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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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シャルファーでラホルスと

 水の神アリエイラと別れた俺は、次にシャルファーに向かった。

 これで都市巡りは最後だ。

 今日一日で四大神と、海の大地の双神の下を訪れた事になる。

 シャルファーまでの移動は神殿が用意した馬車で送られる事になった。気を利かしてくれた女神が巫女に願い出て、馬車を用意するよう計らってくれた。

 神殿の使う馬車ではなく、民間の馬車を手配してほしいという依頼に対応し、神殿の裏手に馬車を一台貸し切って用意してくれた。


 ……最後のシャルファーは、とりあえず神殿まで行ってみるが、風の神ラホルスには会えないだろうと考えている。

 何しろ神殿に仕える神官達も、滅多に神様の姿を見る事がないとされているくらいだ。

「まあ、神官に言伝ことづてを頼むだけでも……」

 そう考えていると馬車はシャルファーの街に到着した。


 街の門をくぐるとそこは、砂を固めて造った様な建物と、灰色の石を積み上げて造られた建物が車道を挟んで建ち並んでいる。

 所によっては緑色や青色に塗られた壁の建物もある。

 屋根は多くの建物が青く塗られていた。


 神殿に向かう大通りを馬車が通って行き、神殿の近くまで俺を運んでくれた。

 御者は「それでは」と、帽子を軽く持ち上げて去って行く。



 神殿への入り口に向かいながら、神官になんと言ったらよいものかと思い悩んだ。

「……素直に、ラホルス様にお礼を伝えたく──とかなんとか言ってみるか」

 追い返されるのを覚悟して神殿に向かった俺。

 白い壁に青と緑の柱。

 そんな淡い彩りに包まれた神殿の入り口から中へと入る。

 数人の市民が神殿へのお供え物を手にして、専用の入り口に入って行く。


 神様のご本尊ほんぞんが拝める訳ではない風の神殿は、他の三神の神殿と違って人の出入りは少ない。

 ここで会えるのは石像や壁掛け(タペストリー)だけだ。


 神殿の中に入ると、神官が横切って行こうとしたので呼び止めた。

「はい、なんでしょうか」

「実は風の神ラホルス様に回復したお礼を伝えたく──」

 そこまで言って、神官にはなんの事か分からないだろうと思いつつ、ともかく風の神に感謝を伝えに来たのだと説明する。


「はぁ……あなたは?」

「ミスランで『金獅子の錬金鍛冶旅団』の団長をしている者です。オーディスワイアと言います」

「オーディスワイア様……そうですか、それではこちらへ」

 と神官は歩き出す。

 話が通じたと思い、俺は彼の後をついて行ったのだが、なにやらカウンターの様な場所に案内されてしまった。


「それではこちらに……」

 そう言いながら差し出された紙を見ると、何やら()()()を受領する内容が記されていた。

「いや──そうではなく」

 俺はこほんとせき払いし、ラホルスに会う事はできないのかと単刀直入に尋ねた。


「ラホルス様に? それは無理ですね。我々神官達ですら、神に会った者はそう居ませんよ」

 まるで嘲笑あざわらうみたいに言う。

「いや、それは知っているが……」

 ふん、と鼻で笑う若い神官。──それを見て、ちょっといらっとしてしまった。


「会えないなら仕方がない。言伝を頼めるか。──寄付金については帰ってから用意しよう」

 俺は相手に小馬鹿にされたままではいられないと、札束で相手の横っつらを殴ってやろうと考えた。──もちろんそれは冗談だが。

 そう言うと神官は態度を改めて頭を下げた。

 紙は台の上に出したまま、「それでは紙を用意しましょう」と言ってカウンターの様な場所の棚を探っている。



 するとそこへ鳥の羽撃はばたく音が聞こえてきた。

 バサバサッという音が神殿の中に響き、柱の間を飛んで来た青い羽の大きな猛禽類もうきんるい

 それがカウンターの上に着地し、鋭い爪を台に立てて「カカッ」と音を響かせる。


「この鳥は……ラホルス様の使い!」

 神官は驚いた様子で口にしていた。

 青い鳥は翼をばっさばっさと大きく広げながらこちらを向いた。

 そして翼を畳むと爪で木製の台を叩く。

「カチッ、カカッ、カッ」

 そんな風に間隔を開けて音を立て、台から飛び降りて通路の奥へと歩き出した。

「ついて行けばいいのかな?」

 俺が青い鳥に声を掛けると、鳥はこちらを振り返って、何度も大きく頭を上下させる。

 俺は若い神官を放って、神殿の奥へと通じる細い通路を歩いて行く事にした。

ちょっと失礼な神官とのやり取り。

札束の無いフォロスハートでは「硬貨で埋める」が正解か──⁉

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