えた事を実践し、身体で覚えていけ」

 俺はそう言ってアリスシアの相手を仲間に任せ、他の団員の指導を行う事にした。

 盾を使った戦闘技術など、基本的な事と──後は我流のものでしかなかったが。それでも彼らには好評だったようだ。

 その意見の多くが「実戦的だ」というものだった。──それはそうだろう。剣と盾を持った白銀騎士などを相手にして戦い方を学んだのだから。


 あまりに厳しい攻撃を受け続け、いよいよ盾を捨て大剣に切り替えようかという時期だった。

 大剣で相手の攻撃を受け流し反撃する技術を猛特訓し、なおかつ剣気によって一撃必殺を狙うような戦い方に切り替えた。

 白銀騎士の攻撃に合わせて踏み込み、盾で相手の動きを牽制する動きは我ながらなかなか洗練されたと思ったが、剣気の才能が開花すると大剣に切り替えたのだった。


 盾で相手の攻撃を弾き、体勢を崩させたところに必殺の一撃を叩き込む。

 これは盾を使った反撃の最たるものだが、なかなかそれを会得するのは難しい。

 レーチェもかなり上達したと聞くが、それでも五割いくかいかないかの確率だと言っていた。


「明日の決闘でも使ってくるだろうな」

 盾で弾かれて武器を手放すほど間抜けではないつもりだが、精々注意するとしよう。

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