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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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カーリアの魔法の才能

ある意味カーリアが主人公っぽい立ち位置に居る状態──

それにしても女の旅団員ばかりだな──とか思った人、それが主人公オーディスワイアの力(ご都合)なのだ‼(強引)

 朝にカーリアと訓練をするついでに双子──姉の名はエアネル。弟の名をレンネルという──の技量を測る為に、一対一で相手をしたが、姉の槍術は剣を受け流してからの突きが正確で鋭く。弟の剣術は慎重で、やや攻め手に欠けるが、堅実な守りと反撃力を有していると感じた。


 しかし双子の真価はこの二名の共闘にあった。前衛をレン、後衛をエアが務めると、攻撃の回転数が格段に上がる。

 生半可な攻撃をレンに繰り出すと、後衛から槍が伸びてきて反撃を受けるし、防御に徹するとレンとエアの息の合った連携で攻め立てられる──といった具合だ。


「さすが双子だな」

 木剣と木の棒を使用しての訓練だが、(防具も着けている)危うく()()()()()にされるところだ。仕事前にぼこられる訳には行かない、訓練は早々に切り上げて退散する。


 カーリアの方は大分剣の扱いに慣れてきたが、体力や筋力はまだまだだ。彼女は懸命に腕や身体を鍛える為に、腕や脚に重しを付けて生活したりしているが、まだ足りないようだ。

「カーリアはその魔女衣装を止めて、明日からは革鎧に重りを入れた物を着て訓練な。できれば日常もその革鎧で生活するように」

「ええぇ──! やだやだ! 可愛くない!」


 嫌がる少女に俺は独り言を言うみたいに喋ってみせる。

「ぁあ──、これで駄目ならカーリアは鍛冶屋を継ぐのか──ま、仕方ないよな──」


 少女はその日からフリフリの魔女姿を止めて、革鎧や革の籠手の内側に鉛の板を仕込んだ物を身に着けて生活するようになった、食生活も好き嫌いをせず何でも口にする様になったらしい。

 少女にとって年の近いユナやメイ、エアやレンといった新しい団員候補の影響もあって、このままではまずいと考えたのだろう。俺としても革鎧姿のカーリアを見るのは違和感を拭えなかったが、これも彼女の為だ。それともう一つの案件──カーリアの魔法適性を調べる為に魔法屋へ行くよう言っておいた。


 魔法屋は名前の通り魔法を売ってくれる店だが、適性を調べるのも実質こういった店が行っているのだ。都市管理局でも受け付けているが、魔法屋は昔から各都市に魔法に関する情報網を敷いていたので、こちらの方が応用が利くのである。


 カーリアの適性は「微妙」と出た。これは「残念ながら適性値が低い」という事ではなく、「現在値は低いが、今後伸びる可能性は高い」という意味であるらしい。俺はこれを聞き、彼女に暗生草を食べる事を勧めた。

 味はかなり不味まずいが、魔力の基礎値を上げるのに(潜在的な能力の底上げなので時間は掛かる)有効な手段であるとされているからだ。──不味いが。


 カーリアは朝と夜に暗生草の生野菜料理を食べ続けた。彼女の頑張りに応える為に団員に暗生草を取りに行かせ、暗生草の沢山生えている場所を発見し、そこへ何度も足を運んで(危険はある)暗生草を持ち帰らせた。


 もはや団員全てがカーリアを仲間の一人と認めている雰囲気すらあった。貧弱だった少女は今では、鉄の胸当てと鉄の籠手と脛当ても装備して、鉄の剣を振るえるまでになった。まだまだ頼りない水準レベルだが、短期間でここまでになったのだ。二年以内に旅団に参加する事は可能だろう。


 少女の両親からの提案では、都市管理局の旅団員推薦状(すいせんじょう)を獲得できるかで、彼女の将来を見極める事にしているらしいが、この分なら一年以内に良い結果が出るだろうと俺は内心安心していた。

 日に日に筋力と共に内包する魔力量が増えてきたカーリアに、俺は自腹を切って彼女に魔法を覚えさせる事にした。魔法剣士だ、格好いいだろう。そう言うと少女は目を輝かせて「それも悪くない」などと生意気な事を言う。


 カーリアはこうして初級の魔法をいくつか手に入れたが、どうやら彼女は剣士よりも魔法の方に適性があるようだ。試しに使わせた攻撃魔法は初心者にしては、かなりの威力を秘めていたのである。──その反面回復魔法は、覚えさせようとして無駄になってしまった──

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