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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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先達と有望な若手の差

 月光の剣を手にしていたところにリゼミラとダリアが戻って来た。

「う──っす」

 独特の挨拶をかましてくるダリア。

「お、それそれ。珍しい敵に遭遇そうぐうしたよ」とリゼミラが、俺が手にした剣を指差す。

 この魔法の武器を求めて何度も戦いにのぞんだ過去が蘇る。

 リゼミラは過去の不発に終わった経験を払拭する事ができた訳だ。──何年もった後で。

 ……俺の顔がうらやましそうに見えたのだろうか、リゼミラは得意そうに話し出す。


「ダリアとの共闘がうまくハマって、結構簡単に倒せたよ。月光の騎士はもっと強いと思ってたな」


「リゼミラが相手の攻撃を弾いたところを私が斬り込んで、追撃したリゼミラの一撃で──って感じで。ラピスの出番は無かったなぁ」

 などと話しているところへラピスが入って来た。どうやら表でエアネルと話していたらしい。エアネルと共に宿舎に戻って来た。

「何か、私の話をしていました?」

「いや、月光の騎士について話していたんだ」

 俺はそう言いながら月光の剣を見せる。


「月光の剣ですか。──予備武器として持っている上級冒険者も居るそうですよ。剣気が使えなくなりますけど、強力な防御魔法を使用する敵相手に重宝ちょうほうするとか」

「それな」

 剣と盾を使っていた頃に、月光の剣の話を聞いた俺も同じ想いを持ったものだ。

 斬れ味も鋭い魔法の剣に憧れた。店売りされる事も少なく、売り出されたとしても下級や中級の冒険者には手の出ない金額の武器だが。


「懐かしいな。俺も月光の騎士と遭遇するのを求めて、リゼミラとアディーディンクとで何度も『月光の広間』に行ったものだ」

「あの時は何度行っても『混沌こんとんの騎士』か、良くても『将軍』しか出なかったね」

「月光の広間?」

 エアネルが聞いてくる。

「上級難度の転移門『月下の大要塞』にある要塞の屋上に、そう呼ばれている場所があるんだ。

 広い屋上の上空には大きな青白い銀月が幻想的に光っていて……」

 俺が思い出しながら語っていると、皆が黙って俺を見てくる。


「おい、なんだ。どうした」

「いやぁ……あんまり熱っぽく語るから、また冒険に出たくなったのかと」

「何故そうなる。──あの情景は転移門先の中でも特に綺麗で、記憶に残る場所だったというだけだ。

 それに──結局あれだけ通っても月下の騎士には一度も遭遇しなかったから、余計に記憶に残っている」

「そうだねぇ。今日あたしが会えたという事は、オーディスが月下の騎士に嫌われていたんじゃない?」

 などとリゼミラがにやにやと、イヤらしい笑みを浮かべる。


「『将軍』というのは?」

 今度はレンネルが尋ねてきた。

「月下の広間に出現する敵の中でもかなり危険な、多くの混沌の戦士を引き連れて現れる奴だ。

 最初は槍で攻撃してくるんだが、周囲の混沌の戦士を全滅させたりすると、槍を投げつけてきて、腰から下がった長剣に持ち替えるんだ」

「かなり強いのと、必ず集団の戦士をともなって出現する事から『将軍』と呼称されているんだよ」後をリトキスが引き取って説明する。

「『城塞の騎士長』が正式名称じゃなかった?」リゼミラがそう訴えた。

「おお、そうだったな」


 城塞の騎士長とは何度か対戦する機会があった。リゼミラとアディーと行動して「三勇士」などと呼ばれ始めた頃の事だ。

 戦士としてかなり強くなったと自負し始めた頃。月光の剣を求めて月下の広間に何度も挑戦した。

 転移門に入り、外に出て、そしてもう一度転移門をくぐる……

 何度も繰り返したが結局は、将軍から得た「騎士長の剣」を入手した記憶。

 この武器もなかなかの業物ではあったけれども。


「半透明な剣……かっこいい」

 俺はこの刃を自分の力で造れないかと考え、解析して金属の正体を突き止めようとした。

「おいおい。それは貸すから、こんな所で突っ立ってないで自分の部屋で調べたらどう?」

 リゼミラの言葉にレンネルもカムイもうなずく。

 二人は俺が造った魔法の剣と魔剣があるので、月光の剣にはあまり興味がないようだ。

「分かった。後でこれは旅団の武器庫にしまっておこう」

 俺はそう言って自室で月光の剣を調査する事にした。

「月下の大要塞」は常に夜の大地。

その上空には星空と大きな月が見える──といった情景。

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