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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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鍛冶屋に来た若い冒険者達

 朝食後にあんまんの下に張る紙を錬成台で生成した。

 貝殻などを消費したが、西海の大地と接合された事で貝殻は格段に手に入りやすい物になっている。

 生活用品のいくつかには、貝殻の粉末などを使用する機会は多いのでありがたい。

 鍛冶屋でそうした作業を終えると、そこに来客の姿が。


「うっす。オーディスさん」

「おう」

 それは冒険の館の前で会ったチャラい感じの冒険者だった。──どうやら若手の付き添いで来たらしく、若い冒険者数人が新しい防具は無いかと、既製品きせいひんの置かれた場所を物色している。


「俺もいい武器があったら買いたいんすけどね」

「それは残念だったな。結構いい出来の剣が作れたんだが、すぐに売れてしまった」

「ええ~~そりゃないっすよ」

 そう残念がる若い男。

「まあ、運が良ければ買えるかもな」

「オーディスさんの手掛けた武器はちょっと余所よそのとは違いますしね。──いや、お弟子さんの作る物だってなかなかの物だと評判すよ?」

「だが高い?」

「はは……まあ多少は。ここの店に置かれた武具が安かったら、他の店には客が入らないっす」


 などと言って俺を喜ばせてくれる。

 男が連れて来た若者を見ると、どうやら胸当てと籠手を探しているようだった。

 ケベルが彼らに近寄って行き、客の戦い方などを聞いて、それに合った防具を紹介しようとしている。──そうした事も教えられるのが、冒険者と鍛冶師を両立できた俺ならでは、といったところだ。



 遠巻きに若者達を見守っていると、チャラ男がこんな事を言い始めた。

「自分もそろそろ()()行きたいんすけどね」

「え?」

 俺は首を傾げた。この男は中級難度に行けるようになったばかりだと思っていたからだ。

「中級難度の転移門には何回くらい行った?」

「そうっすねぇ……たぶん五十回くらいは行ったっすよ」

 とてもそうは見えなかった。中級を五十回行けば中堅と言っても差し支えない。


 この男がその取り組みに反して、それほどの技量を身につけていないように見える理由は、その気配にあるようだ。

 ──もしかすると、正面から敵に挑むような戦闘様式(スタイル)ではなく、視覚外から不意打ちを掛けるような戦い方をしている所為せいかもしれない。

 まれにだが、そうした気配を殺すような戦い方をする者は、その雰囲気から戦闘能力を察する事が難しい場合がある。


「もしかして身を隠しながら戦う類型タイプか?」

「う──ん? そうっすね、あまり正面からいくよりは気配を消して斥候せっこうをしたり。場合によっちゃそのまま不意打ちを決めて、致命の一撃を与えたりするっす」

 それはそれで高度な戦い方だが、集団戦になり易い冒険者の基本的な戦い方にはない、ある意味で邪道な戦い方だ。


「魔影剣士みたいな戦闘形式(スタイル)か……」

「まあ、そうっすね。多くの冒険者からは軽んじられる戦い方かもしれないっすけど。これが自分には合ってるんで」

 それで彼は腕試しに上級難度の転移門「動かざる王の居城」に挑んだらしい。


「結果は散々っす。何度目かの戦闘後に遭遇した『魔影剣士』との戦闘で危うく死にかけたんすよ。やっぱ本物ほんもんは違うっすね」

「たはは──」そんな風にどこまでもおちゃらけてはいるが、それ以来上級難度の転移門には行けなくなったと言う。

 魔影剣士との戦いで死にかけてから、仲間からも「中級で腕を磨いてから」と言われてしまい、上級への参加を断られたのだと説明された。


「それで最近は正面からも戦えるように鍛え直しているんすよ」

「なるほど」

 俺は少し、この男の戦いの技能について興味を持った。

「動かざる王の居城」については『錬金鍛冶師の冒険のその後《外伝》 ー登場人物設定などー』を見ていただければ。

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