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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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遠征拠点の使用について

 遠征拠点を使用するに当たって、いくつかの決まりを皆で相談して決める流れになった。

 冒険で得た素材などをしまう保管庫には毎回鍵を掛け、ミスランに帰る時には持ち帰るのを前提にし、高価な物なども鍵の掛かった場所に保管するよう注意する。


「部屋は個室と二人部屋がいくつか。大部屋もあるが、まだ布団などは用意されてない。次に拠点に行く者は、そうした品をゲーシオンで購入する必要があるな。……金は旅団の方から出す。心配するな」

「砥石とか、武器の手入れをする場所は」

「無い。──それも手配しないとな」

 調理場に風呂場もあるが、調理器具は新たに購入する必要があった。当然、風呂場に用意する物もあるだろう。


「拠点での食事の片づけも重要だ。出たゴミは燃やすなど処理をして、庭に埋めるように。特に生ゴミを放置して腐らせた奴には罰金を科す」

 肥料になるように土へと返すのがフォロスハート流だ。

「この宿舎と同じような扱いを、という事ですわ」と、レーチェが簡単にまとめる。

「そのとおりだ。丁寧に、次に利用する人の事を考えて使う。思いりが大切だな」

 団員達は「はい」と声をそろえて返事をする。


「移動費用は自腹で払ってもらうが、食事などは宿舎にある備蓄から、各自が日数分を持って行くように。もちろん遠征先の料理屋に行くのは止めないが、自腹だぞ」

 自腹を強調すると、リゼミラ辺りから溜め息が漏れる。

 俺はそれを無視して次の拠点について話を始めた。


「それで、ゲーシオンの次に拠点を設置するとしたらどこがいいか、皆で検討しておいてくれ。まだまだ先の話になるだろうが。……だがそれも、団員の頑張りによってはそれほど遠くはないだろう。一応フレイマにある旅団『あか陽炎かぎろいの旅団』の使っていた建物を購入しないか、という話は受けている」

「へえ──」と反応したのは「朱き陽炎の旅団」に在籍ざいせきしていたメイだった。

 メイと同じくあちらの旅団から抜けてきたユナも、一瞬驚いたような顔をする。

「まだどうするかは未定だが、金額によっては受け入れようと思っている」

 それでもいいか? と尋ねると、多くの団員は「団長に任せる」といった目で俺を見るのだった。


 これから「錬金鍛冶の旅団」は各都市に拠点を設置し、存分に冒険者としての働きを支援する旅団となっていくだろう。

 フォロスハートを支える大きな旅団。その一角をになう旅団へと変わりつつある。そう感じていた。



 ここに集まった団員の顔を見れば分かる。

 希望に満ちた顔。

 そこには不安や惑いはひと欠片かけらもない。

 ここに満ちた空気を、俺は良く知っている。

 金色こんじき狼の旅団。そこにあった空気と良く似ていた。──もちろん、俺が冒険者として活動していた頃の”金色狼”の話だが。


 現在の古巣は……正直、いい噂を聞いた覚えがない。

 レオシェルドが抜け、また一段と活躍する冒険者を減らしてしまった。

 あの「調整役」とか言うカインツが取り仕切って以降、凋落ちょうらく一途いっとを辿った金色狼。

 今回の管理局の旅団への対応で、また以前のような輝きを取り戻してくれたら。──そんな風に思う。



 ここの仲間達はゲーシオンへの遠征について話し合って、早速さっそく明日にでも行こうという風向きになっていた。

「う──ん、なら予定していたとおり、俺も行こうかな」とカムイが言えば。

「そうだね。せっかく拠点ができたなら、行かない手はないよね」とレンネルが返す。

 二人がそう決めたのは、リトキスが遠征に行かないかと声を掛けたのが理由だ。


「新しい拠点かぁ……おもしろそう。行ってみる?」

「え、うん……そうだね。行ってみようか」

 メイがユナを誘うと彼女はうなずいた。

 新しい拠点にどういった物を用意すべきか。そこは他の旅団で活動していたリトキスやレンネルが、それなりの指示を出してくれるだろう。

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