新人の事、7と11の事。または○っぱいの事
帰ってきたセクハラ王オーディスワイア。そんな感じの話……??
「おっと、こうしてはいられない。訓練に戻らなければ」
俺は立ち上がり、応接室から出ようとした。
「そういえば戦闘訓練をしてらっしゃるそうね、新人達の相手をしたりしながら。団長の実力に、新人達も驚いていたそうですわ」
「うん、新たに入った冒険者候補に一人、高い実力を持っている奴が居たな。名前は──セブ、だったか」
「そうですか。私は新入りの訓練をそこまで見ていないので、どれくらいの実力かは知らないのです」
「セブ以外の、二人の新入りの名前ってなんだっけ?」
俺が尋ねると、彼女は少し呆れたような顔をする。
「セブ、アマン、ブーリットの三人ですわね」
「はへっ? セブンであんまんとブリトー。それは俺の定番のお買い物じゃないか」
「はい?」
俺の言葉を受けて眉を顰めるレーチェ。
「あんまんはさ、やっぱり中○屋のあんまんなんだよなぁ。胡麻の風味がたまらないんだ」
「あの…なんの事ですの?」
「うむ。地球あるあるネタだよ」
「訳が分かりませんわ」
「セブンはお店だから用意できないが、あんまんはそのうち作ってみるか」
そう宣言すると彼女は肩を竦めた。
「よく分かりませんが……あんまんというのは、食べ物の名前なのでしょうか? だとしたら興味深いです。それはどのようなものですか?」
「あんまんは白く柔らかい皮に、甘いあんを包んだ菓子のような物だな。元々の料理だった肉まんは、人間の生首の代わりとして作られたらしい──」
思い出しながら言っていた為に、余計な事まで喋ってしまった。
「生首の代わりに⁉ ……あなたの居た国も、割と野蛮な文化があったのですね」
「いや、肉まんの文化は別の国の物なんだが……、まあ日本だって長い歴史の中でそうした一面も持っていたさ。戦争の歴史がある場合、人の残虐さが表面化しなかった例などあるものか」
俺は話を戻す事にし、あんまんが作れるかを簡単に考えてみた。
「あんまんに必要な材料は揃ってるか。あとは配合とかを研究すればなんとか……」
「白い皮に包まれたお菓子ですか。焼いたら白くはならないと思うのですが」
「あんまんは蒸して作るからな。白くてふわふわの……」
そう説明しているとレーチェが腕を組んで、白い谷間を見せつけてくる。
「そう! それそれ! お前のおっぱいみたいに白くて柔らかい……」
そう言いつつ、レーチェの胸に手を伸ばしながら右足を前に踏み出すと──「ガチンッ」と、義足から固い音がして、急に足が沈み込んだ。
その勢いで体勢を崩してしまう。
「あぶっ……!」
よろけた俺をレーチェが受け止めた。
俺は彼女の肩を掴み、なんとか倒れずに済んだのだった。
「な、なんですの、今の音は……?」
明らかに壊れたような音がしたと、俺の体を支えながら足下を見ている。
俺はそれに答えるように右足を持ち上げた。すると足首から黒いゴムと革紐が垂れ下がり、足の部分が外れかかっていた。
「訓練の前に、義足の修理をした方がよろしくてよ。──それと、人の胸を気安く触ろうだなんて、いくらなんでも恥知らずでしてよ」
彼女はそう言って顔を赤らめながら睨んでくる。
もちろん本当は手を伸ばすだけで、触るつもりはなかった、と弁明しようと考えたが……
「しまったぁあぁぁァァッ‼」
「なっ、なんですの⁉ 急に……」
「義足が壊れるという予想外の出来事が起きたのに、俺はとんだ失敗をしてしまった! ここはおっぱいを揉んでいい場面だったのに!」
「はい?」
きりきりと、レーチェの眉尻が上がる。
「ラブコメの定番イベントをすべきところを、俺ってやつぁ……!」
拳を握って後悔していると、俺が地球の定番冗談を言っているのだと理解して、レーチェは盛大な溜め息を吐き、こう言った。
「とにもかくにも、そんな寝言は私を倒してからにしてくださいな」
耳まで赤くしたレーチェは、体を支えていた腕を突き出し、俺を後ろに倒そうとする。
「おわっ、とととっ……」
不安定な右足で体を支えつつ、左足を下げて倒れるのを回避する。
彼女は部屋のドアを開けて出て行こうとしていた。
「俺が勝ったら、その胸を揉みしだいてもいいんだな?」
わきわきと、指を動かしながら言う。
「どうぞお好きに。──もし勝てるのなら、ですけど」
彼女は意地になって、顔を赤くしたまま応接室を出て行った。
これはなんとしても勝利しなければ……!
俺はなんだか最初の動機よりも不純な目的を得て、よりやる気になっていた。
「だって、男の子だもん」
俺はわざとおちゃらけて言い、右足を慎重に動かしながら自室に戻り、寝台に腰掛けた。
箱の上に置いてある戦闘用義足に履き替えると、部屋を出て行く。
さあ、訓練に励もう。
中村屋の○字ふせはわざとですよ。
この物語の伏せ字はオーディスワイアの過去(地球)との隔たりを演出するような意図です。
こちらの世界にはなじみのないもの、程度の意味です。




