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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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レーチェに相談

「なんですの? 朝からそんな顔をして」

 前の席に座ったレーチェが言う。

 今日のレーチェは縦巻きのウェーブヘアではなく、まっすぐに下ろした髪型だった。

 冒険から帰り、寝る前などはこの髪型で居る事が多かったが。


「いや……奇妙な夢を見てな。それに出てきた()()()を解読しなければ、と考えていたんだ」

「夢の──お告げ?」

 レーチェの隣に座っていたユナが興味を抱いたらしく、尋ねてきた。

「ああ、まあ……それはさておき、二人は何か、特徴的な夢を見た事はないのか?」

 逆に尋ねると、レーチェとユナが考え込んだ。


「そう──ですわね。最近だとやはり旅団関係の夢とか、冒険先の事とか。そういった内容の夢なら何度か見た覚えがありますわ」

「私も魔法の練習で魔法が暴発したりとか、逆に冒険先で魔法が使えなくなったり──とか、そんな怖い夢を見たりしました」

 ──少なくとも二人は実際的な現実問題の延長としての夢しか見ていないらしい。謎めいた夢の啓示といったものは、彼女らには無縁なのかもしれない。


「なんですか、そのつまらなそうな顔は」

「いやいや、二人共ごくごくふつ──の夢しか見ていないんだなと」

「あなたがおかしな事ばかり考えているから、変な夢を見るのではなくて?」

「なるほど。そういう事もあるか」

 俺は適当にそう返したが、こういった夢の内容が()()()()()()()()()()()()()事を俺は知っている。



 朝食を食べ終えるとレーチェが、今日は鍛冶屋に行くのかと尋ねてきた。

「ああ、昼まで鍛冶作業をして、それから戦闘訓練に入るつもりだ」

「そうですか。せいぜい頑張ってくださいな」

「あいあい」

 わざと相手を怒らせるように言ったつもりだが、レーチェは俺に返事を無視して立ち上がり、皿を下げに行く。

 おっと、そういえば遠征拠点について相談していなかった。俺は自分の皿を持ってレーチェの後を追う。


「待て待て……少し話があるんだ」

「なんですの?」

「ゲーシオンやフレイマに、遠征拠点を作ろうと思うんだが」

 そう言うと、皿を流し台に置きながらレーチェは考え込んだ。

「そうですわね、遠征に行きたいと言う団員も増えてきましたし。いいと思いますわ」

「それで、いくつか建物の見取り図をもらってきたんだ」

「手回しのいいこと」

 彼女は驚いた様子だ。



 俺達は執務室で、遠征先の建物の確保について、街の地図と建物の見取り図を前に話し合う。

「図面では分かりませんが、しっかりとした建物なのでしょう? ならどちらの物件でも良さそうですわね。庭もあるのでしたら、畑や花壇も作れますし」

「誰も遠征に行っていない間の事を考えると、向こうのたてものの掃除や庭の手入れをする管理人が必要かもしれないが」

「そうですね──、建物の内部は放置してもそれほど問題はないでしょう。何年も遠征に行かない訳ではないでしょうから。

 庭に畑を作るなら、管理する人が必要になりますわね」

 そんな会話をし、一度物件を内見(内部見学)する事に決めた。


「まずはゲーシオン。その後は三都市のいずれかに、という事ですわね? 他の都市については団員とも相談した方がいいでしょう」

「だな。まずはゲーシオンに行って内見を済ませようか」

「でしたら、今日でも構いませんかしら?」

「急だな」

 なんでも彼女の今日の予定が訓練だけだったらしく、なんだったら今日中に拠点作りを決めてしまおうと考えたようだ。

「分かっていますか? 三日後にはわたくしとの決闘があるのですよ?」

「それは分かっている。──そうだな、早い方がいいか」


 俺は彼女の提案を受け入れ、鍛冶屋に行って今日の予定を説明し、大通りにある停留所からゲーシオンに向かう馬車を探して乗り込んだ。




 小一時間馬車に揺られ、俺とレーチェはゲーシオンに辿り着いた。

 早い時間だった為に路上には、これから転移門に向かう武装した冒険者達であふれている。


「見てくださいあの冒険者。──()()()()()ようですわ」

「なに?」

 窓の外を見ていたレーチェの言葉に耳を疑う。

 移動している馬車の窓を覗き、レーチェが指し示す方を見たが、それと分かる人物は見当たらないまま冒険者の横を通り過ぎてしまう。


「本当に居ましたのよ。左手を失っているようでしたわ」

「冒険者──得物は?」

「背中に幅広の剣を。腰には短剣らしい武器を持っていましたわ」

 片手で武器を振って戦う……出来ない訳ではないが、かなりの難度だ。両手で扱えないとなると、片手に負担が掛かるだけでなく、武器の重さを制御するのが難しくなるからだ。リゼミラでさえ、武器の遠心力に振り回される事もあるのだ。


「まさか、ゲーシオンにはそんな奴が居るのか。──男、だったよな? もちろん」

「ええ。五十代くらいの男性でした」

 彼女の説明を耳にした俺は、馬車に揺られる以上の揺れを心に感じていた。

隻腕の冒険者。オーディスワイアがこの冒険者から受ける影響が、今後の物語に変化を与えるかも……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今更ですが、500話突破おめでとうございます!
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