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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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小さな旅団の活動と交流

 翌日。リトキスを中心とした団員がゲーシオンの拠点に向かう事になった。

 向こうで必要になる物を購入する資金を用意し、食材もいくらか持って行く。


「レーチェさんはクラレンスに行くそうですね。もう馬車に乗る為に停留所に行きました」

「ああ、領地での仕事があるらしくてな」

 レンネルとユナ、メイが玄関に集まっていた。遅れてカムイが荷袋を担いでやって来る。

「オーディスさんもゲーシオンに行くんですか?」

 リトキスの問いにうなずき、錬成台を後から持って行くと告げた。


 五人が大通りに向かって行くのを見送り、俺は鍛冶屋に足を運んだ。そこで徒弟達に、旅団が遠征拠点を作った事を説明しておいた。

「これからも旅団は大きくなっていくんですね」

「遠征先で僕達の力が必要になったら協力しますね」

 ケベルはそんな言葉を言ってくれる。


「ああ、その時は頼む」

 そう言って俺は錬成台を造るのに必要な素材を倉庫から運び出した。

 新しい錬成台を造る用意はしていたのだ。

 後は遠征拠点に持って行き、組み立てるだけだ。


「じゃ、行って来る」

 俺は鍛冶屋を出ると大通りに向かった。

 馬車は街の外からやって来ては客を降ろし、停留所の広くなった場所(ロータリー)をぐるりと回って客を乗せると、すぐに街の外へ出て行った。

「おいおい、大丈夫なんだろうな」

 回転率を上げた方が稼げるのは分かるが、休みなしでは馬にも御者ぎょしゃにも負担が掛かる。

 いくら街と街の間の短い距離とは言え、休息くらい取らせてから次の仕事に行くべきだろう。

「……まあこっちはそれほど交通量が多い訳でも、道が入り組んでいる訳でもないからな」

 基本一直線に延びた道を進むだけだ。──地球とは根本的に距離も違う。馬も慣れたもので、御者の命令が出るまで退屈そうにしていた。


 荷物をゲーシオン行きの馬車の荷台に載せて客車に乗り込むと、冒険者三名と乗り合わせる事になった。まだ若い、下級の転移門に向かう冒険者だろう。

 少年三人組はまだ装備もそろっておらず、見ているだけで不安にさせられるが、話を聞いてみるとどうやら、ゲーシオンの冒険者と共に冒険に出るらしい。


「『鉄鬼旅団』というところの団長さんとうちの団長は仲が良くて、互いの団員を遠征に招いているんです」

「なるほど、最近はそういうのもあるのか」

「団長たちは一緒の旅団で活動していたそうで、別の都市で旅団を立ち上げた後も、ずっと仲良く交流しているそうです」

「それはいいな」

 こうした繋がりが広まっていけば、旅団同士の関わりも、フォロスハートへの貢献度こうけんどだけで判断するような事もなくなるだろう。──旅団の価値を決めるに当たって当然とされていた知名度や貢献度よりも、密接な関係性をもって互いに高め合えるようなあり方。そうした旅団や冒険者同士の関係が生まれれば、フォロスハートにとって大きな力となるだろう。


 若い冒険者達と話しながら馬車に揺られ、気づけばゲーシオンに着いていた。

 荷物を降ろしていると、彼らは律儀りちぎに挨拶をして去って行く。

 聞けば三人は「餓狼がろう旅団」という、ミスランに出来て間もない旅団の冒険者らしい。

 中堅どころの冒険者が二、三人居るだけの小さな旅団だが、こつこつと実績を上げているようだ。

 彼らを見送りながら、俺は遠征拠点に向かって歩く。


 人通りの多い道を進み、脇道に入って目的地へ近道すると、思ったよりも早く辿り着いた。

 玄関は開放され、すでに一通りの掃除は終わったようだった。

「あ、来ましたね」

 二階へ続く階段からリトキスが下りて来る。どうやら買い物に行くようだ。

「レーチェさん──副団長から資金を頂いていますので」とリトキス。

「ああ、こっちは錬成台を持って来たぞ」

「それでは一階の……たぶんあの部屋がいいと思いますが、どの部屋に置くかはお任せします」

「うん」


 話しているとカムイとレンネル。そしてメイとユナも二階から下りて来る。

「それでは買い物に行って来ます」

「おう、いい物を買ってこいよ。──俺は錬成台を置いたら神殿の方に行くから、拠点の鍵は持って行けよ」

「はい」とリトキスが答える。

 俺は彼らを送り出すと、錬成台を組み上げて設置する作業に入った。

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