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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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混沌の未知なる力

 混沌こんとん吸着結晶の研究は思わぬ結果に結びついた。

 見えない爆発から飛び退いて逃れた俺は、床に倒れ込んだ。

 研究室の入り口から通路に向けて跳んだ俺は慌てて振り向き、部屋の中を確認する。


 一見すると、部屋の中は何事もなかったかのように見えた。──しかし、そこには違和感があった。

 混沌吸着結晶を置いていた机の形が変わっていたのだ。

 机の中央が消失し、完全な円形にえぐられていた。まるで初めからそうした形だったみたいに。



「メキメキッ────ガシャンッ」



 机の端っこだけで支えていた台が真ん中から折れて、床に倒れ込んだ。

 机の上に乗っていたいくつかの小物も落下し、床に散らばる。

 ころころと転がった結晶の一つが近くに落ちた。

 それを手に取ると、結晶の一部が削られ、綺麗に切断されたみたいになっていた。


「こいつは……!」

 やはり今の爆発は相当危険なものだったようだ。

 結晶の断面は完璧に断面があらわになり、切断されたような跡も残されていない。スパッと切り裂いたかのような切断面。断面を触ってみると、結晶の表面よりも切断面の方がなめらかになっているくらいだった。



「だ、大丈夫ですか⁉」

 ケベルとサリエが研究室の方に駆け寄って来た。床に倒れている俺に手を差し出し、起き上がるのを手助けしてくれる。

「ありがとう」

「いったいなんの音ですか……今のは。何か爆発したみたいでしたが」

「ああ……」

 俺は折れて床に倒れた机を見た。

 奇妙な破壊の跡はまるで──

()()()()()()()()()()()()()だな」


 それは机の上に置かれた混沌吸着結晶が引き起こした現象に違いない。

 それほど範囲が広くなかったので助かったが、俺がぼさっと机の前に座っていたら──今度は、腕を失っていたかもしれない。

 俺は徒弟をそれぞれの作業に戻るよう言うと、倒れた椅子を起こしてそこに腰掛けた。

 そうして頭の中で実験の再生を試みる。


 吸着結晶に混沌多色(金緑)玉石たまいしを通じて魔力を送り込んでいる時だった。

 玉石に封入されている属性の力に反応した?

 しかしそこには違和感があった。

 俺は何か、特別な事をしようとしていたような……


「……そうだ。四属性の調和状態を想像しながら魔力を流そうとしていたんだった」

 もっと言えば錬成にいて、霊晶石が属性の均衡きんこうを保とうとしたり、反発する両極性を調和に導く力を再現できないか、と考えながらおこなっていたんだった。

「まさか吸着結晶の中の混沌に作用した力は──」

 俺は早速さっそくこの現象について魔法の力を使い、細かく分析した。


 結晶の中で起こった現象を完全に再現するのは不可能だったが、推測をする事は出来た。恐らくだが、結晶の中に封じられている混沌に作用した力が混沌の中にある相反する力に影響し、結びつく事無く混じり合っていたものの中に一定の調和が作られそうになり、そこで混沌が異質な反応をしたのだと考えられた。

 それは幾重いくえにも重なり合って結び付いている物質が、それぞれの性質に分けられて集められた為に、混沌状態から一つ一つの性質のものが力を増大させ、そしてそれぞれの力同士が反発力を高めたようだ。


「なんてこった」

 混沌吸着結晶の中にあった混沌。その状態がある意味で安定状態にあったという事なのか。

 そこに外部から手を加えた事で、空間を切り取るような爆発が起きた。──だとすると、混沌吸着結晶の中には、あのような爆発を引き起こす可能性が眠っている事になる。

「もっと研究しなければ」

 もしかすると今度の研究で混沌の中から”特別な現象”だけを取り出す事が可能になるかもしれない。

 それはあの無限に広がる混沌の闇の中から、ある種の活動力エネルギーを引き出せるかもしれないという事を意味していた。




 俺はすぐに行動に移した。

 今起きたものを頭の中で整理しつつ、管理局に今回の実験について報告し、あちらの研究員にさらなる研究を続行してもらおうと考えたのだ。


「悪い、管理局の方に出かける。誰か来たらそう伝えてくれ」

 作業に戻っていたサリエらに伝えると、俺は鍛冶屋を飛び出すように外へ出た。

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