表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

497/585

幸運なる仲間

 夕食前の訓練で汗をかき、思えば久し振りの鍛冶作業で疲れを感じていた俺は、夕食の前に風呂場で汗を流そうと考えた。

 どういう訳か部屋から出た俺の後を子猫二匹が追い掛けて来たが、風呂場の前まで来ると、子猫達は慌てて逃げ出して行った。──やはり水が嫌いらしい。


 脱衣所で服を脱いでいると、カムイとレンネルが入って来た。


「あ、団長。お疲れさまです」

「おう」

「なんか体の左半分が真っ赤ですけど」

「お? そうか……久し振りに炉の前で作業したんで、肌が熱に弱くなってたんだな」

 言われてみると左手の甲が少し赤くなっているようだ。

「鍛冶仕事の再開ですか。また忙しくなるんですね」

「素材集めとかもね」カムイの言葉にレンが返す。


「素材か……霊晶石とか魔力結晶とか、店で売ってないか見てこないと」

 風呂場で体を洗いながら、二人に今日の収穫を聞く。

「あ、今日はいい事があったんですよ」

「そうそう今日は『峡谷きょうこくの中の隠し神殿』にユナと俺達だけで行ってたんですが、そこで出現した混沌こんとん尖兵せんぺいから、珍しい物を手に入れました」

 と、カムイが嬉しそうに言う。


「混沌の尖兵から? …『幻幽カムノスの炎』付きの武器が出たのか」

 俺が先手を打って答えると、二人は「さすが」といった顔をする。

「──そうなんです! いや~あれって、結構な高値で買い取られるんですね。おかげで遠征に行かなくても大丈夫かもしれません」

「遠征……そうか、出稼ぎに行く予定だったな。なら拠点を購入するのはもう少し後でもいいか」

 その言葉に反応したのは、かつてゲーシオンの旅団に居たレンネルだった。


「それってゲーシオンに遠征拠点を置くって事ですよね? 急がなくてもいいかもしれませんが、旅団の拠点を作ってくれるなら嬉しいですね。いつでもゲーシオンの転移門先に行けるようになりますから」

「うん。それ以外の都市にも拠点を作っていく予定だ。──だからおまえ達も稼いでくれよ?」

 そう言うと二人は「うぇ──ぃ」と、やる気があるのか無いのか分からない返事をする。


 それにしてもこの二人。月光の剣に続いてまたしても希少武器を手に入れるとは……。もしかしてこの二人のどちらかが幸運を引き寄せているのか?


 混沌の尖兵が持つ武器にまれに付いている「幻幽の炎」という効果。それは霊体にも有効な追撃効果を与える、というものだ。

 かなり有効な性能で、多くの冒険者に求められる武器である。

「で、どの武器に付いていた? 大剣か矛槍ハルバードか? それ以外か」

「大剣です」

「おお──、それは高く売れただろう。矛槍でも高く買い取ってもらえるが、大剣と比べると少し価格は安くなるはずだ」

「ですね。やっぱり大剣は使う人が多い武器ですから」

 俺はうなずき、瓶から頭に洗髪剤シャンプーを振り掛けて頭を洗い始める。



 二人も頭を洗おうと洗髪剤を受け取った時、脱衣所からメイが顔を覗かせた。

 カムイとレンネルは慌てて股間を隠そうとする。

「こら、男子入浴中と出てただろ。入って来ちゃいかん」

 俺は小さな腰掛けに座り、頭を洗いながら横を向いて言った。


「団長。お客さんが来てるよ」

 少女は野郎達の裸など一向に気にする様子もなく、そう告げた。

「もうすぐ夕飯だというのに客? ……けしからん。夕飯時を狙って来るなんて、悪質な勧誘か?」

「ううん、神殿の神官だよ。……ぇえと、どこの神殿だったかな?」

 少女は名乗ったはずの相手の名前をど忘れしたみたいだった。


「ふん、夕飯時に来る奴なんてろくなもんじゃないな。メイ、塩をぶっかけて追い返してやれ」

 と、頭の泡をお湯で流しながら冗談のつもりで言った。

「塩?」カムイとレンネルは首をかしげているようだ。

()()()()()()

 メイはその言葉を真に受け、脱衣所を出て行こうとする。


「待って! 今のは冗談だから!」

 慌てて少女の後ろ姿に呼び掛けると、彼女は立ち止まって振り返った。

「客は応接室に通しておいてくれないか。あと、誰か──リーファに話を伝えて、客にお茶を出すよう伝えてくれ」

 そう言うと少女は頷き「わかった~」と、今度こそ脱衣所を去って行った。

 洒落しゃれの通じない子に迂闊うかつな冗談を飛ばすものではないな。そんな風に思いながら頭からお湯をかぶり、湯船には浸からずに浴場を出る事にした。

塩を撒いて追い払う、みたいな文化はフォロスハートにはないみたい。

塩は西海の大地と繋がる前までは貴重な物だったからでしょう。


幻幽カムノス──もちろん造語。

特殊な力の構造は分かっていないものが多く、錬成できない。


次話は月曜日に投稿を予定。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ