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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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地球の知識と、今後の活動について考える

 応接室でのやりとりをして考えたのは、今回の翡翠ひすいの卵から得られた情報から、俺に一つの想いを抱かせた事だった。


 それはあちら(地球)の情報など無くとも、こちらの世界だけで破滅的な力を引き出してしまう事が可能なのだと知った事だ。


 科学の発展が自然環境に様々な傷をもたらしたのと同じく、あるいはそれ以上に、甚大じんだいな被害を世界に齎す”魔法”に関連する力があるのだと知った。



 今まで極力地球の情報を伏せていた俺だったが、もしかすると地球で知った事柄が、こちらの世界を守る事に繋がるかもしれないと思い直した。

 あらかじめ危険な知識を教えておけば、それを回避する手立てになるかもしれないのだ。

 だが──自分がこの世界とは違う世界から来た、と告げるのは……さすがに抵抗がある。誰もがレーチェのように受け入れてくれるとは限らないからだ。


 そんな事を思いながら庭に出て、訓練を再開する前に鍛冶屋へ行き、徒弟達の顔を見て、新しい仕事の依頼などが入ってないのを確認すると、宿舎の庭へ戻った。

 訓練を再開しようとした矢先、昼休憩になってしまい、仲間達と共に昼餉ひるげを取る事にする。


調味酢ドレッシングを補充しておきました」

 そう言ったのはユナだった。

 今日は宿舎に残り、掃除や家事を手伝う日らしい。

 料理も調味料の作り方も、全て帳面ノートに書いてある。

 管理局にもそうした物を作り方を教えたはずだが、他の事で手一杯なのだろう。料理に関する小冊子などが発行されたという話はない。

 ユナも自分で用意した食事を皆と一緒に食べている。


「私も卵焼きを作ったりしたんですけど」

 エアネルが不満げに言う。

 俺がユナの手料理を褒め、調理酢の補充を作った事に感謝していた為だろう。

「ぉお、あのエアネルが半熟炒り卵(スクランブルエッグ)を作れるようになるとはね。──成長したなぁ」

「なんか、馬鹿にされている気分……」

 エアネルは結局、へそを曲げるのであった。


「気の所為せいだよ」

 俺はそう言いながら、適度に味の付いた炒り卵を口にする。ふわふわの卵には生クリームが使われているようで、甘く、コクもある。

「煮込み料理や蒸し料理と、そうした料理を覚えるといいかもな。エアネルが焼いたり揚げたりすると、火事になりそうで怖い」

「むぅ──!」

 彼女は怒っているが、自分でもそうした危険があると思っていた感じだ。

 俺とエアネルの会話を聞いてユナがくすくすと笑っている。


「そういえばオーディスワイアさん。最近、エウラさんの様子が少し変だったんですが……」

 ユナが「心当たりはありませんか」と尋ねてきた。

「エウラが? ──いや、特に思い当たる事はないな」

「そうですか……私の気のせいかもしれませんね、すみません」

 俺は何か気づいた事があったら遠慮なく言うようにと言っておき、食事を終えると少し休憩を兼ねて、仲間達と談笑する。

 訓練の内容や、冒険先での話もし、新しい武器や防具を作る為の素材集めについて尋ねられたりもした。


 俺の冒険者時代の記憶と、最近の冒険者達が求める装備に付ける付与効果などについて話しつつ、その個人の戦闘姿勢(スタイル)に関連する性能を付けたり、弱点を補うような効果を付与するのがいいだろう、と説明した。

 冒険にあまり出られない新入り達にとってはまだ先の話だが、熱心に聞いており、いつか自分もという気概きがいを持っているようだ。


「鍛冶屋に居る俺の徒弟にも相談するといい。特に冒険を始めて間もない冒険者達の装備を作っているのはあいつらだからな。最近の新米冒険者の流行についても詳しいだろう」

 俺も最近は若者達が装備品に望んでいる効果を勉強しているが、一番彼らに接しているのはケベルとサリエの二人だった。

 研究熱心な二人の徒弟から話を聞いたりして、若い冒険者達が実戦で感じている事なども尋ねたりしているのだ。




 昼食を終えると訓練に戻った。

 新米──セブ以外にも今日は積極的に、俺に訓練相手をしてほしいと訴えてきた。


 アマンは棒を手にしていた。──槍も使うようだが、棒術という武器に特化して訓練しているらしい。

 驚いた事に──まだ十五歳くらいの少年だが、槍を巧みに扱い、さらには剣気の「破砕撃」を使用できると言っていた。

「両親が冒険者で、幼い頃から旅団に入って冒険者になるような訓練を受けていたので」

 そうだったのか。──この前の訓練では剣と盾を使っていたが、今日は本領発揮という訳だ。


 そしてもう一人のブーリット。この娘は十七歳くらいの、身長の高い女戦士だ。

 彼女もかなりの戦闘能力(センス)を持っているようだった。

 何より男顔負けの筋力の持ち主で、昨日闘った時は槌矛メイスと盾を使っていたが、大槌ハンマーを使うつもりでいるらしい。──らしい、というのは、金属の鎚を使った事がないからだ。

 素人しろうとが大槌を使うのは珍しい。

 旅団に入らないとなかなか使う機会が得られないからだろう。

 金属のかたまりである大鎚の値段は、優れた剣や槍に劣らない高値が付くからだ。


 とはいえブーリットは力任せの動きが多く、三人の新人の中ではまだまだ未熟な部類に入っていた。

(大槌使いか。あまり注文の入らない武器だが、実は前々から考えている作り方がある……)

 俺はそんな事を考えつつ、彼女らの訓練相手を努めた。

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