決闘の前日に
目覚めは最悪だった。
夢の中で長椅子に腰掛けた作業着姿の男(イケメン)に呼び止められ、
「やらないか」
と声を掛けられた。
俺は思わず駆け出しながら、
「結構です!」
と叫んで逃げ出したのだった。
「不吉な夢だった……」
危うく「アッ──!」な世界に旅立たされるところだった。
明日には素晴らしい女を手に入れる予定だというのに、なんだか敗北フラグを立てられたような気分だ。
「くっ……だが、俺は負けない!」
俺は早々に朝のルーティーンをこなすと、あんまん作りを始めた。調理場にはエウラとカーリアとフレジアの三人が朝食の支度をしていた。
「おはよう」
そう互いに声を掛け、それぞれの作業に取り組む。
俺は寝かせていた生地を適当な大きさに切り分けて丸め、それを麺棒で伸ばしてあんを包む。
それを何十個も用意していると、手の空いたカーリアとフレジアが手伝ってくれた。
エウラは苦手な料理をするのに必死で、大量の卵焼きを作る事に奮闘していた。
「絶対に焦がさない……!」
などと鬼気迫る顔で呟いている。
「──もっと気楽に作れよ。そんなんじゃ料理が不味くなる」
とは言ったものの、そもそも料理が出来ない奴が、楽しんで料理なんて出来る訳がない。
あまりの険しい表情に俺は震え声で「ま、まあ──頑張れよ」と声を掛けたが、たぶん耳に入っていない様子だ。
その点二人の少女は飲み込みが早く、あんを取って包むやり方を教えると、あっと言う間にそれを出来るようになった。
お陰で朝食の前に全部の材料をあんまんの形に整える事が出来た。が──
「あ、しまった。どっちがごまあんか分からなくなったぞ」
目印を付けるべきだった。
「……まあいいか」
あんまんの下に張る紙は、蒸す時に生地が蒸し器に張り付かなくする為の物だろう。水を吸わず、蒸気に強い紙を後で用意しよう。
まずはカーリアとフレジアに礼を言い、朝食を食べようと声を掛けた。
食堂に行くとレーチェがやって来て猫の餌を与えたと言いながら、「猫用の餌を用意しなくてはいけませんわね」と口にする。
そう言えば猫の餌──特に保存が利く奴を作っていない。
撥水加工の紙は用意できるし、空気を通さない物も作れる。その二つを兼ね備えた紙も作った。後はそれを筒状に加工して、外部の空気に触れさせないように出来れば、チュー○だって作れるだろう。……いや、中身は違う物だが。
「猫の餌か。考えておくよ」
そう言うとちらりと大皿に載せたあんまんを見る。
「あれがあんまんですの? ……明日は私との決闘だというのに料理とは、随分と余裕ですのね?」
「ふふん。恐れ入ったか」
そう胸を張って言うと、彼女は溜め息を吐いて首を横に振る。
「その強気が、ただの強がりでなければいいのですけど」
「ぬかせ」
だが俺達はそれ以上言葉でやり合う事はなかった。
明日、俺と彼女は戦士としての誇りを賭けて競い合うのだ。
どちらが強いかは明日、はっきりと示せばいい。それだけだ。
食堂に向かうと席に着き、俺達は顔を突き合わせて朝食を食べた。
周囲の仲間達はなぜか静かになって食事を食べている。……どうやらエウラの卵焼きの味付けが、結構な甘さになっていたようだ。
「うん、砂糖は大切にな……」
そんな言葉が俺の口から自然と漏れたのである。
夢の内容がわからなかった人は「くそみそテ○ニッ○」で検さk……いや、まってほしい。内容はギャグ(?)ホ○マンガなので注意を。
さんざんこすられたネタなので、ネタ自体は目にした人は多いと思いますが。いくつもの名言(迷言)が出てくるマンガです……「アッ──」もそう。




