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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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古い錬金術の力

❇「剣に封じられた魔法が~」という一文を追加しました。

 月光の剣は刀身全体が透明な刃。

 全体としてはかなり幅広の長剣といった感じの武器だ。

 解析してみて分かったが、この透明な部分は魔法が固着化されて出来たような、不可思議な構造をしている物だった。

 ……と言うか、こんな現象が当たり前のように存在しているとは。


「ありえなくないか?」

 つんつんと透明な刃に触れてみると、見た目の所為せいか、硝子ガラスに触れているような感覚になる。

 指の間接部分で叩いてみると、金属に近い音が鳴った。──硝子ではないようだ。


「当たり前か。硝子で硬い物を斬れる訳がない」

 どうやらこの透明な部分は、ある種の魔法が具象化した物であるらしい。

 この世界には無い、古い時代の錬金術の力で生み出された武器なのだ。

 魔剣と似た様な部類に属するだろうか。

 硝子──いや、水晶の様に見えている部分は斬れ味が鋭いというよりも、手にした者の身体的な力や魔力の影響を受けるようだ。

 剣に封じられた魔法が剣を手にする者の力を強化し、その力が剣の斬れ味にも変換されるのだ。

 この刃自体、魔法が硬質化して生まれており、その使い手の魔力保有量も威力に影響する。


 この武器は霊的な存在にも攻撃が通じるが、新たな魔法を刃に掛ける事が出来ない訳だ。

 気の力も通さないため剣気を使えなくなるが、通常の武器よりもかなり強力な武器になり得るだろう。

 この剣を振るう者の技量によっても違うだろうが、月光の剣で白銀騎士の鎧を切断した使い手が居たそうだ。


「実におもしろい」

 俺は一端いっぱしの学者の様なふりをする。

 しかし──これと似た様な物が造れるかは疑問だ。

 この剣を構成する魔法。それの具体的な術式が分からない。あまりに複雑で、それを読み解く能力が俺には欠片かけらも備わっていないのだ。

 複雑怪奇な暗号を前にした初心者の研究員よろしく、俺はその解明を迫られ、しどろもどろになりなって立ち尽くしてしまう。



 そんな気分になって()()()()()


 机を前にして、椅子の上で気を失っていたのだ。

「いつの間に……」

 精神虚脱かと思ったがそうではなかった。ただ単に眠くなっていた時に、難しい作業で頭を悩まされたので、脳が緊急停止フリーズしてそのまま眠ってしまったらしい。

「はっはっはっ、机を前に作業すると()()()()()()事だな」

 そんな矛盾した言葉を口にして、水晶の刃をした剣を机に置いた。なんと柄に手を掛けたまま眠っていたのだ。


「うん。無理!」

 解析で判別できたのは、魔力によって生み出された「透明な金属」は、厳密には物質ではないようだという事だった。

 この武器が防御系統の魔法を貫くのは、そこに理由がありそうだ。

 月光の剣はある種の魔法と錬金術の組み合わせで造られた物に間違いなさそうだが。

 人間がこれを造ったのならば、それが俺に出来ない理由はないはず。今はまだ研究段階だが、いつかはこの「透明な金属」──実際は金属ではないが──の秘密を解き明かし、自分の手で造り出してみたい。

 新たな希望を抱いて立ち上がると、夕食を求めて食堂に向かう。




 食堂に入ると、まだ数人が集まっている程度だった。

「どうでした?」

 テーブルに近づくと、俺に気づいたカムイが尋ねてくる。

「ああ……ちょっと難しいな」

「難しい?」

「あの透明な刃を造り出すのが」

 カムイのそばに居たエアネルがガッカリしたような顔をする。

「透明な刃の武器って見た目がいい感じじゃない? 使ってみたかったな──」

「見た目以上に、防御魔法を無力化するところがいいんだよ。姉さん」

 姉の言葉に双子の弟がツッコミを入れる。


「詳しく解析が出来ればいいんだが、たぶん今のままだと無理だろうな。何か、真をとらえる部分にまで解析がおよばないんだよなぁ……」

 地球でつちかった科学の知識では駄目な、神秘的な力の部分に対する理解アプローチが足らないのかもしれない。

 鑑定魔法の力は術者の知識や魔法自体の技量に左右される。──前者は後付けでなんとかなるが、後者の理由では俺に優位性はない。

 ここは過去の──古代の技術について学ぶしかないだろう。


 この月光の剣がフォロスハートの前身である「ロズアノール」と同じ世界の物であるなら、もしかすると管理局が新たな発見をしてくれるかもしれない。

 あの翡翠ひすいの卵が発見された研究施設は錬金術師の工房だったようだから。もしかするとあの研究所で、なんらかの示唆ヒントを得られるかも……


「あ、なんか思いつきました?」

 カムイが俺の顔を見て声を掛けてきた。

「ん? ああ、どうかな」

 そんな曖昧あいまいな受け答えをして、夕食は誰が作るんだ? といった事を口にする。

 調理場には数人の料理当番が入っているらしい。

 俺は夕飯を食べ終えたら、月光の剣の研究は保留にし。別の研究について頭を使う事にした。

思わず口にしてしまいそうな「まれによくある」という謎ワード。

「希」なのか「よくある」のか、どっちなんだい⁉



❇「剣に封じられた魔法が~」という一文を追加しました。

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