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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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鍛冶師として

鍛冶場での作業を久しぶりに描写。

魔法の金鎚やこてで短時間で作製できる──らしい。

 鍛冶屋に戻ると数人の若い客が店の外へと出て行くところだった。

 手にした槍を自慢げに仲間に披露ひろうし、これを使って明日は「廃獣ベダンモヒトグフトアモス」を狩りに行こう。などと話している。

 ケベルに話を聞くと、中級冒険者に槍を作ったのだと説明された。

「かなり多くの能力付与を依頼されて、素材もかなり奮発してもらいました。ぼくにはちょうどいい修練になりましたし、お客さんにも喜んでもらえて良かったです」

「そのようだな。満足そうに店を出て行ったよ」


 それで──と、ケベルは机を真っ二つにした実験について聞きたがった。サリエも心配そうに近づいて来て、何をしていたかを尋ねてくる。

混沌こんとん吸着結晶を調査していたんだ。混沌の力を秘める物はやはり危険な物のようだ。詳細は管理局の実験の成果を見てから話そう」

 俺がそう言うと、二人は納得したようだ。



「それと、こうした注文を受けたのですが……」

 ケベルはそう言って一枚の紙を見せてくる。そこには発注依頼の内容が書かれ、錬金加工した軽硬合金フラウレグムの胸当てについて書かれていた。

「これも中級冒険者の発注か」

「はい。さっきの人とは別の旅団の冒険者です。軽硬合金に『硬化』と『劣化防止』を付けるのは出来るんですが……」

 と言いながら、紙の最後の方を指差す。


 そこには軽硬合金の表面に聖銀鉄鋼エルファリクスを張り付けて、魔法抵抗を高めた防具にしてほしいと付け加えられていた。


「二枚重ねの防具か。内側に皮も張り付けるから三枚重ねの防具になるな。手間が掛かる」

「防具自体、ぼくはあまり作った経験がありません。ご教示お願いできますか」

「そうだな。早速さっそくやってみるか」

 規格(大きさ)は計ってあるので、俺は外側の聖銀鉄鋼の部分を打つ事にし、ケベルは軽硬合金の部分を打つ。

 軽硬合金部分の方が本来の防具部分になるので、少し厚めになる。


 熱した金属板(板金)を丸みのある型に押しつけながら、魔法の金鎚ハンマーで打ち、形を変えていく作業工程。

 すでに金属の中に硬化結晶と不銹ふしゅう結晶を使ってある。その他にも防御効果を高める素材もいくつか加えられていた。

 それを打ち伸ばして形にしていく。

 炉の中に入れては取り出し、それを打って伸ばし、魔法を付与したこてを使って外側から圧力を掛けて形を整える。

 そうした作業を教えながら、こちらも聖銀鉄鋼の金属板を打ち伸ばし、形を整えていく。

 鍛冶場に俺と徒弟の鎚が鉄を打つ音が鳴り響く。




 俺とケベルはかなり集中して防具を作る作業に専念した。

 ケベルは繊細な作業を心掛け、無理なく無駄なく、軽硬合金に込められた魔力の流れを破壊せず、胸当ての形を整える事に成功した。


「よく出来ているぞ」

「ありがとうございます!」

 俺は出来たばかりの胸当てに、用意した聖銀鉄鋼の装甲を合わせてみる。──胸から腹部をおおう白銀色のしなやかな装甲を取り付け、金具で皮の裏地と二つの金属装甲を重ね合わせて固定するよう指示を出す。

 ケベルはそれを難なく行い、胸当てを完成させた。



 二枚の異なる金属板を一つにまとめるのは、別々の強化錬成を組み合わせられるのでお得──と思われるが、実際はそう単純なものではない。

 二つの錬成品の力が干渉し合い、効果が弱まってしまう事があるのだ。だから結局は一つの材質に多くの錬成強化をする方が安全だと言える。──何しろどれくらい効果が下がるかは、予測が難しいのだ。

 何より、複数の金属を使用した防具の作製には、単純に二つ分の防具を作るのと同等の費用が掛かるのである。

 だからこそ複数金属の利用を多くの冒険者は嫌うし、錬金鍛冶師も結果について確証が持てない為、大抵の場合、そうした仕事の依頼を断ってしまう。

 しかし今回の聖銀鉄鋼の装甲には強化錬成をせず、また軽硬合金の強化錬成には、聖銀鉄鋼の装甲を取り付けても問題のない──干渉し合わない──強化錬成だけを付与してある。


「ケベルは錬成の勉強に余念がないな。いきなり混合防具に手をつけるとは」

「ええ──正直、ぼくだけなら断っていますよ。オーディスさんに任せるつもりだったんですが、先方がオーディスさんに依頼すると、指名料を上乗せされるから、それは遠慮したいと言うので」

「指名料──まあ確かに、腕の立つ職人個人への依頼には上乗せ分が発生するものだが」

「オーディス錬金鍛冶工房には、具体的な職人ごとの作製手数料とか、そうした事が明記されていませんよね」

「そうだな。というのも、俺は鍛冶場に立つ機会は減るだろうと考えていたからな。ケベルやサリエに仕事をこなしてもらい、腕を磨く機会を多く持って欲しいと思っている」

 そう言ってから、そばで仕事をしていたサリエを見る。彼女は相変わらず装飾品を手掛けていた。


「サリエには短刀や短剣といった武器の作製や、槍の穂先を加工する作業を覚えてもらう。刃に強化錬成する方法を身につけ、そうした技術を後世に伝えていく。そうした事も職人には大切な事なんだ」

「……はい」

 彼女は渋々といった感じで返事をする。

 やはり炉の前での作業は嫌らしい。装飾品以外を作る気持ちが薄いのだろう。


「槍の穂先は金属だが、柄の部分は木だったり、魔物の骨や角など合わせた素材を加工して作るからな。それほど長い時間を炉の前で作業する必要はなくなる」

 刃の長く大きい大剣や斧は必然的に炉の前での作業時間が長くなる。

 そうした事も考え、彼女には徐々(じょじょ)に炉を使っての作業に慣れてもらう事を考えていた。

不銹結晶=劣化防止を付与する素材。久し振りの登場なので念のため。


混合防具……「ハイブリッド・アーマー」とか?

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― 新着の感想 ―
[一言] いや!実は混合装備というのは違くて金剛装備なんだよ!(おい)
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