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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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若手冒険者の育成と研究開発

名前すら書かれない旅団の仲間も居ます。

わざとですよ(笑)

大所帯になってきたな──くらいの認識をもってもらえれば。

 しばらく訓練と研究の日々が続いた。

 転移門先でも通信を可能にする新たな技術開発の合間に、戦闘用義足をさらに実用的な物に改良する為の試行錯誤を加える。

 訓練で新たな義足を披露ひろうすると、以前の板バネだけの義足よりも見た目が足っぽくて好評だった。


 この義足を付けた俺と闘ったリトキスが言うには「これで冒険に復帰できますね」、という事だったが、俺は現役復帰には後ろ向きな反応を返してしまう。


 今更以前の様に戦えるかと言ったら、決してそうではない。

 伸び代の無くなった男が冒険に戻っても、たぶん大した役には立てないのだ。

 それなら後進を育てた方がフォロスハートの為になり、意義深い。

 フォロスハートに最も必要なのは、今後の世界を生き抜く若者たちの成長だからだ。

 だからリトキスの言葉を俺はあっさりとかわして、以前加入した新米達の相手をする事にしたのである。



 最近入った三人より少し前に、別の三人が加入していたが、はっきり言って彼らの実力はイマイチなのだ。

 今回加わったセブ、アマン、ブーリットの三名は、若手の中でもかなり優秀な面子メンツだったのだと思われた。

 管理局から任されたこの三名は、どうも管理局上部の──具体的には黒獅子ヴォージェスの計らいであるようだ。

 彼ら三人の才能を見て取った者が居て、その能力を短期間で伸ばすにはどこの旅団に任せるのがいいか。そんな検討がなされたらしい。


 管理局員と交友関係があるリトキスから聞いた話だが。


 俺はそうした事を考えながら、まだまだ未熟な技能しか持たない冒険者候補を相手にする。

 木剣や大剣型の木剣を手にして、相手の得物によって対応を変える必要がある事を、一から教え込む。


 このど素人しろうと達はやる気はあるのだが、いかんせん運動能力が低い者が多かった。

 まず多くの者が身体が固いのに、筋力も無い。

 筋肉があって身体が固いならまだ分かるが、今のままでは金属の胸当てを着けて行動していたら、一時間でへばってしまうだろう。その程度の筋力しか無いのだ。


「基礎訓練を続ける事だ」

 ともかく体力と筋力を平行して付ける事を提案した。

 新米の訓練を若手のニオに任せ、どうすれば新米が成長できるかを、身近な経験者から語ってもらう事にする。


 物事を行うに当たって大切なのは、本人の「やる気」だ。

 これがなければ、いかに素質や才能があっても仕方がない。

 むしろやる気さえあれば、なんでもでき……

「はっ」

 俺は気づいてしまった。


「やる気があれば、なんでも出来る!」

 さすがに「元気ですか」とは口にしなかったが、若手の冒険者達にそう声を掛け、ぽかんとする彼らを放って別の場所に向かった。

 俺自身の訓練もしなければならない。




 訓練を終えると、転移門先でも使える新しい送受信機の開発に入った。

 転移門を越えて繋がった情報データを元に、さらに安定した結果が得られるよう術式に手を加える。

 転移門の構造を理解し、その転移の力に合わせた波長を作り出し、向こう側とこちら側を繋げるのだ。


 それは言葉で言うほど簡単な構造ではない。

 何しろ空間を越えた二つの領域を繋ぐ力と合わせるのだ。──この神の力を正確に解明するのは、今の俺には出来ない事柄だったが、幸いにも、この転移の力に同調する波動を流し、複雑な秩序機構を解明する事なく、秩序機構の合間に入り込んで利用する事ができたのだ。


小狡こずるい手ではあるが、通信手段を確保するだけならこの手法以外に考えられないな」


 こうして大本の機構は完成した。

 この核となる部分には神貴鉄鋼シルエヴァルリスと神結晶を使うと安定するが、偵察機などの機体部分には軽硬合金フラウレグムなどで問題はない。

 送受信を可能にする内部構造には貴重な二つの素材を使用するが、その他の部分には通常の金属で構わないのだ。


「よしよし、これでいいかな」

 研究室で物が完成すると、それを確かめに転移門に向かう。──もちろん管理局の許可を得て、管理局員も同行してもらった。




「完成ですね! おみごとです!」

 と、若い職員は喜んでくれた。

「量産と改良は管理局に任せるよ。それじゃぁ、メリッサによろしくな」

 俺はそう言うと、その試作機をメリッサに届けるよう頼んだ。


 これで一つの仕事が完了した訳だ。

 後は──

 そうだ。レーチェとの一戦があるのだ。

 だがその前に、いくつかの神様に会いに行かなければ、そう考えた。


「地の化身エウシュマージアに聞きたい事もある」

 転移門「緑の島と海の大地」についてと、後は他の大地に眠る神の力に干渉する方法について、詳しい話を聞いておきたい。

 もしかするとなんらかの着想アイデアを得られるかもしれない。そんな期待を持っている。

 帰りに水の都ウンディードに行き、女神アリエイラにも会っておこう。──火の神にも顔を出した方がいいか……

 そう考えつつ宿舎に戻って行った。

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